ゴマスリ行進曲について


 ゴマスリ行進曲は、ご存じクレイジーキャッツの代表曲ですが、数ある曲の中でも、私が最もエネルギーを得ることができる名曲です。
 まず、前奏で約3秒ほどの、おごそかなファンファーレ、そして植木等のまるで、朝のラジオ体操ばりのハツラツとしたゴマスリ宣言「さあ、みんな揃って、楽しく元気にゴマをすりましょう!」このたった7秒でも、かなりの気合が入るのですが、次の本格的な前奏では、天まで届くような、高らかで颯爽とした口笛が途中に入ってきます。
 この段階で、私の小さな悩み事のほとんどは、忘却の彼方へ吹き飛んでしまうのですが、植木等の歌唱が始まると、さらにハイテンションへ移行していきます。
 最初のワンフレーズ「ごまーをすりましょう!陽気にごまをね!」、植木等の抑揚が効いた、魂のゴマスリフレーズです。そのあとにくる、クレージーのメンバーによる「あ、すれ、すれ!」の合いの手が、さらに曲に勢いを持たせます。
 「口からでまかせ、出放題、手間もかからず元手もいらーず!」もともと、ケチな私の性格には、これまたこの歌詞が突き刺さります。元手もいらず、口だけで、上司にも周囲に可愛がられるなんて、なんとコストパフォーマンスが良いのでしょう!
 タレントの松村邦明さんが、「挨拶にスランプなし」とおっしゃっていましたが、それに通ずるものがあります。よく、就職する前に挨拶だけは必ずするようにと指導を受けましたが、ゴマスリ行進曲はまさに新社会人にとって必須の労働歌です。
 「すれーば、この世にちょいと(ちょいと)ちょいと(ちょいと)ちょいと(ちょいと)ちょいと(ちょいと)はーるが来ーるー」ちょいとの4連発も、クレージーの合いの手とともに、少しづつボリュームが上がっていくところもかなり秀逸です。
 そして、間髪入れずに、チンドン屋のような修飾音が挿入され、最後のフィニッシュへと、「えらいやっつぁ、おだてろ、ごますって、のせろ!」そして、最後のクレージーによる合唱「そーれ、すれ、すれ、ごますれほいほい!」耳をすますと、やはりハナ肇と犬塚弘の声が際立っているような!
 一番が終わり、間奏が始まりますが、これもまた行進曲の名に恥じない堂々たる演奏です。トランペットをはじめとする管弦楽器が、未来への扉を開き、まっすぐに伸びる大道を、可能性しかない日本国民が笑顔とたくましさで大手を振って、ゴールに向かって行進しているようです。
 そして、2番が始まります。
「ごまをすりましょう!みなんでごまをね!」(あ、すれ、すれ)
「ごまをするにも命がけ!思いつくまま、気のむくままに」
「すれーば、雲間に、ちょいと(ちょいと)ちょいと(ちょいと)ちょいと(ちょいと)ちょいと(ちょいと)月がでーるー」
「えらいやっつぁ、おだてろ、ごますって、のせろ!」
「そーれ、すれ、すれ、ごますれほいほい!」
 現代日本人は少し、クレージーの曲を聴いて、細かいことなど,
こだわらず、前進あるのみで、突き進む勢いも必要だなぁとつくづく思います。
 ここで、3番に移るのですが、この2番と3番の間奏が、先ほどの1番と2番の間奏とは違うのです。(なんと、凝ったことをしてくれるのでしょう!!)
 ここの間奏は、行進曲というより、春風とともに優しい口笛がフルートを使い表現されます。勇ましい、行進曲をは打って変わり、一服のやすらぎを与えてくれるのです。
 そして、最終の3番が始まります。
「ごまをすりましょう!みなんでごまをね!」(あ、すれ、すれ)
「朝もはよから、夜中まで、身震いするような、うんまいこと言おう!」
「運が開けりゃ、ちょいと(ちょいと)ちょいと(ちょいと)ちょいと(ちょいと)ちょいと(ちょいと)福がくーるー」
「えらいやっつぁ、おだてろ、ごますって、のせろ!」
「そーれ、すれ、すれ、ごますれほいほい!」
 3番の歌詞では、やはり、「朝もはよから、夜中まで、身振いするような、うまいことを言おう!」の歌詞に注目です。
 私は「身振いする」という歌詞に、まさに身振いがします。なんだろう、「ぶ」という濁点の影響なのか、はたまた「身震い」という単語の持つエナジーなのか、身震いするようなゴマスリとは、どんなものなのか?今ではもう、聞くことの出来ない、全身が震えるほどのゴマスリとは、一体どのような「お世辞」だったのでしょうか?
 そして、植木等が「うまい」を「うんまい」と、「う」と「ま」の間に「ん」を入れて勢いを持たせ、さいごは「Let's say!」で、全国民に語りかけます!
 西洋の行進曲と、ジャパンの持つチンドン屋の陽気さが融合された、昭和の名曲中の名曲です。
 私は、まさにここに宣言します!鬱病の治療には、最新の「クレージー療法」を提唱します。
 まず、1週間クレージーの曲を聴くことにより、脳内を浄化して、一種の麻痺状態を作り上げ、その勢いを借りて、異空間へ放り込むのです。行先は、ハワイなどの、ゆったり時間が流れているところがいいですね。もしくは、わが北海道のローカル線を、車窓から眺めながら物思いにふけるのも、いいでしょう!
 きっと、トレドミンを飲むよりも、絶大な効果があると思います!
「ゴマスリ行進曲」、まさに現代に降臨する救世主であり、確かな道を照らす手持ち提灯です。
 一億総鬱病時代と言われている、今こそ、我々日本人は、クレージーの残したレガシーに感謝とリスペクトを示し、医学界へ、この革新的治療法である「クレージー療法」をアピールするときがきているのかもしれません。
 ちょっと、大げさでしたかね!
 それでは、聞いてみましょう!


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