イップス克服に向けて050:「折れたバット」もヒットに変える“運のいい人”の「心のしくみ」
▶グランドスラムタイトルは、何億出しても買えないから
「ワイルドカード を金で買うようなもの」という話が、物議を醸しました。
Yahoo!版
https://news.yahoo.co.jp/articles/b9044e23303c158c02a31599c6b809f37eee7895
配信元のcocokara
それはそうでしょう。
突き詰めれば、何億出してもグランドスラム タイトルは金で買えないから、プライスレスなのですよね。
逆に言えば、金がなくても実力次第で獲れるから、夢がある。
もちろん、ツアーを回るには金が必要だけど、ないからといってふて腐れてはチャンスに恵まれません。
マリア・シャラポワ が、父ユーリとソチからフロリダへ渡った時、手元に700ドルしかなかった話は有名です。
当時(1994年頃)の1ドルは約100円だったため、日本円でいうと7万円前後だからギリギリの生活。
700ドルと夢だけ持って、アメリカへ渡ったのです。
▶テニス人生の「ものすごい幸運」
ただし、「金」はなくても「運」は必要。
運というのは、仏道でいうところの業論と、ほぼ同義です。
厳密に言うと業は、感情と出来事のチェーンリアクションと言えますけれども、「運が良い・悪い」などと感じるのも感情ですから、同義として話を進めます。
ちなみにここで言う「運」とは、3億円の宝くじが当たる「偶然のラッキー」ではありません。
もっとシステマチックな心の働きです。
ところで私事で恐縮ですが、テニスに限って言えば私は「ものすごい幸運」でした。
何しろ「イップス」になりましたからね。
これにより、テニスが当初から上手かった同期よりも、テニスについて研究し、テニス関連の仕事にも生かせました。
もともと私よりセンスがあったとしても、今はもう、テニスを続けていない人さえ少なくありません(関連記事「経験できてよかった『イップス』」)。
▶大谷翔平のヒットは「まるでドカベンの殿馬」が生んだ幸運
「そんなのイップスを克服した人の話だろう!」という批判もあるかもしれないけれど、そのプロセスは何ひとつ欠かせなかったかけがえのない「宝物」でした。
「ぜんぶ、つながっている」からです。
球出しイップスにならなかったら、トトンの考えないテニスに出会えなかったかもしれないし、フォアハンドイップスにならなかったら、『ベースメソッド』の発見もなかったかもしれません。
昨日の例でいえば、大谷翔平が打った内野ゴロ、真っ二つに折れたバットがセカンドの手前に飛んだせいで安打になったのは、やはり「運」でしょう。
スポニチ紙面は「まるでドカベンの殿馬だ」と、幸運の秘打をたとえています。
▶「俺様が!」という自我が、無我を遠ざける
それと業論の、何の関係があるのか?
「ヒットを打った俺様はすごい」などと高慢にならず、幸運を謙虚に受け止めるから、俺様の「自我」が出てきません。
いわば「無我」ですから、それが次のヒットにも、また次のヒットにもつながる自業自得というわけです。
「俺様が!」 という思い上がったメンタルだと、運は開かない(善業を得ない)のです。
システマチックな心の働きとして。
ですから私も「『ベースメソッド』を自ら考え出した!」などと、思い上がらないように気をつけなければなりません。
思考も自業自得であり、「俺様が考え出した」という我を張ると、降って湧いてくる自動思考に自我の濁りが混ざるのです(関連記事「『湧いてくる思考』も自業自得」)。
▶この文章も、自分で考えていない
具体的には、この文章も厳密に言うと、私(自我)が考え出しているわけではありません。
眼識が光を、耳識が音をキャッチするように、頭の中に降って湧いてくる思考を意識がキャッチしているにすぎないのです(関連記事「文章もメロディもフォームも『降ってくる』」)。
ただし目に映る見たものすべてを認識できないのと同じように、降ってくるすべての思考を意識が キャッチできるわけではありません。
大事な思考はキャッチできるように、言い換えれば雑念をつかまされないように、認識力を高めるのが「集中」です。
嘘をついたりすると「バレたらどうしよう」という雑念がよぎるから、業を良くしておくことが集中力を発揮するうえでおすすめです(関連記事「嘘をつくと勝てなくなる」)。
▶業がノバク・ジョコビッチを、謙虚たらしめる
この業論により己を謙虚たらしめているのが、誰あろうノバク・ジョコビッチです。
「カルマ」 などというと、怪しげなスピリチュアルを思い浮かべる人もいるかもしれないけれど、そうではありません。
運を司る業論です。
誰しも、表面的には不運に思える出来事に見舞われるけれど、そんな時こそ「怒らないこと」で運が開きます。
シャラポワが、金がなくてふてくされていたら(怒っていたら)、キャリアグランドスラム達成はなかったに違いありません。
バットが折れたのは不運だったかもしれないけれど、腐らず(怒らず)一塁へ全力疾走したから、出塁する幸運に恵まれたのです。
なぜ大谷は、そんな不運にも関わらず、全力疾走する気になったか?
それこそが、「業による仕業」なのです。
▶あなたが加わる「スーパースター列伝」
こうして見ると、Appleをクビになったスティーブ・ジョブズ、レギュラーを外された高校時代のイチロー、何度も原稿を断られた『ハリーポッター』J・K・ローリングの、「運を生かした人生」が垣間見えますね。
イップスになっても「怒らないこと」で、業は良くなります(怒るとさらにひどくなるのは、暑いからといってイライラすると余計に「暑苦しくなる」のと同じです!)。
シャラポワ、大谷、ジョブズ、イチロー、J・K・ローリングたちによる「スーパースター列伝」。
次はあなたの番です!
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テニスゼロ代表
吉田無型(よしだ・むけい)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero