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テレワークゆり物語 (20)ワーケーションとテレワーク

田澤由利的ワーケーションとテレワークの考察。

「ワーケーション」は、「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた造語だ。

しかし、もともと「仕事」と「休暇」は、真逆の存在。それが合体すると、いろいろと誤解や混乱が生じる。

「休暇中に仕事をさせるなんて、とんでもない会社だ」(社員)

「仕事中に遊ぶなんて、何ごとだ!」(経営者・上司)

「休暇中に仕事をするなんて、あたりまえでしょう?」(フリーランス)

どれもごもっとも。さまざまな視点があって当然。それに「コロナ禍」の影響で、「自治体視点」「新ビジネス視点」「複数省庁の政策視点」が加わり、混乱を極めているといっても過言ではない。

そんなワーケーションを、私が勝手に整理してみる。なぜ私が出しゃばるかというと、ワーケーションは、テレワークができて実現できるからだ。

ワーケーションのメリットは、心身のリフレッシュ、ワークライフバランス、ウェルビーイング、イノベーション、SDGsなど、美しい言葉が並ぶ。しかし、その効果を得るためには、

移動・宿泊の「コスト」がかかることを忘れてはいけない。
日本で働く人の9割は「雇用されている」ことも忘れてはいけない。

フリーランスは、自分の意思で働く場所と時間を選択できる。ワーケーションをしたいなら自分で、お金を払う。お金を払いたくないなら、ワーケーションをせず、自宅近くで仕事をすればいい。自分の希望、自分の判断である。

しかし、企業の社員はそうはいかない。「働く」要素が入る以上、企業視点を無視して、ワーケーションを進めることはできないのだ。

つまり、企業視点で、ワーケーションにかけるコストに見合うメリットを見出せるか。これが日本においてワーケーションが広まるかどうか、の重要ポイントとなる。

では、企業にかかるコスト視点で、ワーケーションを分類してみよう。

(1)企業が移動コストを負担するワーケーション
これまで社内で実施していた「人事研修」や「重要会議」等をワーケーションの形で実施することで、社員の参加モチベーションを高め、非日常空間での効果を高める。さらに、テレワークにより、通常業務の中断を最小限にできればベスト。
ただし、研修や会議は会社命令なので、対象者全員に移動コストがかかる。そうなると、その研修や会議における費用対効果が重要になる。
ワーケーション企画において、イノベーションの創出・チームビルディング・SDGsの実施・人的ネットワーク構築等、コスト以上のメリットを明確にしなくてはいけない。ここは、仲介業者や受け入れ地域が最も知恵を絞るポイントとなる。
また、コスト面から考えると、ターゲットは、「人材育成」に力をを入れる大企業、あるいは「人材確保」に積極的なベンチャー企業等に限られるだろう。

(2)企業が移動コストを負担しないワーケーション
社員のリクエストに応じて柔軟に許可するというワーケーション。制度面の対応なので、企業としては敷居が低い。出張に行った先で、移動日程をずらして休暇を楽しむことを許可する(ブリージャー)。
「仕事があるので長期休暇が取りにくい」と心配する社員に、休暇先で必要な就業のみを許可する。会社として推奨することで、社員は長期休暇を取得しやすくなる。
前者(プリージャー)は本来かかるコストであり、後者の移動費用は社員負担なので、企業の負担は少なくて済む。企業におけるワーケーションの第一歩として、おすすめだ。

(3)企業が社員の負担を補助するワーケーション
(2)のケースを実施するにあたり、社員への「福利厚生」要素として、テレワークする場所の費用負担や、移動や宿泊にかかる費用を補助する。コスト的な負担は低くしつつ、「企業イメージ」「社員の満足度」を向上させることができる。

コロナ後は、(3)のパターンで、企業のワーケーションが広がると予測している。理由は、(2)は簡単でいいが、目立たない。(1)は、新しい働き方を推進している企業としてイメージ向上ができるが、コストもかかり、まずは一部の企業に限られる。

だとすると、会社が手間やコストをかけずに、ワーケーション実施のサポートをしてくれるサービスが、新しいビジネスとして注目されるだろう。

ワーケーションで「我が街へ」という自治体、ワーケーションなら「我がサービスを」という仲介業者としては、(3)に取り組む企業との連携・契約などが重要になる。

と語った上で、私が理想とするワーケーションは、この3つのパターンとは少し異なる。

「社員がどこで働いていも、生産性が変わらない」企業の、当たり前のワーケーション

企業としては、オフィスに集まるよりも、テレワークで生産性が高まるのであれば、社員がどこで働いていてもいい。社員が自分の好きな場所で働くので、そこへの移動や宿泊コストは、当然、社員が払う。もちろん、ワーケーションのための特別な制度も必要無い。

ただし、雇用である以上、フリーランスのような自由な働き方をされるのは困る。社員の安全管理、心身の健康管理、時間管理は、企業の責任だからだ。

テレワークでも、オフィスで働いているのと同様のコミュニケーションを取りつつ、企業責任として、働く場所・働く時間・仕事の内容を把握できる環境(規則・ICTツール・マインド等)を整備する。
働く場所は社員が決めるが、どこで仕事をしようと、仕事には何の影響もない。結果として、ワーケーションも、普通に実施できる。

このようなテレワークを実践できる企業が増えれば増えるほど、ワーケーションの市場・ニーズ・可能性は、どんどん広がる。そしてワーケーションは、企業にとっても、働く人にとっても、地域にとっても、大きなメリットをもたらす「働き方&休み方」となる。

その先にあるのは、社会全体の持続的な「ウェルビーイング」の実現だ。

・・・ということで、私の理想のワーケーションは、私の理想のテレワークと一致した。

※ビーチでテレワーク中の女性の写真。ビーチだからダメ、なのではない。いつものように仕事のコミュニケーションをとり、マネジメントが実施されていれば、ビーチでもOKなのだ。
逆にそれができていなければ、たとえ地方にサテライトオフィスがあっても、ワーケーションは難しいと私は思っている。

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