リハビリ芸術劇場 第二幕:私たちの好奇心が満たされる時
こんにちは、理学療法士福島です。
リハビリという仕事、日々新しい発見があって面白いですよね。
さて、前回「リハビリ芸術劇場」という視点についてお話ししましたが、今回はこの概念を理解する上で非常に重要な**「面白い」の定義**について掘り下げてみたいと思います。
特に、医療・介護の現場の経験を「面白い」と表現することに抵抗がある方もいるかもしれません。だからこそ、私が考える「面白い」が、決して**「ふざけている」や「馬鹿にしている」**といったネガティブな意味ではないことを、まずはお伝えしたいと思います。
🧐 私が「人を見る」のが好きな理由
私はとにかく人間観察が大好きです。
街中ですれ違う人の歩き方、姿勢、服装、表情——無意識に細部まで見てしまいます。それは、単に「変わった人がいる」という好奇心ではなく、街を歩く人々一人ひとりが、**二度とない「個体差」と「日々の違い」**を表現しているからです。
この「違い」を発見する行為こそが、私にとっての「面白い」の入り口です。
💡 福島流:「面白い」=「好奇心が満たされる状態」
一般的に「面白い」というと、お笑いやコントを見て「アハハ」と笑う**「笑い」**の要素が強いかもしれません。
しかし、私の定義は全く異なります。
リハビリ芸術劇場的「面白い」の定義:「好奇心が満たされる状態」
どういうことか?
例えば、街中で急いでいる人を見た時、私たちは無意識にこう考えます。
「なんで急いでいるんだろう?」 →(疑問/好奇心)
「会社に遅れそう? デートかな? 大事な待ち合わせ?」 → (仮説立て)
「服装や髪型に気合が入っているな。これはデートに遅刻しそうに違いない。」 → (観察と検証の試み)
私たちは、相手に聞けなくても、観察を通して勝手に物語(劇場)を作り上げ、「ああ、こういうことか」と納得する(あるいは次の疑問を持つ)ことで、好奇心を循環させています。この仮説検証のループが回り続けた時が、「面白い」=「楽しい」状態なのです。
🔎 訪問リハビリは情報量が多い「特設劇場」
では、これがリハビリの現場、特に情報量の多い**訪問リハビリの「劇場」**でどのように活きるか。
先日、右大腿骨頸部骨折術後の男性のご自宅に訪問しました。
劇場は、訪問前から始まっています。病院からのサマリーで、身体機能や性格に関する情報をチェックする時点で、既に好奇心は刺激されています。
そして、ご自宅に一歩入った瞬間、情報が一気に押し寄せます。
部屋の匂いやインテリア、部屋の状態(整理整頓されているか否か)。
壁についた伝い歩きの手垢の高さ。
奥様の表情や顔色、外観(服装、化粧など)、声色。
本棚の本や壁の家族の写真。
これら全てが、**「なぜ?」**という疑問(好奇心)に変わります。
「なぜ、この配置でベッドの起き上がりは大丈夫かな?」
「奥さんの顔がやつれているのは、夜眠れていないから?」
「アジアンテイストなインテリアが多いのは、旅行好き?」
私たちは、この膨大な情報をもとに**沢山の「仮説」**を立てることができます。そして、病院のように期間が限定されていない在宅では、時間をかけて、ゆっくりと仮説検証を進めていけるのです。
✅ 仮説検証の楽しさ
自分の立てた仮説がピタリとハマり、リハビリが上手く進んだ時、**「ああ、やっぱりそうだったんだ」と好奇心が満たされます。これが「面白い」**状態です。
もちろん、仮説が外れても大丈夫。歩けない、痛い、疲労といった目の前の現象に対する原因は無限にあるため、また新しい仮説を考える楽しみが生まれるからです。
特に、患者さんのご自宅の置物やインテリア雑貨など、一見リハビリと関係なさそうな部分から信頼関係を築き、仮説以上の「面白話」(人生の物語)を聞き出すことも、訪問リハビリという劇場における最高の楽しみの一つです。
🚀 次回予告:エネルギー交換でリハビリは加速する!
今回、私にとっての「面白い」=「好奇心が満たされる状態」について熱弁しましたが、次回はさらに一歩踏み込み、**「感情のエネルギー」**をテーマにお話しします。
皆さんは、日々のリハビリで患者さんと**「エネルギー交換」**を意識していますか?
私がここで言うエネルギーとは、非言語的に伝わる**「気持ち」の波長のこと。療法士の「楽しい」という気持ちが、患者さんの意欲や活動性を高め、そのポジティブな変化がまた療法士に活力を与える…この良い流れ(無限ループ)**こそが、リハビリ芸術劇場の醍醐味です。
病気や停滞で暗くなった「人生の舞台」に、私たちセラピストの熱意やポジティブなエネルギーがどう**「風を通す」**のか。そして、ネガティブな感情のエネルギーすらも、どう物語の一部として捉え、自らがその波に飲まれないように鍛錬するのか。
次回、**「リハビリでエネルギー交換してますか?」**をテーマに、在宅現場での事例を交えながら、ポジティブな変化を演出する「現場監督」としての役割を深掘りします。どうぞお楽しみに!
理学療法士福島でした。
