見出し画像

【22/7】とは何か?―虚構と現実をつなぐ社会学的実験

22/7(ナナニジ)は、二次元キャラクターと三次元メンバーをつなぐ「デジタル声優アイドル」として、現代社会におけるアイドル文化の変容を象徴する存在である。

匿名性や芸名の付与、卒業後の活動制約など、個人と集団のアイデンティティを巧みに分離した仕組みを持つ。同時に楽曲やキャラクターを通じて、若者の葛藤や不安、抵抗や理解の経験を代弁し、ファンに擬似的な共同体感覚を提供する。このように、22/7は単なるアイドルグループを超えた社会学的実験的存在として捉えることができる。


はじめに

22/7(ナナブンノニジュウニ、通称ナナニジ)は、秋元康総合プロデュースデジタル声優アイドルグループである。現在、新メンバーオーディションを行い、新しい仲間を呼ぶための活動が行われている。

ところで、ナナニジとはどのようなアイドルグループと言えるだろうか。社会学的視点から捉えると、単なる「アイドルグループ」という枠を超えて、現代社会における複数の重要な意味を持ち、また実験的側面も数多く含まれている。

 アイドル文化の変容とメディア融合

22/7は「デジタル声優アイドル」というコンセプトを掲げ、二次元(アニメ・キャラクター)と三次元(リアルメンバー)を架橋する存在として2016年に、生まれた。

これは、現代社会における メディア横断的なアイドル消費の典型例であり、ファンは「キャラクター」と「中の人」(リアルメンバー)の両方を追体験することができる。社会学的には「虚構と現実の境界が揺らぐ時代の象徴」と扱える。

 グループアイドルの「匿名性」と「代替可能性」

ナナニジのメンバーは、本名はオープンにしない。結成メンバー11人はファンによって芸名が名付けられ、その名前で活動していた。その後、加入した新メンバーも芸名が与えられ、「匿名性」が守られているグループの一つである。

グループ外活動では22/7の名を背負わない。
例えば、10月30日~11月3日に行われる 歌劇「千本桜〜令和間引刻〜」は天城サリー、河瀬詩、望月りのが参加する舞台となっているが、本人の名前に22/7のグループ名はつけられていない。


また、フジテレビのイマドキガールで活躍している麻丘真央の名前にも22/7のグループ名は示されていない代表例の一つとなるのだろう。


ナナニジのメンバーは、「キャラクターの声を担う存在」であり、グループ外では「22/7の名を名乗れない」「卒業すると芸名を変える」などの制約がある(ようだ)。

ナナニジはメンバー卒業後に、芸能界にとどまるメンバーは、芸名を変更し芸能活動を継続していることは、個人と集団のアイデンティティが明確に切り分けられている。

これは、現代労働社会における 「会社人としての役割」 vs 「個人としてのアイデンティティ」 に似た構造であり、社会学的には「役割と主体の分離」として解釈できる。

青春の代理経験と共同体感覚

楽曲のテーマ(孤独、抵抗、理解者の存在、神や運命の意味)は、現代の若者が直面する 不安定な社会的立場やアイデンティティの葛藤 を映している(青春の代理経験)。

22/7 3rd single『理解者』music video

その代表的な楽曲となるのは、
孤独を示したものに
「理解者」、「ムズイ」などがあり、
抵抗を象徴したものには
「地下鉄抵抗主義」、「ムズイ」などがあり、
理解者の存在を表し歌詞となるのが
「理解者」、「何もしてあげられない」などがあり、
神の存在を表すものが、
「神様だって決められない」、「世界の矛盾」などがある。

ファンはナナニジを通じて、自己の葛藤や不安を「代弁」してもらい、また同じファン同士で共有することで 擬似的共同体を形成している。

数字・概念的ネーミングの象徴

グループ名「22/7」は、円周率の近似値=「無限に続く割り切れなさ」を意味している。
これは、社会の中で完全に「答え」が出ない葛藤や矛盾を象徴しており、社会学的には 「現代社会の不確実性と曖昧さ」 を表現するメタファーとも言える。

滝川みう

まとめると


ナナニジというアイドルグループは、社会学的に捉えると、

  • メディア融合の新しい文化的現象

  • 役割と主体の分離という労働社会の縮図

  • 青春の不安と共同体形成の代理装置

  • 不確実性社会を象徴する記号

といった意味を象徴とした側面を垣間見ることのできる存在と位置づけられる。社会的にその特徴が受け入れられ、支持されれば、更なるファンを獲得できるアイドルグループとなると思われる。

西條和
 22/7、〈Summer Live 2025 ~Toyboxの秘密~〉

おわりに

22/7は、メディア融合による新しい文化現象であると同時に、現代社会における役割と主体の分離、青春の不安や共同体形成、そして不確実性社会の象徴を体現する存在である。

ファンとの関係性や楽曲のテーマを通じて、個人の葛藤や社会的矛盾を映し出すナナニジは、単なるアイドルではなく、虚構と現実をつなぐ社会学的な実験場であり、その独自性こそが支持と共感を生む要因となっている。


いいなと思ったら応援しよう!

Ringo / 越川欣和 | ナナニジ音楽哲学LABo 記事をお読み下り有り難うございました。いただいたサポートは、クリエイターとしての活動費や勉学費用に使わせていただきます。(書籍、文具代など)どうぞ応援のほど、何卒よろしくお願いいたします。