始まりは空っぽの缶ケース…
40歳。 人生の折り返し地点なんて言われる年齢になって、ふと思い立って身の回りの整理を始めた。
「断捨離」なんて言葉が頭をよぎりながら、押入れの奥に手を伸ばす。 そこで指先に触れたのは、ずっしりと重たい、埃をかぶった一つの段ボールだった。
中を覗くと、そこには30年前の自分が一番大切にしていた「宝物たち」が、時間を止めたまま眠っていた。
一番上にあったのは、このドラゴンボールZの缶ペンケースだ。
手に取ると、驚くほど軽い。 振ってみても、中から鉛筆の転がる音さえ聞こえてこない。

蓋を開けてみた。 「ガシャン」という、あの頃と変わらない少し高い金属音。
中身は、空っぽだった。
鉛筆も、消しゴムも、授業中にこっそり書いた手紙も、今はもうどこにもない。 だけど、不思議だ。 その空っぽの空間を見つめていると、当時の記憶が次から次へと溢れ出してきた。
中身は空っぽなのに、思い出だけはパンパンに詰まっている。
そう気づいた瞬間、僕は整理の手を止めた。 これを捨ててしまうことは、あの頃の自分を捨ててしまうことと同じだと思ったから。
今日から、この「おもちゃ箱」に眠る精鋭たちを、一つずつ外に出してあげようと思う。 40歳の僕が、あのオレンジ色の夕焼けの下で笑っていた自分と向き合う記録。
僕らの原点は、案外こんな「空っぽのケース」の中に隠れているのかもしれない。

さて、次は何を取り出そうか。 僕のおもちゃ箱の物語、ゆっくりと始めていきます。
