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真っ白という色をつけて

その日、ウサギとカメは、色の世界にぐるりと囲まれていた。すべての色を生み出す三原色が、ふたりの心の奥深くまでも、すうーっと染めていく。

(私の色って、なんだろう……?)
ウサギは、ぼんやり考えはじめた。

本と活字館

例えば──
オクトらなら、クールで知性的なシアン。
クラリスなら、愛と情熱のマゼンダ。

(シュリリイ? あの子は頭の中が常春だから、どんな色にだってなれるわね)

ウサギは小さく笑った。
でも、心の奥ではまだこだわっていた。

(……私の色って、なんだろう?)

「ほら、見てごらん。色を作るのは三原色だけじゃないんだ。黒だって、大切な役割を演じているんだよ」
カメの声に誘われて、ウサギはそっと展示物に歩み寄る。

「うわっ、ほんとだ……。
ねえ、もしかして黒って、三原色をさしおいて主役狙ってるの?」
ウサギはおどけながらも、その声にはほんの少し、寂しさが混ざっていた。
(黒だって、輝いているのね……)

彩られた空間の中で、色の秘密が、ひとつひとつ明かされていく。ドットの密度によって濃淡が変わること。ふたつの色が並ぶと、まるで違う色に見えること──

「そっか。……なら、自分の好きな色になっちゃえばいいのね?」
ウサギは目の前の装置に歩み寄り、スイッチをひとつずつ押していく。
青、緑、そして赤──

すると──
三つの光が重なった場所に、 ゆらめくような“白”がふわりと浮かび上がった。

光の三原色が混ざると、白になる。
すべてを含んでいるのに、どんな色でもない色──

「これが君の色なんだね?」
カメの言葉に、ウサギの白い頬が、だんだんとバラ色に染まっていく。

「……ねえ、私、今日から“白い光属性”名乗ってもいい? うっかり直視しちゃダメよ? とりこになっても知らないから」
ウサギはいたずらっぽく笑った。

(……なんて、ほんとはちゃんと、見ててほしいくせにね)

ウサギはそっと目を閉じる。
その瞬間、まばゆい光がふたりのまわりに舞い降りた。
まるで“白の女神”の誕生を、静かに祝福するかのように──

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