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【マーケター・営業向け】人は「得したい」より「損したくない」。損失回避で考えるマーケティング。

1万円を手に入れたときの嬉しさより、1万円を失ったときのショックや苦痛の方が、約2倍強く感じられる。このように、人は「得すること」よりも「損を避けること」に強く反応する傾向がある。

これを、行動経済学では損失回避と呼ぶ。

この考え方は、マーケティングでも営業でも使える。

商品を売ろうとすると、
「これを買うと、こんなメリットがあります」
「これだけ売上が上がります」
「これだけ時間を削減できます」
と、どうしても「得」を伝えたくなる。

もちろん、それも大事だが、人を動かしたいなら、

「このままだと何を失うのか」

も同じくらい考えるべきだ。

同じ価値でも、「得」と「損」で感じ方は変わる

たとえば、業務効率化ツール。「導入すれば、毎月20時間の作業時間を削減できます」と言われれば、普通に魅力的だが、

「今のやり方を続ける限り、毎月20時間を失い続けています」

と言われると、少し感じ方が変わる。前者は、「20時間増える」という話。後者は、「今この瞬間にも20時間を失っている」という話になる。伝えている価値はほぼ同じ。でも、どこを起点に見せるかで受け取り方は変わる。

営業でも「現状維持のコスト」を考える

営業でも同じ。

「このサービスを導入すると、売上が上がります」
「業務効率が改善します」
「コストを削減できます」

と、導入後のメリットばかり説明しがち。

でも相手からすると、「良さそうだけど、今のままでも別に困ってない」で終わることがある。そこで考えたいのが、何もしないことにもコストがあるということ。

問い合わせを毎月取りこぼしている。
手作業に何十時間も使っている。
解約される顧客を放置している。
採用できず、既存社員に負荷がかかっている。
今の状態を続けることで、すでに何かを失っている場合がある。

営業で強いのは、「導入したら何が得られるか」だけじゃなく、「この問題を放置したら、今後何を失うのか」まで見せることだと考える。

「今だけ」が効くのも、失うものが生まれるから

ECサイトを見ると、
「残りわずか」
「期間限定」
「キャンペーン終了まであと○時間」

のような表現をよく見る。これも損失回避と相性がいい。「今買えば得する」だけではなく、「今買わないと、この条件を失う」に変わるから。たとえば、「今なら送料無料」は得の訴求。一方で、「このキャンペーン終了後は通常送料に戻ります」となると、今持っている条件を失う話になる。ただし、存在しない期限や在庫を作って煽るのは別。

大事なのは、
本当に存在する損失を、分かる形にすること」

「買った未来」だけじゃなく、「買わなかった未来」も見せる

マーケティングでは、「この商品を買ったら、どんな未来になる?」をよく考える。いわゆるベネフィット。でも、その反対側も考えたい。

「買わなかったら、どうなる?」

英語学習なら、「英語が話せるようになる未来」だけじゃない。何もしなかったら、半年後も、「そろそろ英語やらないとな」と言っている可能性がある。転職なら、「理想の会社に行ける」だけではなく、今の状態を続けた結果、半年後も同じ仕事に不満を持っている可能性がある。ダイエットでも同じ。「痩せた未来」を見せるだけじゃない。何もしなかった未来も見せる。この視点が入ると、現状維持にもコストがあることに気づきやすくなる。

損失回避は、不安を煽ることではない

損失回避を使うというと、「不安を煽れば売れる」みたいな話になりやすい。ただ、自分は違うと思っている。

マーケティングでやるべきなのは、

存在しない恐怖を作ることではなく、すでに存在している損失を見えるようにすること。

毎月どれくらい時間を失っているのか。
年間いくら余計に払っているのか。
どれだけ機会を逃しているのか。
このままの状態を続けると、何が変わらないのか。

それが事実なら、ちゃんと伝える。

前回公開した「買わない理由を消す」ともつながっている

前回、「買わない理由を埋めれば、商品は売れる」という話を書いた。
損失回避も、つながっている。

商品は欲しい。
価格も問題ない。
信用もできる。

ただ最後に、

「今じゃなくてもいい」

が残っている。

これはかなり強い買わない理由。ここで、「今行動しなかった場合に何を失うのか」が具体的になれば、「今じゃなくてもいい」が消えることがある。

つまり、

「欲しい」を増やすだけではなく、「動かない理由」を減らす。

損失回避は、その一つの考え方になる。

「何が得られる?」の反対側を見る

マーケティングでも営業でも、「この商品を買うと、何が得られる?」は必ず考える。そこに、もう一つ問いを足す。

「買わなかったら、何を失う?」

時間。お金。機会。顧客。成長。選択肢。
人は「得したい」だけで動いているわけじゃない。

「これ以上、損したくない。」

この気持ちも、意思決定を大きく動かしている。だから訴求を考えるとき、「どうすればもっと魅力的に見えるか?」だけではなく、

「このまま何もしなかったら、この人は何を失うんだろう?」

まで考えてみるといい。


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