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【喫茶店】旧尾崎テオドラ邸〜水色の洋館で、ヴィクトリアケーキとコーヒーの一時

よく聴いているラジオで紹介されていて、一度行ってみたいと思っていた「旧尾崎テオドラ邸」。

先日、ようやく予約を取って訪れることができました。

世田谷区豪徳寺に佇む、水色の洋館です。

なんでも、取り壊されそうになっていたこの建物を、漫画家を中心とした有志が保存に乗り出し、クラウドファンディングなどを経て改修。

現在は漫画を中心とした展示施設と、喫茶スペースとして利用されています。

今回のお目当てのひとつは『ガラスの仮面50周年記念展』だったのですが、実際に訪れてみると、展示と同じくらい印象に残ったのが、この洋館そのものと喫茶室でした。


■ 小雨の中、水色の洋館へ

この日は小雨。

ネットで予約していた午後2時の入館時間より少し早く到着したため、建物の庭で10分ほど待ちました。

雨に濡れた木々の向こうに、水色の洋館が建っています。

写真では何度か見ていましたが、実際に見るとなかなか存在感があります。

都内にこんな建物が残っていること自体、少し不思議な感じがします。

中に入ると、高い天井や木製の窓枠、階段など、古い建物ならではの造りが随所に残っています。

今回、喫茶室利用付きのチケットを購入していたので、展示を見たあと、そのまま喫茶室へ向かいました。


■ ヴィクトリアケーキとブレンドコーヒー

注文したのはブレンドコーヒーと、

「旧尾崎テオドラ邸 オリジナル ヴィクトリアケーキ」。

コーヒーはガラス製のポットに入って出てきました。

こういう器で出てくるだけでも、少し気分が上がります。

味もしっかりしていて、美味しい。

ヴィクトリアケーキは、思っていたよりかなり大きめでした。

スポンジケーキの間にジャムを挟んだ、とてもシンプルなお菓子です。

華やかなケーキではないのですが、この古い洋館の雰囲気には妙に合っています。

昔のイギリスの家庭で、紅茶と一緒に食べられていそうな素朴さがあります。

一緒に訪れた知人は、ダージリンティーと2色の葡萄パフェを注文。

少しだけシェアしてもらいました。

ダージリンティーはかなり香りが高く、紅茶にそれほど詳しくない自分でも、

「これはかなり良いやつでは」

と思うくらい美味しい。

葡萄パフェも、質の良い葡萄にアイスやメレンゲなどが組み合わされていて、こちらもかなり美味しかったです。


■ 古い建物でしか味わえない時間

喫茶室は天井が高く、とても開放感があります。

新しいカフェとは明らかに違う空気が流れています。

別に静まり返っているわけではない。

人の話し声もするし、食器の音もする。

それなのに、なぜか落ち着きます。

長い年月を経た木材や壁、窓、床。

古い建物でしか感じられない、少し時間の流れがゆっくりになるような空気があります。

こういう場所でコーヒーを飲んでいると、

「喫茶店って、コーヒーだけを飲みに来る場所ではないんだな」

と改めて思います。

空間ごと味わう。

この旧尾崎テオドラ邸は、まさにそんな喫茶室でした。

また、建物や展示を見学するには喫茶室の利用券が必要なので、訪れた人は基本的に何かしら飲食をする仕組みになっています。

歴史ある建物を残していくには、維持費も当然かかります。

単に保存して公開するだけではなく、

「文化的な建物を残しながら、喫茶店としても運営する」

という仕組みは、なかなかよく考えられていると思いました。

■ ここで子供時代を過ごすということ

この建物には、もうひとつ以前から興味を持っていた理由があります。

昭和の一時期、この洋館は共同住宅として使われていました。

その頃、写真家の島尾伸三・潮田登久子夫妻が、娘のしまおまほとともにここで暮らしていたそうです。

以前、ラジオでその話を聞いて、

「こんな洋館で子供時代を過ごすって、どんな感じなんだろう」

と思ったことを覚えています。

少し前には六本木のギャラリーで、潮田登久子がこの建物に住んでいた頃に撮影した写真を見る機会もありました。

その時は、

「かなり構図を工夫して、フォトジェニックに撮っているんだろうな」

と思いながら見ていたのですが。

今回、実際に訪れてみて分かりました。

いや、この建物。

普通に撮ってもかなり絵になります。


■ そして、外国人だらけの豪徳寺へ

旧尾崎テオドラ邸へ向かう途中、少し不思議に思ったことがありました。

外国人観光客をものすごくたくさん見かけたのです。

欧米系の人もいれば、インド系と思われる人たちもいる。

「この辺って、そんなに外国人観光客が来る場所だったっけ?」

と思ったのですが。

旧尾崎テオドラ邸を出たあと、近くの豪徳寺へ行って、その理由が分かりました。

境内には大勢の外国人観光客。

そして、ずらりと並んだ大量の招き猫。

豪徳寺は「招き猫発祥の地」として海外でも紹介されているようです。

周辺にも招き猫をモチーフにしたお土産を売る店がいくつもあり、ちょっとした観光地になっていました。

ところが、その大勢の外国人観光客が旧尾崎テオドラ邸を訪れている様子はあまりありません。

その時、ふと思いました。

考えてみれば、外国の人、特に欧米圏の人からすると、

「古い洋館」

そのものは、それほど珍しくないのかもしれません。

日本人の自分から見ると、旧尾崎テオドラ邸はとても異国情緒のある建物です。

しかし欧米の人から見れば、

「東洋の片隅に残っている、日本風にローカライズされた昔の西洋建築」

なのかもしれない。

それよりも、招き猫が大量に並んだ寺のほうが、圧倒的に「自分たちの国にはない風景」に見えるのでしょう。


■ 十数年ぶりの豪徳寺

豪徳寺を訪れるのは十数年ぶりでした。

以前来た時は、これほど外国人観光客が歩いているような場所ではなかった記憶があります。

寺そのものは昔からあります。

街並みも大きく変わったわけではありません。

旧尾崎テオドラ邸も、長い年月、同じ場所に建っています。

ところが、そこを訪れる人や、街を見る視線は大きく変わっている。

古い洋館でコーヒーを飲み、そのあと外国人観光客で賑わう豪徳寺を歩く。

建物そのものの時間と、街を取り巻く時代の変化。

その両方を感じられた一日でした。

そして何より。

小雨の日に、古い水色の洋館で飲むコーヒーというのは、なかなか良いものでした。

「ガラスの仮面」の展示についての記事はこちら
https://note.com/tenten2021/n/nffbf47e26282

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