見出し画像

ムスメの下着だけ、なぜか0.5秒で畳んでしまう男の告白

洗濯物を畳むという行為は、人間から思考というものを奪います。
テレビを眺めながら、ただひたすら畳みます。
この「無」の境地、実は嫌いではありません。
むしろ、けっこう好きなくらいです。

ところが、この夏、我が家のリビングにはひとつの変数が加わりました。
ムスメです。

高校受験を控えたムスメは、この夏休み、リビングのテーブルで黙々と勉強していることが多かったです。えらいです。
本当にえらいです。

ただし、その背中からは「話しかけてくんな」という無言の圧が、これでもかというくらい放出されています。

だから私も、空気を読んで「無」になります。
タオルは大きさ別、洗濯物は人物別。
これが、私流の畳み方です。
ひたすら、黙々と、機械のように畳んでいきます。

ですが。

洗濯カゴの中から、ムスメの下着が出てきた瞬間、私の「無」は、粉々に砕け散ります。

丁寧に畳めません。
断じて畳めません。

だって、考えてもみてください。
中年のオッサンが年頃の娘の下着を、じっくり時間をかけて「ねっちょりと」畳んでいる図を。
しかも、本人の目の前で。
これはもう、なんの言い訳もできない、立派な「変態」の完成形ではないでしょうか。
事案です。

いや、頭ではわかっています。
ムスメはきっと、そんなこと気にも留めていないと思います。
勉強に集中しているだけです。
わかっています。

わかっているのですが、もし、ほんの一瞬、参考書から顔を上げた拍子に、父親(である私)が娘の下着を「ねっちょりと」丁寧に畳んでいる現場を目撃してしまったら。

その瞬間、私の人生には、一発レッドカードが出ます。

そんな危険な橋を、渡れるわけがありません。

なので私は、ムスメの下着に限り、目にも留まらぬ速さで畳むようにしています。
体感、0.5秒です。

もはや畳んでいるというより、視界から消し去っているに近いです。

一方で。

嫁であるニクミちゃんの下着は、実に丁寧に扱います。
パンツはきれいな丸を描くように(ねっちょりと)畳みます。
ジャーブラの胸パッドがズレていようものなら、几帳面に位置を直し、パッドの形が崩れていたら、隙間から指を突っ込んで慎重に(ねっちょりと)形を整えます。
夫婦とは、こういう地味な作業の積み重ねで、できているのかもしれませんねっちょり。

そこまで丁寧に、慈しむように畳んでおきながら。
ムスメの下着だけは、無理なのです。

これはきっと、父親という生物に与えられた、説明のつかない本能のようなものなのでしょう。
年頃の娘を持つ世の父親たちよ、あなたも同じ0.5秒族ではないでしょうか。

え?
そもそもあなたのご家庭では、父親は洗濯物を畳んだりしない?

ムキー!

【追記】
本人がいなかったら、ねっちょりと畳みますよ、ええ、そりゃもう。

いいなと思ったら応援しよう!

へっぽこ太郎 見つけてくださりありがとうございます!いただいたチップは、これからの執筆活動や新しい挑戦への大切な資金として、全額クリエイター活動に活用させていただきます。私の発信が、少しでもあなたの日常のプラスになれば嬉しいです。温かい応援をどうぞよろしくお願いいたします!