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valo__427
あたまのなか
『信号機、ぶどう味なんですよ。』
『えっ?』
交通量の少ない23時過ぎ。
70歳くらいだろうか。
白髪のダンディーなタクシードライバーが言った。
『次の信号機、通りすぎる時にぶどうの味がするんです。少しだけ集中してみてください。』
突然、訳のわからない事をいわれて戸惑っていると通り過ぎてしまった。
『いかがでしたか?
ぶどうの味しましたか?』
『…突然だったので集中できませんでした。』
『では、次の信号機はイチゴの味がします。
集中してみて下さい。』
(そんな事…)と思いながら集中してみた。
タクシーが止まった。
動いた。
『いかがでしたか?』
『…した気がします…。
イチゴと聞いていたからかもしれません。』
『次はレモンパイかもしれません。』
『レモンパイ…
(どんな味だっけ??)』
『到着しましたよ。
お腹が空いていると、ついつい食べ物を連想してしまってね。』
ダンディーな朗らかな笑顔だった。
鏡に映る自分を見て気づいた。
明日は美味しいものを食べよう。
