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オタクSFアクションとしての映画「蜘蛛の巣を払う女」

自分は乱読ですが、原作の「ミレニアム」シリーズは好きで割と読みました。やはり最初の物語が鮮烈で、スティーグ・ラーソンという作家の才能に驚いたのですが、すぐに心筋梗塞で亡くなり、ラーゲンクランツに引き継いだ時は少し不安でした。しかしながら、ラーソンの遺志を継いで書かれた物語はより人間味に溢れ、特にリスベットとその背景に注力したのは面白かった記憶はあります。
さて、アメリカ版映画もまた、フィンチャーによる傑作「ドラゴン・タトゥーの女」から、フェデ・アルバレスによる本作「蜘蛛の巣を払う女」へとスィッチされたわけですが、キャストも一新され、観だした時は誰がミカエルかと一瞬戸惑いました(笑)。
実は最初全体のアクションの切れ味がイマイチな気がして2度鑑賞したわけですが、どうしたものか2度目となるとフェデ・アルバレスの個性に気づき、オタクアクション映画としての「蜘蛛の巣を払う女」が良く見えたのです。切れ目のないバイクや車によるアクション、ハッカーとしての才能を余すことなく使うリスベット、最終的にはリスベットから博士の開発した世界をノーパソで壊せる恐ろしい核兵器へのアクセスソフトを回収しに来た筈のNSA工作員(伝説のハッカー)エドウィン・ニーダム(ラキース・スタンフィールド)までが頼りがいのある仲間になる物語。忘れてはオタクとしてのアルバレスの才能が存分に発揮されたある種の「攻殻機動隊」オマージュ映画となっていました。
物語にいろいろ問題を感じるのは、やはり最初の原作者、スティーグ・ラーソンに対し、それを意識して引き継いだダヴィド・ラーゲルクランツの辻褄合わせの苦労と、リスベットとそのファミリーに視点を置いた物語の難しさに起因するものでしょうか。この難しい問題をアニメ的なアクションとスタンフィールドはじめとする魅力的なバイプレーヤーで魅せようという作戦は功を奏したとは言えます。
配役にもう少し触れると、リスベット役のクレア・フォイはやや年齢を感じさせたものの、精悍で天才ハッカーの魅力を良く出してました(個人的にはルーニー・マーラのが軍配上がりますが)。また妹カミラ(シルヴィア・ブークス)もいい悪役であり、少女時代の彼女とよく似ていました。そして物語の鍵を握る天才数学少年アウグスト(クリストフアー・コンベリ)も、定型ではありますが、SFアクション等に欠かせない魅力的なキーパーソンの子どもを雰囲気あふれる演技で引っ張って降りました。唯一のミスキャスト感があったのはミカエル(スヴェリル・グドナソン)か。引き締まったイメージの前作「ドラゴン・タトゥーの女」でのダニエル・クレイグと比較すると酷な感じか。
今回は、全体に台詞も攻殻機動隊感出してきて、恥ずかしげもなくキメゼリフを連発したり、シチュエーションもアニメ的でしたが、「エイリアン・ロムルス」より嵌っていたかも。「ドント・ブリーズ」は傑作だったが、こうした路線も悪くないと感じた。
キャメラワークや演出には言いたいことはあるけど、まあ楽しめたので良いかな‥。カーアクションやガンアクションはジェームズ・グレイの緊張感を倣って欲しかった。
スコアは甘いのか辛いのかよくわかりません(笑)。ガチャガチャしたアクションや漫画的な展開、ハッカー映画好きには楽しめると思います!

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