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初夏のヨーロッパ⑩ナメてはいけないイタリア鉄道(下)

(上はこちら…)
 しかし、イタリアの鉄道をなめてはいけない。
 コモ滞在3日目は降水確率90%。ミラノの名所屋内見学に充てることにした。10 年以上前に1泊したときはドゥオーモとヴィットーリオ・エマヌエーレ2世ガッレリアしか行かなかったので、スカラ座その他見ていないところがたくさんある。

今回お初、スカラ座!

 ミラノ観光はさておき(冒頭の写真はミラノ駅)、問題は、ミラノ-コモ間の運行を受け持つTrenord(TrenitaliaがJR東海とすると、TrenordはJR東日本&JR北海道、みたいな関係です)である。 片道40分ほどで本数も(イタリアにしては)多い通勤通学電車なので、日帰りもふらっとできる。…はずだったのだが…。 
 帰りは17:23の電車に乗ろうと思っていたが、雨やどりに入ったカフェでゆっくりしたくなり、18:23に変えた。オープンの往復切符だから、どれに乗ってもよいのだ。 

 18時過ぎに駅に行くと、10分遅れの表示。それが20分、40分になり、結局発車したのは19:24。そのあともノロノロ運転と停車を繰り返す。英伊アナウンスによると「先ほどの夕立で線路がどうかしたので、云々」。 
 乗客たちは、黙々と鞄からサンドイッチや果物のパックを取り出して夕飯を食べ始める。私の鞄の中には、水と飴しか入っていない。 
 結果、コモに到着したのは21:10。通常の3倍近く。ありえない、と思うのは、例によって「日本の常識」に過ぎず、イタリア鉄道では「あるある」なのだ。 それにしても、まだ明るさの残る6月でよかった。他の季節だったら真っ暗で、駅から徒歩10分でも歩くのはコワい。

 ただ、Trenordの心配は、その日だけにとどまらなかった。
 実はトリエステ駅で、Trenordが6月11日午前3時から24時間ストを決行することを知った。コモにいる間に一度はスイスに足を伸ばしたくて、マッジョーレ湖のスイス側にあるロカルノに行こうと思っていたので、ストを避けて翌日の往復チケットをオンライン予約してあったのだ。

 ミラノからの帰路、動かない電車の中で、ロカルノ行きもだんだん心配になってくる。スト後もダイヤ乱れや運休があるかも。そもそもロカルノは、ミラノ→コモの延長、つまりこの、夕立で線路に支障が生じた路線である。リュブリャナからザグレブへの電車も遅れたし(イタリアと関係ないけど)。思いは千々に乱れる。
 チケットは変更不可だが払戻可なので、手数料を払って別の日に変更したほうが安全だろう安全だろうか。

 再びGoogle AIに尋ねる。今度は「スト中でも朝夕の通勤電車は走行が保証されます。スト後は大丈夫でしょう。ただ運休する長距離列車もあるので、サイトをこまめにチェックしましょう」
 そうか、なら大丈夫かなぁ。でも、ほんとかなぁ。最後に表示される「AI は不正確な情報を表示することがあるため、…云々」の警告文が、不安を余計掻き立てる。

 こんなとき頼れるのは、やはり生身の人間である。
 コモの次に訪れる予定の、ピエモンテ州在住の友人にLINEしてみた。もっ  ぱらクルマの生活だから、鉄道ストには詳しくないかもしれないけれど…。
 即レス。
「イタリアのストは日常茶飯時だから、時間はきちんと守るので基本的に大丈夫。2週間前のストも、翌日はトラブル無し」とのこと。
 ほっ…。ようやく心から安心。

 当日、ロカルノ行きの電車は、16分遅れでコモを出発した。
 ロカルノからの帰りの電車は、出発も到着も定刻であった。日本では当たり前のことが、イタリアでは有難く感じられる。

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