小学生と深夜ラジオ
今は、どの地域にいてもradikoで番組が聞ける。もし聞き逃してしまってもradikoのタイムフリーがある。でも、私が小学生の頃はそんな便利なものはまだ存在していなかった。
私は小学生の頃、あるバンドが大好きだった。テレビにたくさん出演するようなバンドではない。小学生の私はライブにも行くことが許されない。今のように、みんなが個人アカウントをもっていて、という時代ではない。唯一のメンバーのことを知ることができるのは雑誌くらいだ。そんなとき、そのバンドが深夜ラジオのパーソナリティに就任することになった。もちろん聞きたいのだが、24時から26時の放送。それに、放送局がぎりぎり電波が入るか入らないかというところ。小学生の私にとってはハードルが高すぎた。
それでも、どうしてもメンバーの声が聞きたくて、親に隠れてラジオを聞いた。初めてメンバーが話しているのを聞き、「こんなふうに話すんだ」と感動した。生放送だったため、今まさに東京のスタジオにメンバーがいるというのが、とても不思議な感覚だった。深夜ということもあり、メンバーがたまに際どい下ネタを話すこともあり、ドキドキしながら話を聞いた。放送は一度切り。聞き返すことはできないため、ラジオで話した内容をノートに書き留めて、読み返しては「このときの放送楽しかったな」と余韻に浸った。
雑誌やたまに出演するテレビなんかでは分からない、メンバーの人柄がわかるのがラジオ。ラジオのおかげでそのバンドが前よりも好きになった。同じ時間にラジオを通してつながっている感覚が、私にとって幸せな時間だった。
小学生が深夜までラジオを聞くということは、次の日の学校は本当に眠くて眠くてきつかった。放送中に寝てしまい、気づいたら朝だったなんてことも。それでも週一回の、このたった2時間の時間はやめられないし、これを楽しみに一週間を生き抜いていた。
今思えば、現代は本当に便利で、いろいろな情報が瞬時に手に入ってしまう。それでも、当時週一回だけの特別な時間が、今でも私の中の幸せな記憶として間違いなく私の中に残されている。

