退職を伝えたら「損害賠償する」と言われた…本当に払う必要がある?
「会社を辞めたいです」
勇気を出して退職を伝えたところ、
「今辞められたら会社に損害が出る」
「損害賠償を請求するからな」
「代わりの人が見つかるまで辞めさせない」
こんなことを言われたら、不安になりますよね。
「本当に何十万円、何百万円も請求されるの?」
「退職しただけで損害賠償になる?」
「怖くて退職できない……」
そんな方に、まず知っておいてほしいことがあります。
退職したという事実だけで、当然に会社への損害賠償義務が発生するわけではありません。
ただし、「退職なら何をしても絶対に損害賠償されない」という意味でもありません。
今回は、
* 退職すると損害賠償されるのか
* 「辞めたら○万円」という契約は有効なのか
* 損害賠償が問題になるケース
* 有期契約の場合の注意点
* 会社から請求された場合の対処方法
をわかりやすく解説します。
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結論|「退職したら損害賠償」と言われても、すぐ払う必要があるとは限らない
まず重要なのが労働基準法第16条です。
同条では、使用者が労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額をあらかじめ予定する契約をしたりすることを禁止しています。
厚生労働省も、例えば、
「1年未満で退職したらペナルティとして10万円」
といった条件をあらかじめ決めることはできない、と説明しています。
つまり、
「退職したら罰金50万円」
「3年以内に辞めたら100万円」
などと最初から金額を決めて労働者を拘束することには、法律上の問題があります。
実際、鹿児島労働局も「3年以内に退職した場合は会社に50万円を支払う」という契約について、労働基準法第16条により、違約金や損害賠償額を予定することは禁止されていると説明しています。
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では、会社は絶対に損害賠償請求できない?
ここは誤解されやすいところです。
会社が実際に受けた損害についてまで、一切請求できなくなるわけではありません。
厚生労働省も、労働基準法第16条について「あらかじめ賠償額を決めておくこと」を禁止するものであり、労働者が故意や不注意によって現実に会社へ損害を与えた場合の請求まで禁止するものではないと説明しています。
ただし、
「会社に損害が出た=労働者が全額払う」
でもありません。
厚生労働省が紹介する裁判例の考え方では、仕事上のミスで会社に損害を与えたとしても、労働者が当然に損害賠償責任を負うわけではありません。
事業の性格・規模、仕事内容、勤務態度、行為の内容、会社側のリスク管理など、さまざまな事情を踏まえて判断されます。
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「あなたが辞めたせいで人手不足になった」は?
例えば会社から、
「繁忙期なのに辞めたから損害が出た」
「代わりの人を採用する費用を払え」
「取引先に迷惑がかかったから損害賠償する」
と言われるケースがあります。
しかし、会社側がそう主張したからといって、その金額がそのまま労働者の支払義務になるわけではありません。
損害賠償が法的に認められるかどうかは、実際の行為や損害、因果関係など個別事情によって判断されます。
「損害賠償するぞ」と言われただけで、慌ててお金を振り込んだり、会社が作成した合意書にその場で署名したりしないことが大切です。
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正社員など無期雇用の場合は?
期間の定めがない労働契約について、厚生労働省は民法627条1項に基づき、労働者が退職を申し入れれば原則としてその後2週間が経過した時点で労働契約が終了すると説明しています。
そのため、
「会社が許可するまで退職できない」
「後任が見つかるまで辞められない」
と当然に決まるわけではありません。
ただし、退職日や有給休暇、引継ぎなどを巡って個別の問題が生じることはあります。
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注意|有期契約は同じとは限りません
契約社員など、契約期間が決まっている労働契約については注意が必要です。
厚生労働省は、有期労働契約を期間満了前に退職する場合、民法628条との関係で「やむを得ない事由」が問題となり、事情によっては損害賠償責任が発生するリスクがあると説明しています。
したがって、
正社員(無期雇用)の退職と、契約期間途中の有期雇用の退職をまったく同じように考えるのは危険です。
契約社員・有期雇用の方は、雇用契約書や労働条件通知書の契約期間も確認しておきましょう。
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「損害賠償分を最後の給料から引く」と言われたら?
ここも重要です。
厚生労働省は、労働基準法24条の賃金全額払いの原則との関係で、会社が賠償金などを賃金から一方的に控除することは原則として認められないと説明しています。
例えば、
「損害が10万円だから最後の給料から10万円引いておく」
と会社が一方的に処理できるとは限りません。
実際に給与から控除された場合は、給与明細や会社とのやり取りを保存しておきましょう。
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損害賠償すると言われたときに残しておきたいもの
会社とトラブルになりそうな場合は、感情的に反論するよりも、まず記録を残すことが重要です。
特に、
* 雇用契約書
* 労働条件通知書
* 就業規則
* 退職届・退職願のコピー
* LINE・メール・チャット
* 会社から届いた請求書
* 損害賠償について書かれた書類
* 給与明細
* 会社とのやり取りの記録
などは保管しておきましょう。
そして、会社から具体的な金額を請求された場合には、
「何を根拠に」「どの行為によって」「いくらの損害が発生したと主張しているのか」
を確認することが大切です。
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「損害賠償する」と言われて退職できない方へ
会社から強い言葉を言われると、
「裁判になったらどうしよう」
「家族に迷惑がかかったらどうしよう」
「だったら我慢して働くしかないのかな」
と思ってしまう方もいます。
でも、「損害賠償」という言葉だけで退職を諦める必要はありません。
一方で、本当に請求書・内容証明・訴状などが届いている場合や、有期契約途中の退職、会社に実損害を与えた可能性があるケースなどでは、個別の法的判断が必要です。
その場合は、弁護士など適切な専門家へ相談してください。
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退職を伝えること自体が怖いなら
「辞めたい。でも上司に言えない」
「退職を伝えたら怒鳴られそう」
「引き止められるのが怖い」
「会社との電話が怖くて動けない」
そんな状態で、一人ですべて対応する必要はありません。
退職サポートDREAMでは、退職に関する連絡を自分で行うことが難しい方からのご相談を受け付けています。
まずは、
「こんな状況でも相談できますか?」
という段階からでも大丈夫です。
※具体的な法律相談、法的判断、会社との交渉等が必要となる場合は、対応可能な弁護士等への相談が必要となります。
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まとめ
退職を伝えた際に会社から「損害賠償する」と言われても、その言葉だけで直ちに支払義務が確定するわけではありません。
労働基準法16条では、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額をあらかじめ予定したりすることは禁止されています。
一方、実際に労働者の行為によって会社に損害が生じた場合の請求まで全面的に禁止されているわけではなく、具体的な責任の有無・範囲は個別事情によって異なります。
だからこそ、
「損害賠償と言われた=退職できない」
「請求された=必ず全額払わなければならない」
と決めつけないことが大切です。
怖くて会社と直接話せないなら、まずは第三者へ相談するところから始めてみてください。
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