アナーハタ ─ 愛と、受け取ること
— チャクラの話・第5話
チャクラの話、五回目です。
今日は、第4チャクラ「アナーハタ(Anahata)」について書きます。
サンスクリット語で、
「打たれていない音」という意味です。
アン(An)が、「〜ない」という打ち消し。
アーハタ(Ahata)が、「打たれた」「叩かれた」。
合わせて、「打たれていない音」。
不思議な名前です。
私は、
すべてのチャクラの名前のなかで、
この名前が、いちばん好きです。
なぜ、胸のチャクラに、
こんな名前がついているのか。
その答えは、
今日の話の、いちばん最後にあります。
場所は、胸の中心
第4チャクラの場所は、
胸の中心です。
左右の胸の、ちょうど真ん中。
ぎゅっと押すと、
少し、せつないような、
息が、つまるような、
そういう場所です。
うれしいときに、
胸が「あったかくなる」と言ったり、
悲しいときに、
胸が「ぎゅっとなる」と言ったり、
私たちは、
心の動きを、ずっと、
胸のあたりで、感じてきました。
第4チャクラは、
そういう、感情と、いちばん近い場所にあります。
第4チャクラは、橋の場所
チャクラには、
7つの場所があります。
下から3つは、
身体や、地に足のついた力に、関わる場所。
上から3つは、
意識や、見えないものに、関わる場所。
そして、その真ん中にあるのが、
この第4チャクラです。
下と、上を、
つなぐ、橋の場所。
身体と、意識を、
つなぐ、橋の場所。
第1から第3までで、
しっかりと根を張った力が、
ここで、いったん、ほどけて、
愛として、流れ出していく。
そして、第5から第7のほうへと、
つながっていく。
そういう、結び目のような場所なのです。
7つの真ん中にある、
ということは、
それだけで、
このチャクラが、
特別な意味を持つということに、
なります。
ここが司るのは、愛と、受け取ること
第4チャクラが司っているのは、
愛する力と、
受け取る力です。
「愛する」というほうは、
割と、分かりやすいと思います。
誰かを大切に思うこと。
何かを、いとおしむこと。
優しさが、
胸のあたりから、
外へ、流れ出していくような感覚。
そういう、
胸のあたたかさが、
ひとつめの、第4チャクラの働きです。
そして、もうひとつ。
「受け取る」というほうは、
実は、もっと、難しいことです。
「受け取れない」女性が、いちばん多い
これは、私が、
これまで、
たくさんの女性に出会ってきて、
強く感じていることです。
がんばってきた女性ほど、
「受け取る」ことが、
うまく、できなくなっています。
人から、優しくされると、
申し訳ない気持ちが、先に立つ。
ほめられても、
「いえ、そんな」と、
軽く流してしまう。
何かをもらっても、
「お返しに、何をしよう」と、
すぐに、考えてしまう。
ゆっくり休もうとすると、
「こんなことをしていて、いいのかな」と、
罪悪感が、湧いてくる。
これらは、ぜんぶ、
「受け取る力」が、
うまく働いていない、
しるしです。
第4チャクラが、
「与える」ほうにだけ、ひらいていて、
「受け取る」ほうが、
固く閉じている状態です。
「与える」だけでは、いつか枯れる
与えることは、
もちろん、美しいことです。
人を大切にできることは、
大事な、力です。
でも、
与えるばかりで、
受け取らないでいると、
人は、
いつか、
枯れてしまいます。
胸のあたたかさは、
外へと流れ出していく、
ばかりではなく、
外から、
戻ってくるものを、
ちゃんと、内側に、
取り入れることで、
巡っていきます。
流れていくものと、
入ってくるものが、
両方そろって、
はじめて、循環になる。
第4チャクラの愛とは、
そういう、
循環としての愛なのだと、
私は、思っています。
「受け取る」とは、何か
では、「受け取る」とは、
具体的に、
どういうことなのでしょうか。
それは、
誰かが何かをしてくれたときに、
「ありがとう」を、
そのまま、味わうことです。
すぐに、お返しを考えない。
申し訳なさで、薄めない。
ただ、
「ありがとう」と、
胸のあたりに、
その温かさを、
しばらく、留めておくこと。
それが、「受け取る」ということです。
ものを受け取ることだけではなく、
言葉も、
まなざしも、
時間も、
優しさも、
ぜんぶ、
「受け取る」対象になります。
「私は、これを、受け取ってもいい」
そう、
自分に許可を出せる人ほど、
第4チャクラは、
しっかりと、ひらいています。
なぜ、受け取れなくなるのか
女性が、
「受け取る」ことを、
苦手にしてしまう理由は、
たぶん、たくさんあります。
「もらってばかりじゃ、いけない」と、
子どもの頃から、
教えられてきた人もいます。
「ちゃんと、人の役に立たなければ、
愛されない」と、
どこかで、思い込んできた人もいます。
「人に甘えると、嫌われる」と、
感じてきた人も、います。
そういう経験のなかで、
身体が、
「受け取る」スイッチを、
少しずつ、しまってきました。
これも、
その人のせいではありません。
そうやって、
自分を守ってきた、
賢い働きの結果です。
打たれていない音、ということ
最後に、
このチャクラの名前に、戻ります。
アナーハタ。
「打たれていない音」。
楽器の音は、
弦を、
はじかれたり、
太鼓を、
叩かれたりして、
はじめて、鳴ります。
外から、何かが触れて、
そのあとに、音が出る。
それが、ふつうの音です。
でも、
第4チャクラの場所には、
外から何にも触れられていないのに、
ひとりでに、
内側から、
静かに鳴り続けている音がある、
と、
タントラの世界では、考えられてきました。
それが、
「打たれていない音」。
「アナーハタ」という、
名前の、本当の意味です。
これは、
少し、深い話になります。
私たちが、
何かを愛しているとき、
その愛は、
外から、
誰かに教えてもらったから、
生まれているわけでは、ありません。
何かを受け取って、
胸があたたかくなるとき、
そのあたたかさは、
外から、もらったように見えて、
実は、
もともと、
私たちのなかに、あったものです。
ただ、
外からの、ささやかな何かが、
そのスイッチを、
押してくれただけ。
私たちの胸の中心には、
ずっと、
ひとりでに鳴り続けている、
優しい音が、ある。
その音は、
何があっても、
止まらない。
何をされても、
奪われない。
ただ、
そこに、
鳴り続けている。
そのことを、
タントラの人たちは、
「打たれていない音」と、
呼んできました。
あなたのなかにも、その音はある
これは、
信じる、信じない、ではなく、
ただ、
そういうふうに、
胸の中心を、
見てきた人たちがいた、
ということです。
もし、
ふと、
胸の真ん中に、
手をあててみたときに、
「ああ、ここに、
何か、あたたかいものがある気がする」
そう、感じることが、
あるかもしれません。
それは、
たぶん、
外から与えられたものではなくて、
もう、
ずっと、
あなたのなかで、
鳴り続けてきたものです。
ただ、
聞こえにくく、
なっていただけ。
これからは、
その音に、
ときどき、
耳をすませてあげる時間を、
少しずつ、
持ってあげてください。
それだけで、第4チャクラは、
ゆっくり、
ひらいていきます。
次回は、第5チャクラへ
次回、第6話では、
ひとつ上の、ヴィシュッダを書きます。
のどにある、
声と、表現の場所。
「清められた場所」という、
これも、美しい名前を持つ、
チャクラです。
来週の月曜、お会いできれば嬉しいです。
たつろう
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