SaaSベンチャーの1次面接で落ちる理由
「実績は話せた」のに通らない人の共通点
書類選考は通った。面接でも、実績はきちんと話せた。手応えもあった。
それなのに、1次で落ちる。
「何が悪かったのか、分からない」
そう感じている方に、SaaSベンチャーで採否を決める現場の責任者として選考に携わってきた立場から、正直にお伝えします。
まず、知っておいてほしい数字があります。
書類を通過した人のうち、1次面接を通過するのは、体感で2-3割程度です。
つまり、7-8割は落ちる。 これは、あなただけが苦戦しているわけではありません。
ただし、落ちる人には明確な共通点があります。そしてそれは、「実績が足りない」ことではありません。
この記事の前提:1次面接の面接官は「人事」ではありません
先に、重要な前提を確認させてください。
この記事は、「1次面接に配属予定先の現場マネージャーが出てくる」ケースについて書いています。
SaaSベンチャー・スタートアップでは、これが最も一般的な形です。人事がスクリーニングを行わず、いきなり現場の責任者が面接に出てくる。
そして、これが極めて重要です。面接官が人事か、現場マネージャーかで、見られている場所がまったく違うからです。
■ 人事が面接官の場合
経歴の一貫性、カルチャーフィット、最低限の要件充足
■ 現場マネージャーが面接官の場合
明日から自分のチームで戦力になるか
現場マネージャーは、あなたが入社したら直属の上司になる人です。
だから、実績の有無より、その実績をどう生み出したのかを執拗に確認します。一緒に働く人間として、どう考え、どう動くのかを知りたいからです。
もし、あなたの応募先で1次面接に人事が出てくるなら、この記事の内容は当てはまらない可能性があります。 その場合は、経歴の一貫性や転職理由の整理を優先してください。
面接の案内が来たら、面接官が誰かを必ず確認してください。 エージェント経由なら聞けますし、直接応募でも問い合わせて問題ありません。
「書類は良かったのに」というギャップは、実際に起きる
採る側にいると、こういうことが頻繁にあります。
書類を読んだ段階では、期待していた。 実績も十分、経歴も申し分ない。「この人は良さそうだ」と思って面接に臨む。
ところが、会って話すと、印象が変わる。
これは、候補者に嘘があったわけではありません。書類に書いてあったことは、すべて事実です。
では、何が変わったのか。
1次で落ちる、最も多い理由
結論から言います。
実績は語れる。しかし、その実績を「どう達成したか」が語れない。
これが、1次面接で落ちる人の、圧倒的に多いパターンです。
具体的には、こういうことです
職務経歴書には、こう書いてある。
「担当エリアの新規契約数を、前年比140%に伸長」
面接で「この実績について教えてください」と聞くと、多くの人はこう答えます。
「はい。担当エリアで新規開拓を担当し、前年比140%を達成しました。既存顧客のフォローもしながら、新規のアポイントを増やす努力をしました」
書いてあることを、そのまま説明しているだけです。
採る側が知りたいのは、そこではありません。
どのような行動を取ったのか
どこを工夫したのか
先行指標のどの数値を、どう改善したのか
その結果として、なぜ140%という数字になったのか
ここが語れない人が、非常に多い。
対して、通る人はこう答えます
「前年比140%を達成しましたが、最初の半年は目標を大きく下回っていました。
そこで、自分の商談を『初回接触→提案→クロージング』に分解して数字を取ったところ、提案までは進むのに受注に至らない案件が全体の6割を占めていると分かりました。
失注理由を確認すると、決裁者が商談に同席していないケースがほとんどでした。そこで、初回商談で必ず決裁フローを確認し、決裁者を早期に巻き込む進め方に変えました。
結果、受注率が18%から25%に改善し、後半で数字を巻き返すことができました」
同じ実績でも、伝わるものがまったく違います。
なぜ、ここを見ているのか
理由は、明確です。
この人が、環境が変わっても同じ成果を出せるかを知りたいからです。
数字だけを見ても、それが何によってもたらされたのかが分かりません。
たまたま良い市場、良い商材だったのか
前任者が作った土台があったのか
それとも、自分で課題を見つけて、打ち手を変えた結果なのか
「数値から振り返り、それを改善できる人」は、別の環境でも再現できます。 これが、採る側が最も知りたいことです。
逆に言えば、どれだけ立派な実績があっても、それを生み出したプロセスを説明できない人は、「再現性が確認できない」という理由で見送りになります。
これが、「書類は良かったのに、会ったら違った」の正体です。
補足:選考の構成は、企業によって違います
冒頭で触れた通り、SaaSベンチャーでは1次に現場マネージャーが出てくることが多いのですが、構成は企業によって異なります。
よく見られるのは、この2パターンです。
パターンA:1次=配属予定マネージャー → 2次=事業本部長 → 3次=社長 人事は選考に登場せず、オファー面談で初めて出てくるケースも多い
パターンB:1次=人事がスクリーニング → 2次=配属予定マネージャー → 3次=社長・役員 こちらもベンチャーでは珍しくありません
そして、「2次に人事部長が出てくる」とは限りません。 むしろ、人事が選考の途中にまったく登場しない企業の方が多いのが実態です。
つまり、「何次だから、こういう面接だろう」という思い込みは通用しません。
重要なのは回数ではなく、誰が出てくるかです。
では、どう準備すべきか
やるべきことは、シンプルです。
職務経歴書に書いた実績を、すべて「プロセス」に分解しておく。
分解の型
書いた実績それぞれについて、次の4点を用意してください。
① うまくいかなかった時期はあったか 最初から順調だったケースは、実は説得力が弱い。つまずきがあり、それを乗り越えた話の方が、はるかに強い。
② 原因を、どう特定したか 「頑張った」ではなく、何を見て、何が問題だと判断したか。 数字を分解したなら、どう分解したか。
③ 何を変えたか 具体的な打ち手。行動を変えたのか、順番を変えたのか、聞き方を変えたのか。
④ 先行指標の、どの数値がどう動いたか これが最も重要です。
結果の数字(受注額、達成率)だけでなく、その手前の数値を語れるかどうか。
商談数
受注率
平均リードタイム
初回接触からの転換率
「受注率を18%から25%に改善した」という一言があるだけで、評価は大きく変わります。
用意すべき数は、3つで十分です
すべての実績を分解する必要はありません。最も語れるものを3つ、この型で準備してください。
面接は、深掘りされる場です。3つを深く語れる方が、10個を浅く並べるより、はるかに評価されます。
まとめ
書類通過者のうち、1次面接を通過するのは体感で3割程度
落ちる最大の理由は、実績不足ではなく、「その実績をどう達成したか」を語れないこと
採る側が見ているのは、数値から振り返り、改善できる再現性があるか
「書類は良かったのに」というギャップは、ほとんどがこの理由で起きる
この記事は「1次に現場マネージャーが出てくる」ケースの話。 人事が1次に出る企業では、見られる場所が違う
「何次だから」で判断せず、面接官が誰かを必ず確認する
準備は、実績を①つまずき ②原因特定 ③打ち手 ④先行指標の変化に分解しておくこと
1次面接で問われているのは、あなたが何を成し遂げたかではありません。
それを、どうやって成し遂げたか。 そして、それを別の環境でも再現できるか。
その説明さえ用意しておけば、通過率は確実に変わります。
面接の次の段階で、迷ったら
1次を通過した先には、また別の観点で見られる面接が待っています。
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