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決算書は死亡診断書ですか? —— 税理士が生まれ変わる時代

https://note.com/takashima_time/n/ne401f643e925

あなたは税理士ですか?
それとも、経営者ですか?


もしあなたが税理士なら、
今から問いかけられることが、少し耳が痛いかもしれません。

でも、これは責任ではなく、可能性への問いかけです。


決算書を渡すとき、経営者は何を思っているか

「決算書ができました。ご確認ください」

毎年、税理士はこの言葉とともに、決算書を経営者に渡します。

経営者はそれを受け取って、見ます。

売上はこうでした。 利益はこうでした。 前年比はこうです。

そして、経営者はこう思います。
「で、次に何をすればいいんですか?」

その質問に、税理士は何と答えていますか?

過去の分析は、死亡診断書と同じ

医学的な比喩をお許しください。

決算書とは、言ってみれば病院の死亡診断書に似ています。
「患者様は〇月〇日〇〇時〇〇分に、心筋梗塞により亡くなられました」

事実は、記されています。
精密です。
正確です。
でも、患者はもう死んでいるんです。

決算書も同じ。

「売上は前年比120%でした」
「利益は〇〇万円でした」
「キャッシュフローはこうでした」

すべて、事実です。
すべて、既に過ぎた時間。
既に決まったこと。
もう変えようがない。

AIが税理士の仕事を奪う日は近い

少し厳しい言い方をします。

決算書を作るだけなら、税理士はもう必要ありません。
AIで十分です。
実は、既にAIが決算書を作成するサービスは存在します。

帳簿データを入力すれば、決算書が自動生成される。
税務申告書も自動生成される。
そのレベルであれば、人間の税理士は不要です。

なぜなら、決算書は過去の事実を記すだけだから。

その仕事は、ルールが決まっています。
機械的です。
AIが得意な領域です。

経営者が本当に欲しいものは、処方箋だ

でも、経営者は諦めていません。

「決算書ください」と言っているわけではなく、
本当に欲しいのは処方箋です。

「今後、どうするか」 「来期、何に力を入れるか」 「キャッシュはどう管理するか」 「税負担をどう最適化するか」 「事業をどう拡大するか」

そういう未来の提案を欲しています。

過去の診断書ではなく、未来への処方箋。
その処方箋を書ける税理士が、価値がある。

その処方箋を書けない税理士は、単なる事務屋です。

税理士の価値はどこにあるのか

では、税理士の本当の価値は、どこにあるのか。

それは、決算書を読んだ先にあるということです。

決算書を見て、次のようなことを考える力。
「この売上増加は、一時的なものか。それとも構造的なものか」
「利益率が下がっているのは、単価の低下か。それとも原価の上昇か」
「キャッシュが減っているのは、投資か。それとも経営危機か」

そうした分析を通じて、初めて見える経営の本質。
その本質に対して、アドバイスができる。

「来期は、このKPIに注力してください」
「この部分の構造を変えれば、利益率は5ポイント上がります」
「キャッシュフロー改善のために、受取条件をこう変えましょう」

逆に、「机上の理屈」をこねくり回すと、捨てられます。

私のコンサル受講生の実話。
スタッフ5人の庭師さん。
税理士がこんなアドバイスしたそうです。
「利益率アップのために、労働分配率を下げましょう!」
私は「そんな税理士はクビにしなさい!」と言いました。

今の経済状況はどうですか?
諸物価が高騰し、働く人は生活が苦しい。
賃上げして欲しくてたまらない。

それなのに、経営者が給料を引き下げるような動きをすれば。
そんな会社に見切りをつけて行くでしょう。
そうなると、スタッフ5人の会社はすぐに行き詰まります。
まさに「角を矯めて牛を殺す」です。
こんな、百害あって一利なしのアドバイスは、コンサルティングとは言えません。

そこが、AI時代で生き残る税理士の仕事の分岐点です。

28年のパナソニック経験から見えたもの

少し、個人的な話をさせてください。

私は、28年間パナソニックで働きました。
その間、経理部門の責任者として、毎月毎月、決算書を見ました。

でも、決算書を見るだけでは何も変わりませんでした。

大事だったのは、その決算書から何を読み取るか
そして、その読み取った内容から、次のアクションを決定することでした。
「経営の羅針盤」として、経営者をサポートするのが役割でした。

松下幸之助が経営で大事にしていたのも、決算書ではなく、経営判断です。

決算書の数字を見て、
「売上が100だ。では、次は120にするために何をするか」
その意思決定の連続が、松下電器を大きくしました。

決算書は、単なる過去の記録ではなく、未来への出発点なのです。

時間管理と時間工学の違いのように

最近、私は「時間工学」という概念を提案しています。

時間管理と時間工学は違います。

時間管理は、P/Lだけを見るもの。
「今日、何時間働いたか」 「今月、いくら売上が立ったか」 「今年、どれだけの利益が出たか」
過去の実績、その分析。

一方、時間工学は、P/LとB/Sで考えるもの。

「今日の1時間は、明日にどう繋がるか」 「今月の経験は、来年の資産になるか」 「今年の投資は、5年後の競争力になるか」

短期の成果と、中長期の資産。
両方を考える。

決算書も同じです。
「過去の数字」だけを見る税理士は、時間管理型の税理士
「過去の数字から、未来を提案できる税理士」は、時間工学型の税理士

その違いが、提供できる価値の違いになります。

決算書を読む深さが、提案の質を決める

では、実際に何が変わるのか。

例えば、売上が20%増加した企業があるとします。

多くの税理士は、「おめでとうございます。売上が20%増加しました」と言って終わり。

でも、深く読む税理士は、こう問い始めます。

「その20%増加は、既存顧客からか。新規顧客からか」
「既存顧客からなら、単価上昇か。数量増加か」
「利益率は、前年と同じか。変わったか」
「その利益増加は、営業利益か。それとも販管費削減か」

その分析から、初めて見えることがあります。
「実は、売上は増えたけど、利益率は下がっている」

その場合、次のアドバイスは変わります。
「売上増加を喜ぶだけでなく、利益率改善に注力してください。さもないと、3年後、キャッシュが逼迫します」

そうしたアドバイスができるかどうかで、税理士の価値が決まります。

松下幸之助が事業部にB/Sを与えた理由

パナソニック(松下電器)が、他社と違ったのは、事業部制度にあります。

他の企業は、事業部にP/L(損益計算書)だけを与えているでしょう。
「いくら売上を立てたか。いくら利益を出したか」
その数字だけで、業績評価しています。

でも、松下電器は違った。
事業部にP/LとB/S(貸借対照表)を両方与えていました。

つまり、事業部長に対して、こう言っていたわけです。
「短期の利益だけでなく、資産を考えろ」
「従業員という資産を増やしているか」
「技術という資産を蓄積しているか」
「ブランドという資産を構築しているか」
「顧客関係という資産を深めているか」

その中長期の資産形成と、短期の利益創出。
両方を見ながら経営していく。

それが、松下電器が長期間にわたって競争力を持ち続けた理由です。

税理士も同じです。

決算書(P/L)だけでなく、
その先にある経営の資産(B/S)を見る視点が必要です。

税理士の覚悟が問われている

ここまで読んでいただいて、一つの質問があります。

あなたは、どちらの税理士でありたいですか?

決算書を作って、「お疲れ様でした」と言うだけの税理士か。

それとも、決算書を読んで、「来期は、こうしましょう」と提案できる税理士か。

前者なら、AIに仕事を奪われる日も近い。
後者なら、経営者から相談を受け続ける。

経営者は、決算書を作ってくれる人ではなく、次の一手を教えてくれる人を求めています。

その人が、本当の意味での税理士です。

過去の分析から未来の提案へ

決算書は、死亡診断書ではなく、明日への地図になる可能性があります。

その地図を読む能力を磨く。
その地図から、経営者の進むべき道を指し示す。
それが、税理士の本当の仕事です。

AI時代だからこそ、人間の税理士にしかできない仕事があります。

それは、決算書の数字から、経営者の心を読み、未来を一緒に考えることです。

決算書を渡すとき、
「お待たせしました。決算書ができました」

その一言の後に、
「そして、来期はこうしていきましょう」
そう続けられる税理士が、本当の税理士です。

過去の分析屋ではなく、未来の設計者。
その覚悟があれば、どんなAIが現れても、税理士の価値は失われません。

あなたの決算書は、誰かの経営を変えていますか?


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