損得で動く人は、選ばれない
「集客がうまくいきません」
というご相談を受けることがあります。
もちろん、発信の仕方や商品設計、導線など、見直すポイントはいろいろあります。
でも実は、その前に見てほしいものがあります。
それが、自分の中にある“損得勘定”です。
「これをやったら得かな?」
「これだけしか来ないなら、やる意味あるかな?」
「この人にここまでしても、回収できるかな?」
こういう考え方が強くなると、不思議なくらい人が離れていきます。
なぜなら、お客様は言葉以上に、
“自分が大切に扱われているかどうか”
を感じ取っているからです。
■まず与える。受け取るのはその後
ビジネスではよく、
「Give & Take」
という言葉を使います。
でも、順番を見てください。
Giveが先で、Takeが後です。
つまり、まず自分が与える。受け取るのはその後。
この順番が大事なのです。
たとえば、4名募集のレッスンを開催するとします。
採算を考えると、最低2名は来てほしい。
ところが、実際に申し込みが入ったのは1名だけ。
この時、あなたならどう考えますか?
「1人しか来ないのか。割に合わないな」
と思うのか。
それとも、
「1人でも来てくださった。その方に最高の時間を提供しよう」
と思うのか。
この違いは、とても大きいです。
1人しか集められなかったのは、主催者側の事情です。
そのお客様には関係ありません。
むしろ、その方は自分の予定を調整して、
あなたのレッスンを選んで来てくださったわけです。
だったら、
「1人で残念」
ではなく、
「1人でも来てくださってありがたい」
が先ではないでしょうか。
■「1人ならやりたくない」は、お客様に伝わる
人は、想像以上に雰囲気を感じ取ります。
口では笑顔で、
「今日はありがとうございます」
と言っていても、心の中で、
「1人だけか……」
「これじゃ赤字だな」
「面倒だな」
と思っていたら、その空気は伝わります。
そして、お客様は、
「なんとなく居心地が悪かった」
「歓迎されていない気がした」
と感じます。
そうなれば、次は来ません。
つまり、
集客できなかったからテンションが下がる。
テンションが下がるから満足度が下がる。
満足度が下がるからリピートされない。
さらに集客が苦しくなる。
この悪循環に入ってしまうのです。
損得で動くほど、結果的に損をする。
ビジネスでは、こういうことが本当によくあります。
■小さなチャンスを雑に扱う人に、大きなチャンスは来ない
満席が続く教室の先生は、
目の前の小さなチャンスをとても大事にします。
1人だから手を抜く。
人数が多い時だけ頑張る。
そんなことはしません。
なぜなら、
目の前の1人が、未来の10人につながることを知っているからです。
「すごく良かった」
「また来たい」
「友達にも紹介したい」
そう思ってもらえれば、その1人が次のご縁を運んでくれることもあります。
逆に、
「今日は人数少ないから、まあいいか」
と雑に扱えば、その場でご縁は止まります。
ビジネスは、大きなチャンスだけを取りにいくものではありません。
小さなチャンスを丁寧に育てて、
少しずつ大きくしていくものです。
■私も、1人のレッスンを全力でやっていました
私がパン教室を運営していた頃も、
コースレッスンを開催していました。
すべての曜日で、できれば3席埋めたい。
そう考えて募集していました。
でも、当然ながら、
毎回必ず満席になるわけではありません。
1名だけという日もありました。
それでも、
「1人しかいないから残念」
とは考えませんでした。
むしろ、
「今日はプライベートレッスンみたいに、じっくり楽しんでもらおう」
と切り替えていました。
6回コースをずっと1人で開催するのは、簡単ではありません。
でも、その方との関係をしっかり築き、
結果的にはその後、上のクラスにも進んでくださいました。
ここで私が、
「人数少ないから、適当でいいや」
と思っていたら、その未来はありませんでした。
■お客様を大切にすることと、御用聞きは違う
ここで一つ、勘違いしてほしくないことがあります。
「お客様のために動く」
というのは、
何でも言うことを聞くという意味ではありません。
お客様の言う通りにすべて変える。
無理な要求も全部受け入れる。
これは違います。
教室には、教室のポリシーがあります。
先生には、先生の軸があります。
その軸は守っていいのです。
その上で、
目の前のお客様をどうしたら満足させられるかを考える。
これが大切です。
自分を犠牲にするのではなく、自分の都合だけを優先しない。
このバランスが必要なのです。
■うまくいかない時ほど、自分の思考を点検する
集客が止まった時、
すぐにSNSや広告のせいにしたくなることがあります。
でも、その前に、自分の思考を点検してみてください。
「人数が少ないと、やる気が下がっていないか」
「得になる人だけを大事にしていないか」
「自分の都合で、お客様を動かそうとしていないか」
「まず受け取ることばかり考えていないか」
ここに心当たりがあるなら、
テクニックを変える前に、思考を変えた方がいいかもしれません。
上手くいかない行動の前には、
上手くいかない思考があります。
逆に言えば、
思考が変われば、行動も変わります。
行動が変われば、お客様への接し方も変わります。
そして、その積み重ねが結果につながります。
■おわりに:たった1人でも、全力で向き合う
ビジネスを安定させるためには、
リピートしてくださるお客様の存在が欠かせません。
だからこそ、目の前の1人を大切にする。
人数が多い時だけ頑張るのではなく、
たった1人でも全力で向き合う。
その姿勢が、
「また来たい」
「この先生にお願いしたい」
につながります。
損得勘定をなくすというのは、
無計画に赤字を出し続けるという話ではありません。
短期的な得だけで、お客様への対応を変えない。
ということです。
まずは、自分から与える。
その積み重ねの先に、信頼も、リピートも、売上もついてきます。
目の前の1人を雑に扱わない。
その姿勢が、長く選ばれる教室を作っていきます。
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