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Movie "Save The Children"

 映画"Save The Children"がしれっとNetflixで見れるようになってるよ、とジャーナリストの林剛さんに教えてもらい、やっと昨日見れました。1972年9月27日-10月1日の5日間開催されたイベントの記録。1972年といえば #Wattstax と同じ年、それが8月20日だったので、なんと濃厚な1972年なんだ。最近はYouTubeでチラチラと #MarvinGaye を筆頭にこのイベントの様子は見れたりはしたが、フル尺で見れるならもちろん見たいよね。

 1973年に公開予定ということで、サントラもこうして存在し、なんなら俺の持っているのは日本盤、ところが映画としてはUSで試写会が開かれた程度で一般公開されずに終わってしまったようだ。そう言えば #ArethaFranklin の"Amazing Grace"も1972年の1月にライブ、そしてレコードリリースが1972年6月、そして公開されず仕舞いだったドキュメンタリーは2018年に公開。そういう、「黒人音楽に資本を投下したものの、途中で断念」的な作品が多いんだな。そういう意味においては現代のデジタル技術はウェルカムだね。ノイズ除去から音の調整から素晴らしい感じに仕上がっているドキュメンタリー映画でした。

 この映画のテーマは黒人の公民権運動として説明もできるだろうけど、時代的にはUSがベトナム戦争が泥沼化し、まさに撤退の決断を迫られている時期と重なる。実際1973年1月から具体的な交渉と撤退が進んでいくことになる。ベトナム戦争の無意味を早くから訴えていたうちの一人がキング牧師であり、その側近であったのがこのイベントの発起人 #JesseJackson 牧師だということからも、その当時の空気感は察することができる。 「子供たちを救え」というメッセージに託した反戦イベントでもあったのだ。いやでも「戦争反対」という直球ではなく、「子供たちを救え」という、より、グローバルなメッセージに託したところは素敵に思う。映画の中でも「誰がわかる?」「この子が癌の治療法を見つけるかもしれないじゃないか」「この子が戦争をやめる外交に成功するかもしれないじゃないか」などと説教をするジェシジャクソンの姿があり、胸に響く。「子供は人類の父である」という言葉があるが、まさにそれを思わされる言葉だ。

 あそっか、今思ったが、この映画が上映されようとしていた1973年はすでにベトナム戦争終結の動きが始まっていた訳で、このドキュメンタリー映画のメッセージがもう古いとされたから上映中止となったのかもしれないなと。当時のビジネス目線だとそうだったのかもしれないが、結果、奇しくも今にも、なんなら未来にも響くであろうグローバルなテーマ・メッセージとなっているのは皮肉というべきか。

 残念ながら映画でもこのサントラでも音楽は編集されたものばかりではあるが、5日間の開催を映画だと2時間、レコードで2枚組にまとめなきゃいけないと言ったら仕方ないだろう。その点を除けば、この豪華でしかない面々のライブが聴ける見れるのは素晴らしいとしか言いようがない。改めて1972年の頃の音楽が絶頂期であったことを再確認できる。ここにいてもいいのにいないのはAretha Franklinぐらいかな。彼女は"Summer Of Soul"もオファーされてたのにドタキャンだったようなので、このイベントもきっとドタキャンかな?という気がする。あ、The Isley Brothersもいてもおかしくないか。でもそれぐらいで、あとはほぼ網羅してある面々と言っていい、それぐらい豪華だ。以下列記していこう。

 音楽的な意味における主役のように扱われているのはもちろんMarvin Gayeだけど、彼はまさに"Save The Children"という曲を発表してる訳だし、1971年にアルバム"What's Going On"を発表してるしね。でもこうしたイベントを経て次にリリースするのが"Let's Get It On"(1973)というのも、ベトナム戦争終結と関係あるのかもなと想像。"What's Happening Brother"の中でニヤッとするところなんて最高に格好いい。

 そしてこのイベントに出てるグループアーティストたちのファッションも時代なのか、カラフルで独特で面白かったね。なんなら笑えるぐらいだけど。

THE O'JAYS


THE CHI-LITES


THE JACKSON5


お客さんのファッションもカラフルでいいw

 ここに出ているアーティストたちはほぼ誰もが直近でクロスオーバーなヒットを出した人たち、ちょっとそれも列記してみよう(全てポップチャートなのでR&Bチャートだともっと上位だったりします)

◾️Marvin Gayeは前年1971年に"What's Going On"、このイベントの翌月に"Trouble Man"を出して7位

◾️The Temptations"Papa Was A Rollin' Stone" まさにこの年に1位

◾️The O'Jays "Back Stabbers" この年の春に3位

◾️The Main Ingredient "Everybody Plays The Fool" 夏に3位

◾️The Chi-Lites 前年に"Have You Seen Her"が3位、この年に"Oh Girl"が1位

◾️Bill Withers この年"Lean On Me" 1位。"Use Me" 2位

◾️Curtis Mayfield まさに"Superfly"な頃、"Freddies Dead"4位、"Superfly"8位、アルバムは1位

◾️Roberta Flack "The First Time Ever I Saw Your Face"1位、これから翌年の"Killing Me Softly""Feel Like Making Love”に向かう頃

◾️The Jackson5 グループとしては少し落ち着いてきたが、Michaelのソロが順調、だからだろう、曲はサントラ上はソロ曲"I Wanna Be Where You Are"を5人でやっている。。。が、映画では"I Want You Back""ABC"。サントラリリース元がMotownだから、なんか計算してるな?笑

◾️Gradys Knight & The Pips 第二次?全盛期に向かう途中、このイベント直後に"Neither One Of Us"が2位

◾️Isaac Hayes サントラには何故か入ってないが映画では"Stormy Monday"をいい感じで歌ってる。Wattstaxの翌月だから余裕もってスター然としてるね。"Shaft"が前年1位。

◾️The Staple Singersもサントラには入ってない組。彼らも1972年に"I'll Take You There"が1位。

、、、、いやぁまとめててもすごいな、この1972年は。

というところでまだまだ出演者はいるんですがあと一人、なんならライブで一番感動しちゃった方を紹介


この時すでにキャリア20年以上の46歳のレジェンド、Sammy Davis Jr.。彼もこの1972年にポップチャート1位の"Candy Man"をリリースしている。が、彼はベトナム戦争時期に多くの黒人が反対表明していたニクソン大統領の支持を表明していたため、ステージに上がろうとすると大ブーイングだったらしい。ブーイングの模様はカットされているが、そのあとと思われるところから映画には出てくる。

「俺の政治観に反対してもいい」
「だが一つだけ言わせてくれ、俺が黒人だってことは誰にも奪わせない」
「ここまで来るのは大変だった。俺は今変化の中にいる」
「話をやめて歌にしよう。歌っていいかな?嫌ならやめておく」

そしたら拍手が湧き、歌い始めたのが4年前1968年のポップ11位R&B1位のヒット曲"I've Gotta be Me" 「俺は俺でしかない」

これがねーーその前振りからのこの曲の歌詞が響きまくりで、何度見直しても涙腺にきてしまう

いろんなチャリティコンサートは古今東西開催されてきたし、これからも開催されていくんだろうけど、この"Save The Children"という言葉と"Push"という言葉に集約させたこのスタイルは本当に素敵だ。ジェシジャクソンの言葉でも「あなたが信じる神がアッラーだとしても」「子供たちを救え」と言っているのが素敵だ。あるカテゴリー・国籍の人を振り分けるためでなく、人類にとって子供がいかに大事か?を解いていく、その先は「答えはない、みんなで協力しあって考えていこう」と。

残念ながら世界はますます二極化へ進んでいるし、主義・宗教の違いを乗り越えての会話がしにくくなってきている。そんな世界でもせめてこれだけは共有できるんじゃないか?という切り口"Save The Children"、聞き飽きたようなフレーズだけど今一度捉え直すのに良い切り口・キーワードだなぁという余韻になりました。

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