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AI時代の新しいコンサルタント像「Deployment Strategist」 〜 Palantir モデルの解説

LayerXの小林(@yuki_koba8)です。
Ai Workforce(以下、AW)事業部では、10月より「Deployment Strategist(以下、DS)」という職種を新設しました。7月に立ち上げたFDE(Forward Deployed Engineer)に続く新設ポジションです。

一言でいうと、DSは「特定ドメイン・アカウントのCPO(Chief Product Officer)」です。
特定ドメイン・アカウントのCTOの役割を担うFDEと二人三脚で、現場の課題把握からAIエージェント/アプリケーションの設計・開発までを、事業とプロダクトの両面でオーナーシップを持ってリードする役割です。

今回の名称変更は、単なる言葉遊びではありません。年明けにLLM時代の新たなコンサルティングモデルを模索するnoteを出しましたが、それに対する我々なりの現時点の結論を示すものです。

AW事業部がビジネスモデルや組織設計を学んでいるPalantir TechnologiesのDS紹介記事も参考にしながら、今回の名称変更に込めた想いと、DSに期待する新たな役割についてお話しします。


前提:デリバリースキルは価値創出の土台である

Managing client relationships
(顧客との関係構築・マネジメント)

Managing the project in terms of timelines and deliverables
(スケジュール/成果物のプロジェクト管理)

Representing Palantir with senior client leadership
(顧客の経営陣に対して、会社の顔として対峙する)

本題に入る前提として、名称変更したとしても依然としてコンサルティングで培われるスキルは非常に重視しています。
顧客の戦略や業務の課題を深く理解し、複雑なプロジェクトをマネジメントする高度な問題解決能力は、DSにとって不可欠な基礎能力です。事実、現在のDSチームは、デロイトや野村総研(NRI)などでマネージャー経験を持つメンバーが中核を担っています。

その上で、そうしたコンサルタントが持つ問題解決能力を土台としながら、活動の重心を再現性と拡張性を持つプロダクトづくりにシフトさせる。
それが今回の名称変更の背景にある考え方です。

プラットフォームがあるからこそ、生成AIの価値をクリエイティブに引き出せる

Understanding the client’s operations and figuring out where Palantir software can have the biggest impact
(顧客業務の本質を捉え、パランティアのソフトウェアが最大のインパクトをもたらす箇所を特定する)

一般的に、コンサルタントは特定製品に依存せず、中立的な立場で最適解を提案します。一方、我々DSはAWという自社プラットフォームを用いて価値を届ける点が異なります。
この点は、「顧客のための最善の解決策ではなく、自社プロダクトの型に当てはめる提案をするだけでは?」という見方をされることもあります。

こうした質問に対して、以前のnoteを含め、説得力のある分かりやすい回答を用意できていませんでした。
しかし現在、「生成AIの価値は、拡張性の高いプラットフォームを通じてこそ迅速かつ効果的に引き出せる」と自信を持って言い切ることができます。

生成AIは事前学習された基盤モデルを活用するため、タスク単位でゼロからデータを集めて学習せずとも、その会社・そのタスクに特化した部分を学ぶだけで済みます。
そうした特徴を踏まえると、従来の機械学習のように顧客・タスク単位でAIをゼロから作り込むアプローチではなく、プラットフォーム上の「部品」を組み合わせることで、より早く、高品質な価値を提供できます。

確かに、プラットフォームがあることで、デリバリー時に取れる手段が減る部分はあります。しかしそれ以上に、プラットフォームには以下2点でDSのクリエイティビティを引き出す効果があると考えています。

  • プラットフォームがあるからこそ、顧客のより難しい・価値のある課題を解ける。

  • DSが技術・プロダクトに深く関与できる。AIのプロとして実装・価値創出までコミットする。

アーキテクチャの刷新

Designing and implementing user-centric workflows and applications around problems or gaps in the existing systems
(ユーザー中心のワークフロー/アプリを設計・実装する)

Iterating rapidly with users to make sure the solution is what they want and need
(ユーザーと高速でイテレーションを回し、欲しい/必要な解に収束させる)

我々は事業部設立以来こうしたスタンスを取ってきましたが、プロダクトや事例で実際に証明することはできていませんでした。

以前のnoteで書いたように、従来のAi Workforce(社内では「ver1」と呼称)は、業務プロセスをローコードGUIで「AIワークフロー」に再現することが中心でした。
あくまでローコードGUIであるため、操作に慣れたらそこまで技術的に複雑なスキルは求められません。
また、特にUI/UX上の制約が大きく、顧客や業界単位で最適化された設計を柔軟に行うことは難しいのが実情でした。

プラットフォームの利点は確実にあったものの、顧客・業務単位で毎回作り込むよりも効果が大きいと言い切るには、プロダクトが追いついていませんでした。

しかし、この上半期に断行したアーキテクチャの刷新(社内呼称「ver2」)により、顧客の業務に合わせてビジネスロジックやUI/UXそのものを、極めて高い自由度で設計・構築できるようになったのです。

具体的には、プラットフォームが提供する「ナレッジ」「スキル」「ツール」「UI」という4種類のコンポーネントをDSが自在に組み合わせ、顧客・業界単位で最適なAIエージェントを仕立て上げます。

他方で、ローコードGUIより技術的に複雑になり、また拡張性の高いツールやUIを顧客に最適化して設計・開発するためには、FDEだけでなくコンサルタントに高度なプロダクトマネジメントスキルが求められます。

クライアントワークとプロダクトマネジメントの融合

こうなると、コンサルタントの役割も変わってきます。
ローコードGUIに落とし込む既存業務の分析・言語化に留まらず、これまで存在しなかった新しい業務プロセスやUI/UXそのものを設計・提案する。

プロダクトマネジメントはクライアントワークでは行うことができない、と一般的には言われます。クライアントワークは顧客要望を忠実に要件に落とし込むが、プロダクトのあるべき姿を探索するプロダクトマネジメントとは真逆の考え方にあると考えられています。

しかし我々の新たなプラットフォームでは、顧客に個別最適化された価値を届けることと、プロダクトのあるべき姿を探索することが矛盾しません。

クライアントワークとプロダクトマネジメントを高度な水準で両立する職種として、Deployment Strategistと職種を再定義しました。

ソリューション責任者

Implementing and scaling developed solutions
(開発したソリューションを導入し、スケールさせる)

特定業界・アカウントのCPOとして、DS部内にソリューションという単位で責任者を複数アサインします。

例えば、現在リース業界向けにソリューションを開発・提供していますが、これは特定顧客とのプロジェクト成功事例を起点に拡がった、複数のサブソリューションで構成されています。

リースソリューションの例

DSには、特定プロジェクトの成功はもちろん、その後のソリューション化に必要な価値探索や機能開発もリードしてもらいます。

現在ソリューションは金融機関向けのものが中心ですが、今後は製造、サプライチェーン、製薬、公共などドキュメントワークと親和性の高い領域へ、ポートフォリオを順次拡大していく予定です。

Deployment Strategistというキャリアの魅力

DSは、従来のポジションの枠組みでは得られない、ユニークで市場価値の高いキャリアパスを歩むことができます。

  • コンサルタントとしての強みを土台に、自分自身の手でプロダクトを作る経験とプロダクトマネジメントのキャリアを構築できる

  • FDEとの協業を通じ、AIの先端技術がビジネスに実装されるプロセスを深く理解できる

  • ソリューションはそれぞれが新規事業に並ぶ大きさを持つため、それぞれのDSが事業責任者に近い役割を担うことができる

おわりに

新たな職種・ビジネスモデルを一緒に作り上げましょう

FDEに続き、日本ではまだ一般的でない職種を立ち上げるのは挑戦です。
誤解のリスクも承知の上で、AWの成長にはDSの素養を持つ仲間が不可欠だとの考えから、今回の名称変更と発信を行っています。

序盤で述べたとおり、DS部はコンサルファーム出身者が中心ですが、DSの素養として面白い経歴のメンバーが集まっています。
部門トップの私自身は、コンサルタント経験もありますが、どちらかというと事業開発やプロダクト戦略を管掌していました。

チームマネージャーを務める権瓶さんは、コンサルタントとして長い経験を持ちますが、大学院時代は機械学習を専攻しており未踏出身者でもあります。またデータアナリスト経験者なども複数名所属しています。

さらに、元BCGパートナー・ラクスルCOOの福島広造さん(@kozo_fk)が全社COOで入社されたこともあり、ますます面白くなっています。

そうした優秀なメンバーとともに、私たち自身の手で新たなビジネス・職種をつくっていきませんか?

Open Doorでのカジュアル面談ぜひ。