サロン楽屋話127:アルカラス「チェスのようなもの」は順序が逆
アルカラスは「チェスのよう」と言う。
でも、いきなり真似するとズレる。
先を読む前に、やることがある。
直感はあとから言葉になるだけです。
▶先を読む前に
順序が大事です。
「僕は常に一歩先を行こうとしている。相手が次の動きをする前に、それが何なのかを見極めようとしているんだ。ある意味、チェスのようなものだ。少し早めにその場にいるようにしたり、次に何が起こるかを考えたりしている。そうして初めて、自分の手について考えられるんだ」
アルカラスのこの言葉を一般プレーヤーが早とちりして、いきなり考える戦い方に走るのは危険です。
なぜならチェス、あるいは将棋は、一手に数時間をかけても構わない「長考」ができるからです。
特に大長考の記録は1手5時間24分(2005年、堀口一史座七段)。
テニスにそのような時間はありません。
▶相手ではなく、ボール
コート上で実務的に相手にしなければならないのは、差し当たって「ボール」です(関連記事「テニスの相手は人ではない―― 実務的な相手はボール」)。
すると、「ひらめく瞬間」がある。
相手が次の動きをする前に、それが何なのかを見極められると感じられるときがある。
たとえば「車の運転」。
前の車の動きや流れを見ていると「この車、車線変更してきそうだな」「ここ、詰まりそうだな」と、先に分かる瞬間があります。
いちいち考えていません。
目の前の状況(=ボール)を見ているから、先が見える。
あるいは「会話」。
相手の話を聞いていると、次に何を言いたいのか、なんとなく分かることがあります。
逆に、自分の言うことを考えていると、さっぱり読めなくなる。
相手を見ようとするとズレる。
目の前のやり取り(=ボール)に集中すると、相手が見えてくる。
▶直感はあとから言葉になる
「あえて手を読まない、直感を信じる」と言ったのは、プロ棋士の羽生善治氏でした。
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