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【22/7考察 三雲遥加】『22/7 the 3rd』の肯定、神無き世界を躍動するパトス——ニーチェの「運命愛」から紐解く

三雲遥加さん、お誕生日おめでとうございます!

22/7(以下ナナニジ)3期生は加入からまだ日が浅いながらも、その活躍には実に目覚ましいものがある。その中心において、三雲遥加は決定的な役割を果たしている。

西條和の卒業による「絶対的な存在の不在」というカオスを乗り越え、ナナニジ3期生はステージ上で圧倒的な輝きを放っている。そのパフォーマンスには、単なるアイドルの枠を超え、自らの運命を丸ごと愛し抱きしめる「アモール・ファティ(運命愛)」の精神が力強く脈打つ。

今回は彼女の生誕を祝し、ニーチェ哲学の視点から、苛烈な表現に挑み続ける三雲遥加という表現者の真価と、その鮮烈な活躍の足跡を解き明かしていきたい。


8人の主人公の一人、三雲遥加

ナナニジ3期生メンバーはそれぞれ異なる個性を輝かせている。これまで筆者は、黒崎ありすという存在をジャック・デリダの脱構築の眼差しで追い、消失する声を「パロールの表意」、書道パフォーマンスによる文字とダンスを「エクリチュール」と捉え、表現する世界を「黒崎ありす」という名の包容力で繋ぎ止める構造を描き出した。

しかし、『22/7 the 3rd』というテクストには、もう一人の違った主人公が存在する。西條和の卒業によって訪れた「神は死んだ」状態の混沌に対し、肉体ひとつで新たな運命を肯定しに挑んだ者——それこそが、フリードリヒ・ニーチェの思想をその身体で体現する表現者、三雲遥加である。

西條和の卒業=「神は死んだ」

かつてナナニジのテクストにおける絶対的なロゴス(神)であった西條和。彼女の卒業はグループにとって既存の秩序の崩壊であり、ニーチェの言う「神は死んだ」状態、すなわち価値の空白(ニヒリズム)の現出であった。

元ナナニジ 西條和

先日表した記事で、黒崎ありすが「デリダ的知性」で文字を遺したことを表した。一方、空白と混沌(カオス)の最前線に立ち、肉体一つで新たな運命を肯定しに行った者——それが三雲遥加である。

プロローグ:新メンバーオーディションにて

三雲遥加は、特別審査員からの評価が高かった。その中で柏木由紀から次のような言葉があった。

「・・・私が特に印象的だったのは、ダンスの審査の時に、ホントに、ご本人にも伝えたのですけど、真ん中に来た時、センターに来た時の、センターオーラが凄くて、なんかこう、何か持っているというか、いろんな他のメンバーを引っ張っていくような力のある方だと思うので、特にライブとか、凄い楽しみだなって思います。」

『【ナナニジオーディション/最終話】新メンバー決定!
特別審査員 柏木由紀

つまり、新メンバーオーディションの時に、三雲遥加はすでに認められており、彼女が「理解者」で西條和の役割を引き継ぐことは必然的だったのかもしれない。

三期生『理解者』の創造とアモール・ファティ

楽曲「理解者」の再定義

3期生は、ナナニジにとって重すぎる楽曲「理解者」に向き合わざるを得なかった。三雲遥加は、西條和が務めていたセンター(および重要ポジション)に立つという、あまりにも過酷な役割を背負ったのである。

「理解者」は単なる人気曲以上の意味を持つ。歌詞に込められた哲学は、ナナニジのルーツでありプロローグとなる「孤独、愛、自己、他者」を語る重要作だからだ。

三雲遥加は西條和の果たした歌声と台詞を継承した。しかし、彼女は西條和を単に模倣することはしなかった。彼女は22/7 the 3rdとしての作品を作り上げる根幹の役割を果たし、その歌声と台詞からは、悲鳴とも言える心からの叫びが響いてくる。

三雲遥加:TIF2026

「理解者」の台詞:西條和、椎名桜月、そして三雲遥加

西條和の卒業後、先輩メンバーが再構築した「理解者」では、歌声を天城サリーが引き継ぎ、台詞は椎名桜月が受け継いだ。台詞の語り方には、それぞれ明確な特徴が見られる。

君をこんなに傷つけてるのに
なぜ僕を拒絶しないんだろう
だから僕は自己嫌悪に陥る

22/7「理解者」

西條和:内に静かに語り込む。声量が豊かとは言えないが、その台詞には強烈な存在感があった。

西條和:「22/7 Anniversary Live 2024」

椎名桜月:祈りのように力強い。かつての「ハレロ」でのパフォーマンスを彷彿とさせる。

椎名桜月:『TIF2026』

三雲遥加:外に向かって力強く訴えかけている。まるで「助けてください」と叫んでいるかのような響きを伴う。

三雲遥加:『IDORISE!! FESTIVAL 2026』

三雲遥加が果たしている役割

彼女は西條和という重圧を呪うことなく、むしろその過酷な運命のすべてを愛するように引き受けた。これこそが「アモール・ファティ(運命愛)」の体現である。神格化した西條和のいなくなったナナニジの世界で、彼女はただの模倣者にとどまらず、自らの剥き出しの生(パトス)を用いて、22/7 the 3rdにおける新しい「理解者」の形をその場に創造してみせたのだ。

三雲遥加:TIF2026

『風は吹いてるか?』の再定義と身体における継承

楽曲「風は吹いてるか?」の再定義

22/7 the 3rdの「風は吹いてるか?」においても、三雲遥加は重要な位置を占めている。注目すべきは「台詞」、そして「間奏のダンス」である。

台詞において彼女が担ったパートは、本来、河瀬詩や帆風千春のものであった。結成メンバーによって作り上げられた表現を解体し、オリジナルをなぞるのではない新たな言葉として再創造する。彼女はその重要な役割を果たした。

三雲遥加

コンテンポラリーダンスという、解体と再構築

「風は吹いてるか?」の間奏において彼女が見せるパフォーマンスは、単なるアイドルの枠に収まらないコンテンポラリーダンス(現代舞踊)の様相を呈している。

小柄な身体を大きく使って表現される美しいダンスは、月城咲舞の表現力にも通じるものがある。

先輩メンバーから受け継いだダンス

三雲遥加は、ダンスを得意とする先輩メンバーの相川奈央や月城咲舞と深い関わりを持つ。先輩メンバーのダンスは、相川が得意とするストリート的なキレや、月城が魅せるコンテンポラリーな表現がある。

ナナニジ2期生 相川奈央

三雲遥加は、彼女たち先輩メンバーの肉体的エッセンス(意志とダンスの魂)を22/7 the 3rdの内部へと受け継ぎ、昇華させている。

先輩たちのステップや指先の軌跡、それらに注がれた3期生の情熱を一身に集め、薄暗い空間という空白に動的なエクリチュールとして刻み込む。そこに、三雲遥加がナナニジの技術を継承し、22/7 the 3rdの価値を埋めていった輝きが存在する。

生の肯定(運命愛)

どのような逆境や混沌とした状況であっても、三雲遥加はその過酷さのすべてを愛するように問いかけ、踊る。それこそが、ニーチェの言う「アモール・ファティ(運命愛)」の現出に他ならない。彼女のパフォーマンスは、永劫回帰する一瞬の中に自らの存在を肯定してみせる「超人」の舞踏なのだ。

おわりに

デリダ的知性で言葉を刻む黒崎ありすと、ニーチェ的パトスで運命を愛し爆発させる三雲遥加。言葉と身体、静と動という正反対のベクトルを持ちながら、二人は互いの存在を高め合い、圧倒的な表現力として結実させている。

神格化された過去の軌跡をなぞるのではなく、自らの剥き出しの生をもって新たな「理解者」を創造してみせた彼女たちの姿。この幸福なアンチノミー(二律背反)こそが、これからの『22/7 the 3rd』を照らす真の希望である。


用語の整理:ニーチェ哲学

「神は死んだ」
キリスト教的な絶対的価値観や道徳が崩壊し、人々が信じるべき普遍的な指標を失った近代社会の到来を表現しています。
「アモール・ファティ(運命愛)」
人生の苦難や失敗も含めたすべての運命を必然とし、肯定して愛する生き方のことです。
「超人」
従来のキリスト教的な道徳や価値観に縛られず、自ら新たな価値を創造して力強く生きる理想の人間像です。


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