源氏蛍と平家蛍
平安の京で、身分違いの悲恋に散った男女の物語。
「千年後の七夕に会おう。」
約束の場所は、北の大地。
ほたるの里。
男は源氏蛍に姿を変え、
新暦七月七日の夜、
清流を照らし女を待つ。
女は平家蛍に姿を変え、
旧暦七月七日の夜、
光を点滅し男を待つ。
新暦と旧暦……そのひと月の違いが2人の歩幅を狂わせた。
七月にも八月にも蛍が彷徨い、儚げな光を漆黒の闇に灯すのだった。
それから幾百年。
天の川がこれまでにないほど近くに輝いていた旧暦の七夕の夜のこと。
源氏蛍がひと月遅く目覚めたると、
平家蛍はひと月早く飛び立った。
二つの歩幅は重なった。
二つの光は北海道の夜空の下で一瞬だけ寄り添うと、天の川へ吸い込まれるように消えていった。
満天の夜空の星に生まれ変わり、光輝いていた。
それを見ていた織姫が呟いた。
「あの2人はこれから毎日会えるのね」
「僕たちも歩幅を合わせてみようか」
彦星が笑って答えると
その瞬間!
天の川の水面が大きく波立ち、川幅が少しひろがった。
(410字)
田原にか様のこちらの企画に参加させていただきました。⬇️
