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55歳、応募した当日に不採用。その『出来レース』から見えた私の市場価値

「これ、まだ募集してるんですか?」

8月31日の朝、私はハローワークに電話していた。
見つけた求人は、自治体の任用職員。

求人が出たのは8月26日。
そして、勤務開始日は9月1日。

つまり、私が求人を見つけた翌日から勤務開始という、かなり急な求人だった。

正直、最初に思ったのは、
「もう決まってるんじゃないの?」
だった。

それでも、求人はまだインターネット上に掲載されている。
一縷の望みをかけて、ハローワークに電話した。

「インターネットハローワークで閲覧できているなら、まだ募集しています」

そう言われた。
少し違和感はあった。
でも、私は応募してみることにした。

そして、この日の出来事が、思っていた以上に私の「就活に対する考え方」を変えることになった。



「今から持っていけば、そのまま面接でも大丈夫ですよ」

すぐにハローワークへ行き、紹介状を出してもらう。

ところが、そのときの相談員と求人先との電話のやり取りを聞いていると、どうも募集を締めるような話になっている。

まただ。

嫌な予感がした。
私は相談員に何度も聞いた。

「本当にまだ募集しているんですよね?」
「もう内定している人がいるということではないんですよね?」

先方がまだだと言っているから大丈夫。
そう言われた。

だったら応募してみよう。
そう思った。

さらに相談員から、

「今から応募書類を持っていけば、そのまま面接でも大丈夫ですよ」

と言われた。
いや、ちょっと待って。

私は朝、求人を見つけてから、顔を水で洗ったくらいの勢いで家を出てきた。
服装も普段着。

履歴書や職務経歴書は用意していたけれど、まさかそのまま面接するとは思っていない。

「本当に?」

と思った。
さすがに一度家に帰った。
そして服を着替え、準備をしてから応募書類を持って、求人先へ向かった。


そこで、さらに嫌な予感がした

求人先で出てきた担当者は、以前その役所で一緒に仕事をしたことのある職員さんだった。

ちょっと気まずい。
そして、ここでも予想外の展開になった。
そのまま面接ではなく、

「16時30分にもう一度来てください」

とのこと。
朝から何度も、

「本当にまだ募集しているんですか?」

と確認してきた私は、だんだん何が何だか分からなくなっていた。
それでも、もう一度来ることにした。

16時30分。

再び役所へ行った。
面接官は部長と課長。
面接時間は10分ほどだったと思う。

職歴。
健康状態。
パソコンが使えるか。
仕事をする上で心掛けていること。
気の合わない職場の人がいたらどうするか。

よくある質問が続いた。
そして、あっという間に終わった。

私は面接中、もう一つ気になっていた。

部長の手元に、私が提出した職務経歴書が見当たらなかったのだ。

「これ、ちゃんと読んでくれているのかな」

そんなことを思った。
そして帰宅してから、30分くらいだっただろうか。

電話が鳴った。

不採用だった。


「やっぱり最初から決まっていたんじゃないの?」

電話を切った私は、最初に思った。

やっぱり求人を閉じ忘れていたんじゃないか。
本当はもう内定していたんじゃないか。
どうせ最初から決まっていたんじゃないか。

出来レースだったんじゃないか。

正直、そう思った。
ただ、ここは自分でも分かっている。

本当にそうだったのかは、私には分からない。

求人の出し方や、その後のやり取り、面接の様子から、私はそう感じただけだ。

だから「出来レースだった」と断言するつもりはない。
でも、そう疑ってしまうくらい、私は今回の採用過程に違和感を持った。

そして、かなり落ち込んだ。
おかげで、ちょっぴり体重が落ちた。


でも、本当にショックだったのは「不採用」なのか?

夫からは、

「どうせまた出来レースと分かってて、なんで応募するの?」

と嫌味を言われた。
不採用の電話の後にも、

「やっぱり出来レースだったじゃん、無駄足だったな」

と追い打ちをかけられた。
そこで、さらに嫌になった。

私は求人を見つけて、

「まだ募集しているなら、応募してみようかな」
そう思っただけだった。

ちょっと試してみただけなのだ。

なのに、不採用になった途端、

「私はもう仕事が見つからない」
「55歳だから無理なのかもしれない」
「自分には価値がないのかもしれない」

というところまで話が広がってしまう。
ここが、私にとって今回一番考えさせられたところだった。


「こんなにスキルがあるのに」と思っていた

私はずっと、

「こんなにスキルがあるのに」

と思っていた。

これまで仕事をしてきた。
長く働いた経験もある。
パソコンも使える。
事務仕事も窓口対応や電話応対もできる。

これまで身につけてきたものも、それなりにある。

ところが、実際に55歳になって仕事を探してみると、思っていたほど簡単ではない。

そこで初めて、

「スキルがある」と「採用される」は、別の話なのではないか。

と思うようになった。
これは、頭では当たり前だと分かっている。

でも、自分自身が不採用になってみると、全然違う。

過去に仕事ができた。
長く働いてきた。それなりの評価されてきた。
いろいろな経験がある。

それでも、それだけでは今の採用市場で評価されるとは限らない。
55歳になって、私はようやくそこを実感した。


AIに褒めてもらっても、採用通知は来ない

ここで、いつものようにAIと壁打ちをする。
私は今、このナハラ島で相談できる人がいない。

夫は嫌味しか言ってこないし、理論的なジャッジばかりで相談相手にならないので、最近は何かあるとAIに壁打ちしている。

これまで、自分の経験やスキルについてAIに相談してきた。
するとAIは、かなり褒めてくれる。

「経験が豊富ですね」
「こういう強みがあります」
「こういうことができます」

もちろん、それを聞けば少し嬉しい。
でも、今回あらためて思った。

AIに「あなたには価値があります」と言ってもらっても、採用通知は来ない。

ここは、かなり重要なことだと思っている。
AIは私の市場価値を保証してくれるわけではない。
むしろ、AIとの壁打ちで考えるべきなのは、

「私ができることの中で、今の社会が本当に必要としているものは何なのか」

ということなのかもしれない。


55歳からの就活は、「採用試験」ではなくてもいい

今回の不採用で、私は就活そのものに対する考え方を少し変えてみようと思った。

これまでは、
応募する → 採用される
という一本の線だった。

だから、不採用になると、
「失敗した」
になる。

でも、一つの求人を、小さな実験として扱う。
と考えたらどうだろう。

採用されたら、もちろん働く。

採用されなかったら、
「今回は採用されなかった」
というデータが一つ増える。

面接の経験も一つ増える。

自分がどんな仕事ならできそうなのか、どんな条件なら嫌なのかも分かってくる。

そう考えれば、就活で毎回、自分自身まで採点される必要はない。


「出来レース上等」くらいでいい

今回のことがあって、私はもう少し図太くなってもいいのではないかと思った。

「どうせ決まっているんじゃないか」

と思って、応募する前から諦める。
それでは、自分で自分の可能性を閉じてしまう。
本当に出来レースだったのかどうかは分からない。

だったら、

出来レース上等。

くらいでいい。

採用されたらラッキー。
面接まで行けたら練習。
不採用だったら、また次。

もちろん、本当に働きたい仕事なら、そんな簡単に割り切れない。
でも、すべての求人に、

「ここに採用されなかったら私はダメだ」

という重さを背負わせる必要はない。


そして、もう一つ決めたこと

今回、夫から嫌味を言われて、これも考えた。
就活の途中経過を、夫にいちいち話さなくてもいいのではないか。

応募した。
面接に行った。
不採用だった。

それだけなら、自分一人で受け止められる。
私は別に、無謀なことをしたわけではない。

チャレンジしただけ。試しただけ。

だったら、その途中経過まで誰かに評価してもらわなくてもいい。

これからは、自分がやってみたいと思ったことについて、結果が出るまでは自分の中に置いておくことも必要なのかもしれない。

誰かに「そんなの無理」と言われる前に、自分で試してみる。

そして、自分で結果を見る。


「こんなにスキルがあるのに」を、もう一度考える

今回、一番壊れたのは、私の自信だったのかもしれない。

「私はこれだけ仕事をしてきた」
「こんなにスキルがあるのに」

と思っていた。

でも、その自信が壊れたからこそ、別の問いが出てきた。

「じゃあ、私が持っているものを、今の時代に使える形に変えられないだろうか?」

過去のスキルを、そのまま売ろうとするのではなく。
これまでの経験をAIで整理する。
自分では当たり前だと思っていたことを、別の角度から見てみる。

今の時代に必要とされる形に組み替えてみる。

それなら、まだ試せることがあるかもしれない。
もちろん、それで仕事になるかどうかは分からない。
まだ答えは出ていない。

でも、

「私には何もない」

と考えるより、

「私はまだ、自分が持っているものの使い方を全部試していない」

と考えた方が、次の一歩は出せる。

55歳。

再就職は、思っていたよりずっと難しい。

でも、不採用になったからといって、そこで実験を終了する必要はない。

一つ応募してみる。

一つ面接を受けてみる。

一つダメだったら、また考える。

そして、AIにも相談してみる。
過去の経験を、別の形に変えられないか試してみる。

私はしばらく、そんな就活をやってみようと思う。

採用されるためだけではなく、自分がこれから何をできるのかを確かめるために。

さて、次は何を試そうか。

あなたは今まで、

「自分にはこれだけ経験があるのに、なぜ評価されないんだろう」

と思ったことはありますか?

もしあるなら、その「評価されなかった経験」の中に、意外とこれから使えるものが残っているのかもしれません。

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