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【あの偉大な漫画4作と比較】負けていても、途上であっても、あなたは完成に向かっている【3月6日の誕生絵本】『ぐん太』

【今日の誕生絵本】

3/6の誕生絵本


こんにちは。

毎日、
今日生まれた絵本を、
独自に紡ぎ出した絵本言葉とともに、
今日生まれたあなたに紹介する、
誕生絵本ソムリエ、
たけゴリラです🦍


3月6日生まれの方
お誕生日おめでとうございます🌸

今日という日に生まれてきたあなたへ、
プレゼントとして、一冊の絵本の話をさせてください。

今日ご紹介するのは、
夢枕獏氏が三十五年以上の歳月をかけて温め、
飯野和好氏の力強い筆致によって命を吹き込まれた絵本『ぐん太』です。

表紙には、荒々しいタッチで描かれた裸の男性が座っています。

そして、この本は、単なる子供向けの物語ではありません。

人生の折り返し地点を過ぎた大人や、何かに挑み、
そして敗れたことのあるすべての人に向けられた「再生の神話」です。

今日、新しい一年を歩み出すあなたの心に、
この「ぐん太」という少年の、
そして一人の老人の魂の叫びがどのように響くのか。
それを紐解いていくことが、
私からのバースデー・メッセージです。



今日の誕生絵本

ぐん太

文・夢枕獏
絵・飯野和好

小学館

初版日:3/6/2021


今日の絵本言葉

負けていても、途上であっても、あなたは完成に向かっている

物語の舞台は、夜な夜な不気味な声をあげる「夜なき石」が居座る土地です。

その石のせいで土地は痩せ、生き物も寄り付かない。

少年ぐん太は、この石を持ち上げるために、誰よりも過酷な修行を自分に課します。


「力持ちになるべく修行」を毎日欠かさないぐん太の姿は、
私たちの知る「強さ」を求めるヒーローたちの系譜に連なっています。


しかし、物語は残酷です。

どんなに筋肉を鍛え、どんなに汗を流しても、石は一向に持ち上がりません。

月日は流れ、ぐん太は若さを失い、孤独の中で石と向き合い続けます。


ここで、私たちが愛してやまない偉大な漫画たちが描いた
「敗北」と「成長」の物語を重ね合わせてみましょう。


あの偉大な漫画4作と「ぐん太」の比較

『ONE PIECE』の絶望と再出発

〈最新刊が3月4日に発売されました〉

ルフィは頂上戦争(マリンフォード)で
守りたかった兄と仲間を失い、深い「絶望」を味わいました。

彼はそこで初めて自分の限界を知ります。
がむしゃらに突き進むだけでは届かない領域がある。

彼はそこから、力任せの特訓ではなく
「覇気」という新しい体系を学ぶための「二年間」を設けました。

ぐん太もまた、何十年という歳月の中で、
自分の肉体的な力だけではどうにもならない「限界」に直面し続けていたのです。


『ドラゴンボール』の闘争心と執念


悟空は常に「上には上がいる」ことを知り、
カリン塔や界王星、精神と時の部屋、あるいは重力室で、
肉体の極限に挑むストイックな修行を繰り返します。

ぐん太が毎日石に向かい続けた姿は、
この悟空の「負けず嫌いな本能」に近いものがあったでしょう。

しかし、ぐん太が向き合っていたのは「敵」ではなく、
夜な夜な泣き声をあげる巨大な「石」でした。


『ピンポン』のプライドの崩壊と「楽しむ心」


天才として鳴らしたペコは、努力する凡人に敗北し、
そのプライドを粉砕されました。

彼が再びラケットを握るきっかけとなったのは、
逃げていた現実に立ち向かい、
かつての「卓球を楽しむ心」を取り戻すことでした。


ぐん太もまた、
ただ「石を持ち上げたい」という功名心や義務感だけでは、
石を動かすことができませんでした。


『バガボンド』の精神的な無力感と調和


宮本武蔵は、腕力だけでは届かない「真の強さ」を前に、
死の恐怖と自分の小ささを知ります。

そして滝行や瞑想、自然との対話を通じて、殺
気を捨て、己の弱さを受け入れる「調和」を学びます。


『ぐん太』の限界への直面

ここまで三作を見てきたが、
最も核心に迫るのは、武蔵の境地ではないでしょうか。


絵本の中で、
年老いたぐん太の夢に亡き父が現れ、
こう告げます。

「力だけじゃあもちあがらねえ。泣いたことのねぇやつにゃ、もちあがらねえ」

石を持ち上げるために必要だったのは、
筋肉の鎧ではありませんでした。


「負けを知り、悔しさを覚え、人を許し、好きになる心」

悲しみを知り、人にはどうにもならない運命があることを悟ったとき、
つまり武蔵が己の弱さを受け入れたときのように、
ぐん太の心に変化が訪れます。

彼が涙を流し、すべての感情が一つになったとき、
石は初めてその重い腰を上げたのです。


著者の夢枕獏氏は、この石を「チェルノブイリの石棺」や「福島の汚染」のイメージとも重ねています。

私たちの大人が抱え込んでしまった、
自分一人の力では動かせない巨大な「石」。

それを動かすのは、効率や技術、暴力的な力ではなく、
人間が持つ「悲しみ」や「許し」という、
一見弱く見える感情の融合だったのです。

ぐん太


3月6日生まれのあなたへ

3月6日という、
冬の終わりと春の兆しが交差する日に生まれたあなたへ。

この季節に生まれた人は、
どこかで「待つ」ことの痛みと美しさを知っている気がします。

桜の蕾はまだ硬く、風は冷たいけれど、
土の下では確実に命が蠢いている。

そんな「焦れったいけれど確実な季節」の空気とともに
あなたは生まれました。


ぐん太が石を持ち上げるまでに、
どれほどの年月が必要だったかを思い出してください。

彼は年老いるまで、負け続け、待ち続けました。

著者の夢枕獏氏自身も、
この物語を形にするまでに三十五年以上を費やしています。


今の世の中は、すぐに結果が出ることを良しとします。

SNSの反応、ビジネスの数字、効率的な自己研鑽。

けれど、人生には「ルフィの二年間」のように、
あるいは「武蔵が土を耕す時間」のように、
ただじっと自分の中の混沌を見つめ、
根を張る時期が必要です。

そして、『バガボンド』の武蔵が己の小ささを知って強くなったように、
『ピンポン』のペコが基礎から叩き直して「卓球の神様」に愛されたように。


あなたが今日まで積み重ねてきた挫折や、
人知れず流した涙は、決して無駄ではありません。


それこそが、
いつかあなたの目の前にある「巨大な石」を持ち上げるための、
真の力になるからです。


夢枕獏氏は語ります。
「いくつになっても全力疾走はできる。山を登り終えても、また向こうに山がある。そうしているうちに途上で死ぬ。けれど、その行為が誰かのための菩薩行(ぼさつぎょう)になっていれば嬉しい」と。

あなたのこれからの人生も、
あるいは険しい登山の連続かもしれません。

けれど、ぐん太が石を持ち上げたあとに生命が吹き出したように、
あなたがその「悲しみを知る強さ」で何かを成し遂げたとき、
あなたの周りには新しい生命の物語が溢れ出すはずです。


お誕生日おめでとうございます。

折れてもいい。泥だらけでもいい。

ぐん太のように、ルフィのように、そして武蔵のように。

「またやろう」と心の中で呟きながら、
自分の土俵、自分の山を、一歩ずつ進んでいってください。

今日という日が、あなたにとって「真の強さ」へと繋がる、
美しい再出発の日となりますように。

ぐん太


また、明日の誕生絵本でお会いしましょう。

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