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在庫リスクゼロを実現する、新時代の"ものづくり"戦略:GLIP Partner Community 第11回 開催レポート



こんにちは!
GLIP Partner Community運営メンバーのYuです!
先日、ミートアップイベント「在庫リスクゼロを実現する、新時代の"ものづくり"戦略〜オンデマンド製造がもたらす、製造・物流戦略の新常識とは〜」を開催しましたので、その内容をレポートいたします。

近年、コンテンツ消費のスピードが加速し、在庫を抱えるリスクがますます深刻化しています。そんな中、「必要なものを、必要な分だけ、適切なタイミングで届ける」というオンデマンド製造は、物流とものづくりに新たな可能性をもたらします。本イベントでは、「Printio」を営むOpenFactoryの堀江賢司氏を迎え、「無在庫で実現する新しい製造・流通の形」に迫りました。


ご登壇いただいた、堀江賢司氏

登壇したのは、株式会社OpenFactory-代表取締役の堀江賢司氏。もともと家業でのぼり旗印刷業を経営していた経験から、業界のアナログ体質や廃棄問題を目の当たりにし、「環境負荷の低いオンデマンド製造」をスタートアップとして推進するに至ったとのこと。

堀江氏の起業ストーリーには、「家業のDXは家業しか救えないが、スタートアップは業界全体を変えられる」という力強い信念が感じられました。

オンデマンド製造のリアル

イベント冒頭、堀江氏は「必要なときに、必要な分だけ、適切な形で製造する」というプリントオンデマンドの本質に触れながら、自身の家業での実体験を通じてオンデマンド製造の価値を解説しました。


家業での違和感とスタートアップの挑戦

堀江氏は元々のぼり旗印刷業を家業としていた中で、以下のような課題を強く感じていたと語りました。

  • 印刷工場では10億円以上の設備投資を積極的に行うことが多い一方、ソフトウェアにはほとんど投資をしない工場の実情

  • 大量生産・在庫型の構造により、売れ残りや廃棄、排水処理コスト(排水処理施設の建設に約8,000万円がかかることなど)が大きな負担に

  • 「1枚から注文したい」というニーズに、現場が対応できるポテンシャルはあるのに、運用・投資の意思決定で断念される現実

このような「作れるけど、仕組みがないからやれない」矛盾を解消すべく、家業から独立し、Printioをスタートした経緯を語りました。

注文起点の「ジャストインタイム」な生産

製造業やEC事業者が直面する「在庫リスク」「タイムリーな商品提供の難しさ」「発注業務の煩雑さ」といった"売れるかわからないものを大量に作ってしまう構造的な無駄”を根本から解消するためにOpenFactoryが開発したのが、クラウド型オンデマンド製造プラットフォーム『Printio』です。

参照元:https://printio.me/

堀江氏の語る「オンデマンド製造」は、トヨタが掲げる「ジャストインタイム」の考えにも近いものであると語っていました。

Printioの仕組みとして「購入ボタンが押された瞬間」に生産指示が入る完全な需要起点型のアーキテクチャにより、販売側は商品在庫を持たず、工場側も個別対応可能な状態でリスクゼロの物販が可能になります。

「量産=正義」の時代を超えて

これまでの製造業では、「多く作れば単価が下がる」という前提から、大量生産が“正義”とされてきました。しかしその裏側では、売れる保証のない在庫への先行投資や、廃棄・保管コストのリスクが常にのしかかっていました。

堀江氏は講演の中で、ロット生産によって実際に利益が出るのは「全体の半数以上が売れた場合」と語ります。1個売れた時点では利益が出ているように見えても、トータルでは赤字になる構造です。特にグッズ企画では「盛り上がって作ったけど売れ残る」「テンションが下がった頃に商品が届く」といったズレが大きな課題でした。

オンデマンド製造はその課題を根本から解消します。売れてから作る、1個から届けるという仕組みにより、在庫リスクをゼロにしながら、タイムリーにファンや顧客の熱量を捉えることができます。たとえばスポーツの優勝記念グッズや、SNSで話題化した瞬間の商品化にも即応可能です。

「とにかく多く作る」時代から、「必要な分を、必要なときに、ムダなく届ける」時代へ――。オンデマンド製造は、まさにその転換点を象徴する存在だと言えるでしょう。

工場のDX化と全国ネットワーク構想

堀江氏が目指すのは「仮想サプライチェーン」の実現。全国の印刷・縫製工場にクラウド型の生産管理システムを提供し、1ライン規模のマイクロファクトリーをネットワーク化。印刷クオリティの担保やバーコード管理など、細やかな配慮もされています。

実際、経営者の資質や信頼性を重視して工場を選定し、クレーム率を抑える高品質体制を維持するためにシステム改修を続けているとのことです。

デジタルが切り開く「物流の未来」

これまでの物流は、全国一律の「センター倉庫経由」によって効率を追求してきました。たとえば四国でグッズを買っても、実際には千葉の倉庫から届く――そんな構造が今も一般的です。

しかしこの一極集中型の物流は、配送量の増加や環境負荷、人手不足といった課題を抱えています。堀江氏はこの課題に対し、「地産地消×分散製造」を物流改革の鍵と捉えられていました。

具体的には、全国の中小工場をデジタルで繋ぎ、注文が入ると最寄りの工場で製造し、そのまま出荷。物流会社の拠点をまたがずに届けることで、地産地消的な配送ネットワークを実現しようとしています。

将来的には、海外からの注文を現地プリンターで生産する「越境しない越境EC」も視野に。分散と自動化によるこの構想は、物流だけでなく、環境・地域経済・働き方にもポジティブな変化をもたらす可能性を秘めています。

「越境ECでありながら越境しない」世界観の実現を目指しているとのことで、これはサステナビリティと効率性を両立する構想として、非常に魅力的な未来だなと感じました。

質疑応答から見えたリアルな課題と可能性

イベント後半では、参加者との質疑応答が行われ、オンデマンド製造・物流・システム連携にまつわる実務的な疑問に対して、堀江氏が率直に答えていました。以下、主なトピックを詳しく紹介します。

質問:事業展開における物流面での一番の壁は何か?

回答:最大の課題は、個人情報と匿名配送の仕組み。送り状発行に必要な情報を工場側に渡さずに済む仕組みがまだ普及しておらず、セキュリティ対策としてクラウドからの送り状発行などの手段を我々も模索中、とのこと。


質問:超高齢化・人手不足社会において、何がキーファクターになるか?

回答:属人化していた受発注や選定業務を、WebシミュレーターやAPI連携で自動化する取り組みが鍵。たとえばバーコード印刷による初心者でも操作可能な製造フローを構築しており、障害者雇用の促進につながったり、今日が初日のアルバイトの方でも高クオリティでの製造が可能になります。

補足:「今日入ったバイトでも印刷できる」という発言に、現場レベルでのオペレーション再設計が進んでいることが具体的に示されました。


イベントの後は懇親会でネットワーキング!


今回も講演後の恒例の懇親会にて、登壇者・参加者同士でコミュニケーションを行っていただきました。
物流の未来をテーマにしていたこともあり、物流に関する企業の方はもちろん、印刷業界・DX推進担当者など幅広い方との交流機会となりました。

その他のレポート記事はこちら #GLIP_PartnerCommunity

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