気温差…
お盆休みの最終日。
昼、妻と息子と3人で、
とある飲食店へ向かった。
インスタで見つけて、
前から気になっていた店だ。
せっかくの連休最終日。
「ここ行ってみよか!」
ワクワクしながら車を走らせた。
┈┈┈┈┈┈┈┈
混雑を予想して少し早めに到着。
10分ほど待ち、
無事に店内へ案内された。
席はカウンター。
3人並んで座り、
ルンルン気分で注文を済ませ料理を待つ。
……ん?
……なんか暑ない?
最初は気のせいだと思った。
だが、次第に首筋がじわっと湿り始める。
両隣をチラ見した。
左隣の息子。
スマホを弄りながら、超・平然。
右隣の妻。
天井を仰ぎ見ながら、
Tシャツの胸元をパタパタパタパタと、あおいでいる。
まあ、カウンター越しに厨房の火があるから熱気が来てるんだろう。
そう自分に言い聞かせた。
しかし、ここから地獄が本格化する。
┈┈┈┈┈┈┈┈
時間が経つにつれ、全身から汗が吹き出し始めた。
首、背中、額。
じわじわどころではない。
耐えかねて息子に聞いた。
僕
「なぁ……暑ない?」
息子
「うん、めっちゃ暑い」
やっぱ暑いんかい!
平成生まれのポーカーフェイス
怖いわぁ〜〜。
そして、妻を見ると、
頭皮から汗がナイアガラの滝のようにドバドバ流れている。
「大丈夫か!?」と声をかけるレベルを越え、もはや命の危険を感じるレベル。
深く息を吸うと余計に暑くなるからか、浅い呼吸でやり過ごしてるのを僕は見逃さなかった。
その時、壁に掛けられた温度計が目に入った。
目を凝らして見てみる。
$${\huge さ…35℃!}$$
いやいやいやいや!!!
インドの屋台ちゃうねん。
飲食店で35℃はアカンやん。
「ちょっと蒸しますね〜」のレベルちゃうのよ。
「室内=ほぼ路上」なんよ。
たまらず店員さんを呼んだ。
「すみません……エアコンの温度、
もう少し下げてもらえません?」
すると店員さん、
消え入るような声で…
「すみません……エアコンが1台、
壊れておりまして……」
=͟͟͞͞(๑º ロ º๑) ナヌッ!?
「あの……入口のドアに張り紙を出させていただいてるんですが……」
=͟͟͞͞(๑º ロ º๑) 見てへんッ!!!
完全に見落としていた。
しかも運悪く、僕たちが座ったのは壊れたエアコンの真下。
3人揃って、
店内最高温度の特等席。
予約した覚えのない、
$${\Large 灼熱プレミアムシート。}$$
┈┈┈┈┈┈┈┈
見落とした僕らも悪い。
悪いが……35℃でメシ食わせるのはもはや合宿なんよ!!
そこへ、待望の料理が運ばれてきた。
たまには、美味しそうな料理を、
noteにアップしたろかな?
(˶ˊ꒳`˶) んふふ♡ʾʾ
なんて考えていたけど、
それどころじゃない!!
普段なら、
「うわ、美味しそう!」
「何から食べる?」
なんてなるところ。
しかし、この日の僕たちに、
料理を味わう余裕はなかった。
$${\Large 会話、ゼロ。}$$
$${\Large 感想、ゼロ。}$$
$${\Large 食レポ、ゼロ。}$$
「味が〜〜」とか言ってる場合ちゃうねん!!
いま目の前にあるのは
「料理」やなくて「脱出への関門」。
$${\LARGE 「熱ッ!」}$$
$${\LARGE 「暑ッ!」}$$
$${\LARGE 「汗ッ!」}$$
フードファイターもドン引きする異常なスピードで口に流し込む。
真っ先に完食したのは、ナイアガラの滝こと妻。
ガタッ!と立ち上がり、
$${\large 「あとは頼む!」}$$
と、僕の肩をポンと叩き、
風のように店を飛び出していった。
強すぎる。
野生の生き残り能力が高すぎる。
続いて僕が完食。
しかし僕には
「会計」という任務が残っている。
息子を待たねばならない。
ふと息子を見る。
暑いと言いながらも
$${\large モグモグ。}$$
$${\large モグモグ。}$$
$${\large マイペース。}$$
なんやこいつ。笑
ゆとり世代臭プンプンするわ。
そして、ようやく息子も完食。
秒で会計を済ませ、店内から脱出した。
┈┈┈┈┈┈┈┈
ガラガラ……(扉を開ける音)
「……あ、涼しい……✨」
外に出た瞬間、全身を包む生ぬるい風。
35℃のサウナから出たせいで、
夏の真夏日が「カリフォルニアの避暑地」に思える異常事態。
とにかく、外が天国。
人間、極限に達すると感覚がバグるらしい。
命からがら車へ逃げ込む。
すると車内は……
極寒(18℃設定・風量MAX)。
先に逃げ出した妻が、
車内をアラスカ状態に仕上げていた。
キンキンに冷えた車内に乗り込み、
「生き返る……」
と一息つく。
すると、さっきまで頭から滝汗を流していた妻が、膝を抱えてガタガタ震え出し、
「……寒ッ……!!」と言い放った。
さっきまで35℃の地獄で
「暑い暑い」と叫んでた奴が、
5分後には18℃の極寒で凍えとる。
温度差、
$${\huge 17℃}$$
こうして僕たちのお盆休みは、
「35℃のサウナ飯」から「アラスカ漂流」へと至る命がけの温度差体験で幕を閉じた。

