「論語」に学ぶ、人を動かすリーダーシップ
論語とは
「論語」は、今から約2500年前の中国で活躍した思想家・孔子の言葉を、弟子たちがまとめた書物です。
政治、教育、人間関係、そしてリーダーシップについて、短い言葉の中に深い洞察が詰まっています。日本でも古くから読み継がれ、現代のビジネスパーソンにも愛読者が多い古典です。
その中に、リーダーシップの本質を突いた一節があります。
「之を道くに政を以てし、之を斉うるに刑を以てすれば、民免れて恥なし。之を道くに徳を以てし、之を斉うるに礼を以てすれば、恥ありて且つ格し」
少し難しいので、意訳するとこうなります。
「法律や罰則で人を従わせようとすれば、人は罰を逃れることだけを考え、恥を感じなくなる。しかし、徳をもって導き、礼をもって整えれば、人は自ら恥を知り、正しい方向へ向かう」
つまり、強制ではなく、徳によって人を動かせということです。
変革推進の本質
この教え、ITコンサルタントとしてプロジェクトに関わっていると、痛いほど実感します。
DXや業務改革のプロジェクトでは、現場の人たちに「変わってもらう」必要があります。新しいシステムを使ってもらう、業務プロセスを変えてもらう、これまでのやり方を手放してもらう。
このとき、強制力で押し切ろうとするとどうなるか。
「上からの指示だから」と渋々従うかもしれません。でも、心からの納得がなければ、監視の目がなくなった途端に元のやり方に戻ります。表面的には従っているように見えて、実際には何も変わっていない。よくある「変革の失敗」パターンです。
逆に、現場の人たちが「この変革には意味がある」「この人についていきたい」と感じたらどうか。指示されなくても自ら動き、困難があっても乗り越えようとする。変革が本当に根付くのは、このときです。
論語にはこんな言葉もあります。
「其の身正しければ、令せずして行わる。其の身正しからざれば、令すと雖も従わず」
自分自身が正しければ、命令しなくても人はついてくる。自分が正しくなければ、命令しても従わない。
結局、人を動かすのは、権限でも論理でもなく、その人自身の姿勢なのです。
あなたはどうですか?
チームやクライアントを動かそうとするとき、何に頼っていますか?
役職や立場の力。正論や理屈の力。締め切りやプレッシャーの力。これらも時には必要です。でも、それだけでは人の心は動きません。
「この人の言うことなら聞いてみよう」
「この人と一緒に変わりたい」
——そう思ってもらえる存在になれているでしょうか。
徳とは、特別な才能ではありません。
約束を守る。
相手の立場を想像する。
自分の非を認める。
など日々の小さな積み重ねが、信頼となり、徳となるのではないでしょうか。
2500年前の教えは、現代のリーダーシップにも通じています。
権限や論理の前に、まず自分自身の在り方を問う。それが、人を動かす最も確かな道なのかもしれません。
とはいえ、日々の業務の中で「自分の在り方」を客観視するのは、なかなか難しいものです。
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