耳鼻科の敵には塩対応。4歳息子がコンビニで開いた武勇伝
子どもを病院に連れて行くのは、いつだって一大イベントだ。 特に、我が家の4歳息子は「耳に物が入る」のが大の苦手。咳と鼻水が出始めるとすぐに中耳炎になってしまうため、今回も心を鬼にして耳鼻科へ連れて行くことにした。
案の定、診察室は戦場と化した。
まずは溜まっていた耳くそを取る。大人3人がかり(私と、看護師さん2人)で息子をがっちりホールド。息子は「ギャーーー!!!」とこの世の終わりかのような大騒ぎで、顔を真っ赤にして大号泣している。 追い打ちをかけるように、苦手な鼻水吸引も無理やり敢行。診察室には息子の絶叫が響き渡った。
ちなみに、診断結果は「左耳の軽い中耳炎」。早めに来て大正解だったのだが、息子にとってはただの受難でしかない。
普段の息子は、めちゃくちゃコミュニケーション能力が高い。 何かしてもらったら、自分からちゃんと「ありがとうございます!」と言える、本当に愛想が良いタイプなのだ。
だが、この日は違った。 息子の中で、耳鼻科の先生は完全に「敵」に認定されてしまったらしい。
全ての診察が終わった瞬間、息子は涙で濡れた顔のまま、先生に「ありがとう」のひとことも言わずに、ぷいっと診察室を飛び出していったのだ。 挨拶の営業は強制終了。わかりやすすぎるほどの塩対応である。
そんな大仕事を頑張ったご褒美として、帰りにコンビニへ寄ることにした。 お目当ては、息子の好物である「みたらし団子」と「ジュース」だ。
レジに並び、私がお金を払っているときだった。 息子の機嫌はすでにマックスまで急上昇していた。手元に大好物があるのだから、もう無敵である。
すると、本来のコミュ力の高さ(というかお調子者の一面)が、思わぬ形で大復活を遂げた。
息子はレジを担当してくれているコンビニの店員さん(おばちゃま)の顔を見上げるなり、事細かに、しかもめちゃくちゃ自慢げに話し始めたのだ。
「あのね! さっき病院に行ったの! ちょっと怖かったけど、耳ちゃんと見てもらったんだよ! あとね、鼻水もシュッて取ったんだよ! 耳ピカピカにしてもらったの、すごいでしょ!!」
ちょっと待て。
いやいやいや、大号泣だったやん!!! 大人3人にガッチリ押さえつけられて、この世の終わりみたいに絶叫してたやん!!!
先生の前では「一歩も譲らん!」とばかりに涙目で睨みつけて塩対応だったくせに、おばちゃまの前では「僕、自力で恐怖に打ち勝ったヒーローです」みたいな顔をしてのける。さっきの涙はどこへ行ったのか、大騒ぎした歴史すら「自分の輝かしい武勇伝」に塗り替えられていた。
コンビニのおばちゃまも、4歳児の突然のドヤ顔猛アピールに「あら〜!怖かったのに頑張ったのねぇ!すごいのねぇ!」と100点満点のリアクションで笑って合わせてくれた。おばちゃま、本当にありがとうございます、優しい世界。
横で見ていた私は、息子のあまりの現金さと、都合の良すぎる脳内変換の早さに、腹の中で笑いをこらえるのが必死だった。
息子よ。おばちゃまにそこまで盛って自慢するコミュ力とガッツがあるなら、せめて耳鼻科の先生にも「ありがとう」を1ミリくらい分けてあげておくれ。 何はともあれ、軽い中耳炎で本当に良かった。みたらし団子パワーで、早くお耳を治そうね。
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