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父母と矢野顕子さんを聞きに行く

少し前の出来事。

8月26日、ビルボードライブ大阪
矢野顕子トリオ featuring ウィル・リー&クリス・パーカー

もうすぐ80歳になる父の調子が少しずつ悪くなりつつある。
体調もそうだが、前には出来ていたことがどんどん出来なくなってきた。
父の変化にとまどいつつも私はたまにしか会わないので優しく声をかけることが出来ているが、毎日一緒にいる母にはわがままも我慢せず言うので、母もストレスが多いようだ。

そんな時にビルボードで矢野顕子さんのライブがあることを知りふと、両親を誘ってみようかなと思った。
両親二人とコンサートなんて行ったことなかったけど、気分転換にたまにはいいかという軽い気持ちでチケットを取った。

先月から検査入院して、父が中皮腫と診断された。歩くと呼吸がしんどいらしくゆっくりとしか歩けないそうだ。
食もどんどん細くなり痩せる一方だ。
母も元々細い人だが夏場は食欲がなくなるらしくやせ細っている。
そんな二人がこの暑い中大阪まで出て来れるか心配だったけれど、「じゃあ、現地集合でねー!」と母が電話の向こうで明るく言った。


ステージに向かって左側のソファ席。
おつまみ程度の食事を少しだけ頼み、とりあえずビールを楽しみながら
父が昔バンドをしていて働きながらドラムを習いに行っていたこと、ジャズが好きな事、矢野顕子さんの歌と歌詞がすごく気に入って何度かコンサートに行った事を聞いた。
そんな話普段はしたことがなかったから初耳のことも多くて意外だったし、すごく音楽が好きだったんだな、と思ってびっくりした。

時間になり、右端からウィルさんとクリスさん、
最後に矢野顕子さんが登場。
ほわほわしたヘアスタイルに、見る人を幸せにさせるあの笑顔。
ひらひらした白地に赤い模様のワンピースをまといヒールの赤いサンダルで歩いてきた。
私は矢野顕子さんを初めて見たのだけれど、一瞬でその魅力に惹きつけられてしまった。そしてステージのすばらしさ。
音と音が重なりあってきらきらと体に降ってくる感じ。心地よいリズムに体が自然と揺れてしまう。
「ああ、音楽って楽しい、すてきだ!」と心から思わせてくれた。

ところで、余談ですがライブを見て音楽を聴きながらも人間というのは、
全く別のことを考えることが出来るんですよね。

あー、いいなこの空間しあわせだな
みんなおしゃれしてきていて素敵だな
そうだ、ずっと着けていない時計を久しぶりに着けてみようかな、とか。
隣の人のプレートおいしそう
あ、子供たちごはん食べたかな?
冷蔵庫におかず入ってるよっていうの忘れたな、とか(笑)
ちゃんとライブに集中しているはずなのに。

隣の父はというと
身を乗り出して拍手をし、
曲間にはものすごくうれしそうに「昔のままだ!あー最高や!」
とニコニコして言う。
うっかり胸にグッときてしまい、歌を聞きながら涙があふれ出た。
父が矢野顕子さんのファンだということは知ってはいたけど、
そんなに好きだったなんて。

もっと一緒にコンサート行けばよかった。
楽しい場所に連れて行ってあげればよかった。
今まで自分のことばっかりで、まだ両親に何もしてあげられていないと後悔したけど、
まだこれからだ、まだいろんな事ができる。

父と母も喜んでくれたけど、
実は私もとても楽しかったんだ。
この夏でいちばんの思い出になったよ。
ありがとね。

以上!


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