見出し画像

売上が伸びている士業ほど、「センセイの時間」が限界になる理由


こんにちは、高島です。

今日、ある士業事務所で、第1回目のコンサルティングを行いました。
最初に行ったのは、「時間の棚卸し」です。

この事務所は、決して仕事がなくて困っているわけではありません。
むしろ逆です。
売上は大きく伸び、スタッフも増え、事務所は順調に成長しています。

ところが、代表の先生は以前よりも忙しくなっていました。
スタッフからの質問。
書類の確認。
顧客対応の判断。
案件の進捗確認。
スタッフが作成した書類の最終チェック。

ほとんどの仕事が、最後は代表の先生のところに集まっていました。
ですので、先生は朝6時に出勤して自分の仕事を片付けて。
日中は、スタッフへの指示や相談、電話やメールで1日が終わり。
時間を使って考えることは、土曜日に誰もいない事務所で行っていました。
働く時間は、月300時間近くです。

スタッフを増やしたのに、なぜ楽にならないのか

事務所が忙しくなると、多くの士業はスタッフを採用します。
正社員でなくても、パートやアルバイトという選択肢もありますね。

もちろん、人材の採用は必要です。
しかし、人を増やせば代表が楽になるとは限りません。

スタッフが増えると、何が増えるか?
質問や確認も増えます。

「この場合はどう対応しますか?」
「この書類で問題ありませんか?」
「このお客様には、どこまで説明すればよいですか?」
「先生、最終確認をお願いします」
スタッフが真面目であればあるほど、確認を求めます。

その結果、代表は自分の仕事に加えて、スタッフが行った仕事の確認まで抱えることになります。

気がつけば、代表は事務所の中で最も忙しい人になっています。

本当の問題は、人手不足ではない

このような事務所を見ると、

「もっと人を採用した方がよい」
「採用するなら、即戦力や経験者で」
「ITツールを導入した方がよい」
「業務をマニュアル化した方がよい」
という提案が出てきます。

どれも間違いではありません。
しかし、その前にやるべきことがあります。

それが、「先生の時間の使い方」を明らかにすることです。

代表が現在行っている仕事を、次のように分けていきます。
・代表にしかできない仕事
・スタッフに任せられる仕事
・判断基準を決めれば任せられる仕事
・ITで減らせる仕事
・そもそもやめても問題のない仕事

この整理をしないまま人を採用すると、仕事のやり方が曖昧なまま人だけが増えます。
これは、AIを導入しても同じです。

そして、新しく入った人からの質問や確認が増え、代表はさらに忙しくなります。
「新人を教育する時間すら取れなくて・・・」
今日の先生もおっしゃっていました。

「自分がやった方が早い」の落とし穴

スタッフに任せられない理由をお聞きすると、多くの先生がこう答えます。
「自分がやった方が早いんです」
「ミスをした時のカバーの時間がもったいないです」

確かに、今だけを見ればそうでしょう。
経験も知識もある代表が行った方が、早くて正確です。

しかし、代表がすべてを抱えている限り、スタッフはいつまでも育ちません。

任せることには、一時的に時間がかかります。
説明する。
やってもらう。
確認する。
修正点を伝える。
もう一度やってもらう。

最初は、あなたが自分で行うより時間がかかります。
それでも、その時間を使わなければ、半年後も1年後も同じ仕事を代表が行うことになります。

「自分がやった方が早い」は、目の前の時間を節約しているようで、未来の時間を失っているのです。

仕事ではなく、「判断」を任せる

業務を任せるときに重要なのは、作業手順だけではありません。

代表が、どのような基準で判断しているのかを言葉にする必要があります。

例えば、
・どの段階で代表に相談するのか
・いくら以上なら承認が必要なのか
・どのような顧客は慎重に対応するのか
・どの程度のミスならスタッフが修正してよいのか
・何を報告し、何を相談し、何の承認を得るのか

こうした基準が曖昧なままでは、スタッフは自分で判断できません。
だから、何でも代表に聞くようになります。

スタッフに仕事を任せるだけでは不十分です。
判断基準と権限を渡すことが必要なのです。

代表の仕事は、書類を確認することではない

もちろん、資格者として最終確認が必要な仕事はあります。

しかし、代表の最も重要な仕事は、すべての書類を細かく確認することではありません。
です。

どのようなお客様を増やすのか。
どの仕事を減らすのか。
どの分野に力を入れるのか。
誰を採用し、誰を育てるのか。
どのような事務所を3年後につくるのか。

ところが、目の前の仕事に追われていると、こうしたことを考える時間がなくなります。

売上は伸びているのに、未来を考える時間がない。
これは、事務所にとって非常に大きなリスクです。

まずは、時間の棚卸しから始める

人材採用やIT化は、その後です。

最初に、
「代表は、現在何に時間を使っているのか」
「その仕事は、本当に代表が行う必要があるのか」
を明らかにします。

何をやめるのか。
何を減らすのか。
何を任せるのか。
何を仕組みにするのか。

これが決まった後で、人材採用、マニュアル化、IT導入を行います。
この順番を間違えてはいけません。

仕事が増え、スタッフも増え、売上も伸びている。
それなのに、代表だけがますます忙しくなっている。

そんな士業の先生は、一度立ち止まって時間を棚卸しする時期に来ています。

最後に、一つ質問します。
もし、あなたが1週間事務所を空けたとしたら、現在の仕事はどこまで回るでしょうか。

この質問への答えが、あなたの事務所の現在地です。



いいなと思ったら応援しよう!