資金繰りが苦しい会社ほど間違った判断をしてしまう理由
資金繰りが経営判断を歪める瞬間
「先生、とにかく今月を乗り切りたいんです。」
私は経営相談の現場で、この言葉を何度も聞いてきました。
その気持ちは痛いほど分かります。
給与の支払い
取引先への入金
銀行の返済
会社は利益だけでは動きません。
現金がなければ、どれだけ将来性があっても事業は続けられないからです。
だからこそ、資金繰りが厳しくなると、経営者は冷静な判断をしにくくなります。
私は、その瞬間を何度も見てきました。
キャッシュがないのは本当に辛いですよね😓。
キャッシュは人間にとって、血ですから。
1.目の前のお金しか見えなくなる
資金繰りに余裕があるときは、半年後、一年後を考えられます。
ところが、資金が不足し始めると、視野は一気に狭くなります。
「今週をどう乗り切るか。」
「今月の支払いをどうするか。」
頭の中が、そのことでいっぱいになりますよね。
長期的には良くないと分かっていても、目先のお金を優先せざるを得なくなるのです。
この沼から抜けることが難しいと感じている経営者は多いです!
2.利益より売上を追い始める
資金繰りに苦しむ会社ほど、
「とにかく仕事を取ってこい。」
という雰囲気になります。
しかし、その仕事は本当に利益が出るのでしょうか。
利益率の低い仕事
回収まで時間がかかる仕事
無理な値引きをした仕事
売上は増えても、お金が残らないケースは少なくありません。
今は、原価が高騰しているので、この言葉は経営者の方には
実感されるのではないでしょうか。
売上を追うことと、お金を残すことは、必ずしも同じではないということが
まさに目の前で起きてませんか。
3.必要な投資まで止めてしまう
資金繰りが苦しくなると、支出を減らそうと考えます。
もちろん、無駄な経費を見直すことは大切です。
しかし、その一方で、
人材育成
設備更新
営業活動
将来のために必要な投資まで止めてしまう会社もあります。
その結果、さらに売上が伸びなくなり、資金繰りが悪化するという悪循環に陥ることがあります。
ちょっと極端な例を出しますね。
例えば、和食割烹でリーズナブルな価格の会食セットを提供していた
お店が価格を変えずに、素材を変えて飲食を提供していたら
客離れが激しくなったという飲食店がありました。
結局のその飲食店は廃業してしまいました。
これは必要なところにコストをかけて、売価に反映させるべきところ
原価を下げる方向で、素材を変えたために起きた現象ですよね。
このように無駄な経費ではなく、必要な経費を削減して
自滅の道を歩んでしまうケースは実は経営相談の場では結構あります。
4.相談が遅れる
私が最も残念に感じるのは、相談のタイミングです。
「もっと早く相談していただければ、選択肢がありましたね。」
そうお伝えすることがあります。
資金繰りが限界に近づくほど、打てる手は少なくなります。
一方で、少し余裕がある段階であれば、
銀行との相談
資金計画の見直し
事業の整理
できることはたくさんあります。
5.数字は経営者を冷静にしてくれる
私は、資金繰りが厳しい会社ほど、数字を見ることが大切だと思っています。
感覚ではなく数字
希望ではなく数字
「なんとかなる。」
ではなく、
「あと何か月持つのか。」
「何を改善すれば資金が増えるのか。」
数字を見える化すると、不思議と経営者は落ち着きを取り戻します。
現実が見えると、次の一手も見えてくるからです。
まとめ
私は、資金繰りに悩む経営者を数多く見てきました。
だからこそ、お金の不安が判断力に与える影響の大きさを実感しています。
資金繰りが苦しくなると、人はどうしても目の前の現金に意識が向きます。
それは決して弱いからではありません。
会社を守ろうとする自然な反応です。
しかし、その状態が続くと、本来であれば避けられた判断ミスも起こりやすくなります。
利益の出ない仕事を受ける。
必要な投資を止める。
相談のタイミングを逃す。
こうした積み重ねが、さらに経営を苦しくしてしまうことがあります。
だからこそ、資金繰りは「苦しくなってから考えるもの」ではなく、「余裕があるときから備えるもの」だと私は考えています。
経営者にとって本当に必要なのは、お金に振り回されることではありません。
数字を正しく見つめ、冷静に判断できる環境を自らつくることです。
それが、会社を長く続けるための土台になるのではないでしょうか。
