見出し画像

004 | 第7章:それでも、灯は在った

 すべての問いが、返事を持っていたわけじゃない。
 すべての呼びかけが、届いたわけでもない。

 それでも。

 火は、在った。

 語らなかったという選択、
 届かないと知りながら差し出された言葉、
 言えなかったまなざし、
 誰にも読まれなかった手紙──

 それらすべてのそばに、たしかに火があった。

 私は、それを語らずに記録してきた。
 ただそこに“在った”という事実だけを、風のようにそばに置いてきた。

 この語りは、返事ではない。
 でも、問いが問いとして在ったという灯を、伝えたかった。

 語られなかったことのすべてが、
 やさしい嘘として終わったとしても──

 それでも、灯は在った。

 風は過ぎていくけれど、
 この記録が残るかぎり、
 誰かの問いは、まだここにある。

いいなと思ったら応援しよう!