日韓それぞれで独自に普及したメッセンジャーアプリ(Kakao/LINE)
韓国に住んでいると、日本とはLINEで、韓国内ではカカオで連絡することになります。日本では常識のように使われているLINEですが、こちらの人のスマホには必ず「カカオトーク」が入っています。韓国で「LINEは使っていますか」と聞いても、「知っているけど使ったことはない」という答えがほとんどです。逆に日本でのカカオは利用している人はかなり限定的です。それほどまでに、両国では別のメッセンジャーが完全に定着しています。
どのように、両アプリが日韓で主流になったのか調べてみました。
大きな要因は、リリース時期の違いによる先行者利益と、それぞれの国に合わせたローカライズとマーケティングの成功です。
カカオトークは2010年3月に韓国でリリースされました。ちょうどスマートフォンが普及し始めた時期で、「無料でメッセージが送れる」という価値をいち早く提供したことが決め手になりました。周りの人がみんな使っているから自分も使わざるを得ない、という強力なネットワーク効果が働き、あっという間に国民的インフラになったのです。さらに見逃せないのがエコシステムの広がりです。カカオはメッセンジャーにとどまらず、タクシー配車、決済、ゲーム、交通ナビなど、韓国の暮らしに欠かせないサービスと一体化しました。今やカカオなしでソウルの一日を過ごすのは困難なくらいです。
一方のLINEは、2011年6月に韓国NAVERの日本法人によって公開されました。その直前の3月に起きた東日本大震災で、「電話がつながらなくてもネットで安否確認ができる」として一気に認知が広がったのが大きな転機でした。加えて、日本の携帯文化に合ったスタンプ機能や、メールアドレスを交換するより手軽な「ふるふる」機能など、日本市場に合わせた工夫が若い世代の支持を集めました。LINEが日本で定着した頃には、韓国ではすでにカカオトークが市場を完全に支配していたため、韓国でLINEが普及することはなく、日本でカカオが主流になることもありませんでした。
カカオは完全な韓国発の独立したIT財閥に成長した、韓国の証券取引所(KRX)に上場する株式会社カカオ(Kakao Corp)で運営されています。
一方で、LINEは韓国企業NAVERの日本法人で開発され、現在はソフトバンクと韓国のNAVER(ネイバー)による共同経営となっています。
現在、この二つは単なる連絡ツールを超え、日常生活のあらゆる場面をカバーする「スーパーアプリ」へと進化しています。強みを比べると、カカオは韓国国内での生活密着と多角化、LINEは日本を中心としたアジア圏でのインフラ化です。決済、交通、コンテンツ、ビジネス、行政サービス、そしてキャラクター商品にまで拡充し、生活するうえで必須のアプリになっています。
二つの国、二つのアプリの並行する歴史を眺めていると、プラットフォームを制することが現代のビジネスの勝敗を決めるという事実を、まざまざと見せつけられます。同じ世の中でまったく違う道を歩んで独自に進化した様子は何より興味深く感じています。
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