冒険者ギルド設定集① ── ランク・バッジ・ギルドの台所事情『受付嬢セレナの業務日誌』
田波霞一です。
本編『ギルド受付嬢です。明日から頑張ります。 〜受付嬢セレナの成長物語〜』の世界をもう少し知りたい方へ。作中に登場するギルドの仕組みを、設定資料としてまとめました。
※物語進行によっては、内容を修正・追記することがあります。
■ 冒険者ランク制度
ギルドに登録された冒険者には、実力・実績・信頼を総合的に評価したランクが与えられます。 登録は原則「満10歳以上」から。登録直後はDランクからのスタートです。
ランク 呼称 ざっくり言うと SSS 伝説級 世界に数人。国家級の戦力 SS 超英雄級 都市ひとつを守れるほどの実力者 S 英雄級 王国レベルで指名が来る AAA 上級 都市防衛も可能。若くして到達すれば天才扱い AA 中上級 小隊を率いる力がある熟練者 A 中級 通常の依頼はほぼすべて受けられる B 準中級 基礎は十分。実戦経験を積んでいく段階 C 一般上位 パーティーを組んでの活動が推奨される D 一般 登録直後。雑務や安全な護衛から始める
■ ギルドカードとバッジ
冒険者には「カード」と「バッジ」の二つが交付されます。 役割が異なるので、それぞれ説明します。
◆ ギルドカード(実績記録用)
材質は白木の木札。表面に五つの星枠が刻まれています。
依頼をこなし、信頼を積み重ねていくと、星枠の中に淡い光が少しずつ溜まっていきます。 やがて一つの枠が完全に満ちると、その星が白く灯る――これがランクアップの目安です。
Dランク:星枠だけが見える。まだどれも灯っていない
Cランク:星ひとつが灯る
Bランク:星ふたつ
Aランク:星みっつ
AAランク:星よっつ
AAAランク:星いつつ(すべて灯る)
Sランク以上になると、木札から鋼札に切り替わります。 錆びにくい特製鋼で作られ、裏面には偽造防止の魔力紋が刻まれます。
◆ バッジ(ランク証明用)
丸型のバッジで、中央にギルド紋章、縁に星が配置されています。 カードの星が完全に灯った分だけ、バッジにも星が刻まれていく仕組みです。
D〜AAAランク(通常バッジ)
地金:鉄〜銀色
星の色:白
S〜SSランク(上位バッジ)
地金:金装飾
星の色:金(縁が白)
カードと同様、鋼札への切り替えに伴い新しいバッジに交換される
SSSランク(特権バッジ)
地金:金装飾(装飾品に近い造り)
中央の紋章の上に透明な水晶がはめ込まれ、光が当たると淡くきらめく
金色の星が三つ
S以上のランクは、バッジの金の星の並びでも区別できます。
S :☆★☆(中央に大きな金星、両脇に小さな金星)
SS :★☆★
SSS:★★★
◆ ランクアップの仕組み
では、星はどうやって増えるのか。
冒険者が依頼を達成して受付に戻ると、受付職員が報告書を受理し、 冒険者のカード(木札)をカウンターに据え付けられた水晶板(記録用の魔導具)に重ねます。
このとき水晶板が読み取るのは、依頼の達成だけではありません。
達成した依頼の種類と難度
これまでの依頼履歴
受付職員が付与した「信頼評価」
この三つを総合的に判定し、基準を満たしていれば、木札の星枠に光が少しずつ溜まっていきます。
信頼評価というのがポイントで、これは受付職員の判断が反映される仕組みです。 「報告内容が正確か」「規律を守っているか」「仲間との連携はどうか」―― 受付職員がそうした日々の観察をもとに、魔力印として水晶板に流し込みます。
つまり、同じ回数の依頼をこなしていても、信頼の積み重ね方によって星の溜まる速さは変わります。 虚偽報告や規律違反が重なれば、内部評価が下がり、星はなかなか満ちません。
逆に言えば、派手な戦果がなくても、堅実に信頼を積み上げていく冒険者は着実にランクが上がっていく。 そういう仕組みになっています。
◆ 降格と剥奪
信頼評価は加点だけでなく減点も行われます。重大な規律違反や虚偽報告、著しい依頼失敗が続いた場合、灯っていた星が消える「降格」の措置が取られることがあります。 さらに、ギルドの信用を著しく失墜させる行為があった場合は、ランク剥奪および登録抹消(追放)となります。
■ ランクごとの待遇
◆ パーティーランク パーティーを組んで活動する場合、そのパーティーのランクは「メンバー内で最も高いランクの者」が基準となります。 例えば、Aランクが1名、他がBやCランクの構成であっても、そのパーティーは「Aランクパーティー」として扱われ、相応の難度の依頼を受注することが可能です。ただし、その分、低ランクのメンバーには相応の危険と責任が伴うことになります。
ランクが上がるほど、ギルドからの待遇も変わっていきます。
Dランク 月給はなし。完全に依頼報酬のみの歩合制です。 登録時に手数料として銀貨5枚が必要。単独での依頼受注は禁止されています。
Cランク 月の固定給はまだありません。パーティーを組んでの依頼が推奨されます。
Bランク 「活動手当」として月に銀貨5枚が支給されます。 ポーション代や装備の手入れ代の足し、という位置づけです。
Aランク 活動手当が月に銀貨15枚に。通常の依頼はほぼすべて受注でき、 ギルド側からも「簡単に失いたくない戦力」として扱われ始めます。
AAランク 月に銀貨30枚。指名依頼も増え、報酬の上限も引き上げられます。
AAAランク 月に金貨1枚(=銀貨20枚)。エリート冒険者の証です。
Sランク 月に金貨15〜20枚。さらに任務ごとの特別賞与が大金貨単位で出ることも。
SSランク 月に金貨50枚前後。専用の契約金や装備支給もあります。
SSSランク 年俸制。大金貨10枚以上に加え、生活面のほぼすべてが国家負担となります。
■ ギルドの台所事情 ── お金はどこから来て、どこへ行くのか
冒険者ギルドは慈善団体ではありません。組織として収入があり、支出があります。
◆ 収入
依頼手数料 依頼報酬の15%がギルドの取り分です。 内訳はおおよそ、10%が支部・本部の運営費、5%が冒険者共済の積立に充てられます。
国からの治安維持予算 魔物討伐や街道の安全確保を国から「外注」される形で、予算が支払われます。 アテナイア王国はこの予算が厚く、本部やアロマ支部の財政を支えています。
その他 冒険者の共済掛け金(報酬から自動天引き)、地図やダンジョン情報の販売、 商人ギルド向けの安全交易路レポートの有償提供なども収入源です。
◆ 支出
各支部の運営費(建物維持、魔導通信、備品、書類)
職員の給料(受付、鑑定士、書記、雑務など)
冒険者への活動手当・月給
冒険者共済からの給付(負傷・死亡時の保障、遺族への支払い)
辺境支部の赤字補填
◆ 冒険者共済
依頼手数料の一部と、冒険者本人の掛け金から積み立てられる保障制度です。 冒険者が重傷を負ったり、命を落としたりした場合に、本人や遺族へ給付が行われます。
月末の晦日には、その月の収支をすべて突き合わせる決算作業があり、 受付職員たちにとっては一ヶ月で最も過酷な夜になります。
■ 通貨の目安
この世界の通貨はすべてコイン。流通単位は「テラ」です。
単位 換算 大金貨 1枚 = 金貨 10枚 金貨 1枚 = 銀貨 20枚 = 銅貨 1,000枚 銀貨 1枚 = 銅貨 50枚
物価の目安
焼きたてパン:銅貨25枚
肉150g:銀貨1枚
オレンジジュース:銀貨1枚+銅貨10枚
慎ましい一人暮らしの生活費:月に銀貨10〜15枚ほど
Dランクの冒険者が日銭の依頼だけで暮らすのは、なかなか厳しい世界です。
登場人物はこちらです。
本設定は物語の進行に合わせて追記・修正することがあります。
2026/4/28 初版
2026/7/09 登場人物とTALESのリンク追加した
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