【DAY11 ただ、私に出会ってくれてありがとうって言いたかったんだ】
案の定爆睡、7時起床。
天気良いー!!
昨日食べきれなかったブリトーを食べ切る。
そしてマダムから連絡あり。
「昨日のコンサートはどうだった?
いい天気の朝だけど、何をして過ごしてるのかしら?
良かったら13:00にお茶会をしない?
もちろんもしあなたの予定が決まっていなかったらだけれど。」
コンサートはアメージングで、
チャンスがあればもう一度見たいくらいです!
もちろん今日、行きます!たのしみです!!
と返信。
とりあえず、荷物整理と洗濯。
時間ができたら洗濯。
そして昨日眠くて書ききれなかったお手紙の中の、
日本の宗教まとめを完成させる。
英語で日本の宗教を説明するときにウケるというジョークを見つけたので、
これも書いておく。
Japanese are born Shinto, marry Christian, and die Buddhist.
日本人は神道で生まれ、キリスト教で結婚し、仏教で死ぬ
たしかになー、と思った。
あとは、日本文化全体的に興味を持ってくれたらしいので、『弓と禅』も薦めてみる。
ドイツ語タイトル『Zen in der Kunst des Bogenschießens』。
発音できない。
1956年刊行。
オイゲン・ヘリゲルというドイツの哲学者が日本で弓道を習うプロセスを書いている本だ。
私、中学から弓道部なので、15歳くらいの時に興味本位で読んでいた。
2年、3年前に再読して、思うところあったので覚えていた。
オイゲンさんが中盤でナチュラルに師匠の言うことを無視しはじめるので頭を抱えながら読んだが、
ちゃんと痛い目を見て学ぶ姿勢を取り戻す。
本当にすごいのはそういう表層的なことだけではなくて、最終的に精神の本質、みたいなことに近づいていく本である点だ。
だからこそ、これだけ長い間読み継がれることができたのだろうな。
スティーブ・ジョブズもこの本が好きだったらしい。
多分今でもドイツ語版があるはず。あってくれ。
Google翻訳で長めの手紙をまとめながら、
私もさらさらっと音楽ができたらなー、と思う。
語学習得よりも、多分向いている。
私の頭はあまりにも日本語だ。
分解できる系の楽器やろうかな、クラリネットとかフルートとか。
本当はファゴットかサックスもやりたい。
目下の目標はピアノだけど。
言語を介さないコミュニケーションは私の生涯のテーマになるだろうなあと思う。
お手紙完成。
あらかた荷物整理も終わったので、マダム宅に行く前に、少し散歩。




別アングルバージョン
昨日も見たベルリンの壁が近かったので再訪。


そのまま直進で、ブランデンブルク門にたどり着けるらしい。
ちょっと有名な門だ。
ベルリンといえばここ!
みたいなランドマークのひとつ。
歩いて向かう。


グッズもたくさん売っていた。

気持ちいい日だ。
到着!ブランデンブルク門。

1791年に平和門として完成。
しかしナポレオン侵略でトップにある女神像は略奪、
そしてナポレオン失脚と奪還。
しかし今度はヒトラーのプロパガンダに利用され、
第二次世界大戦で大破、
冷戦時代には無人地帯となり誰も近づけなくなるも、
ベルリンの壁崩壊後はヨーロッパ平和の象徴となって今に至る……
らしい。激動だ。
話は逸れるが、どうも私、韓国に行って以来、ダンキンドーナツを見かけると心拍数が上がる病気らしい。
食べないぞ。
今度韓国に行ったら食べるんだ。
(↓韓国とダンキンの話はこちら)


地下鉄乗車。マダム宅最寄り駅に向かう。

途中から地上を走るスタイルだった。

駅の外にあったコンビニ、時空の歪にあるらしい。


昨日マーケットがあった公園は、今日は何もなくのどかな日曜の昼下がり。
午前中はみなさんお祈りに来ていたのかな?

キリスト教の人は毎週日曜は教会に行くのでしょうか?
すごいなー、マメだなー、と思ったけれど、
私も本屋出勤前にはだいたい隣の神田明神に参拝してから出勤しているな、と思い返す。
習慣になると行けるよね。
街路樹のマロニエ、ピンクと白を観察してみる。


13:02くらいに、
2度目となるベルリンマダム宅のチャイムを押す。
10秒後、今日もオシャレなマダム登場。
質問リストに、「どこで服を買うんですか」を追加しようと決意する。
「また会えてうれしいです!」
と伝えると、
「私もよ!早く入って、コートはここで、荷物はそこに置いて、
今日は中庭でお茶しましょう!
あなたの持ってきてくれた抹茶を、どうやって飲むか教えてくれる?
オーケストラの話も聞きたいわ。」
とマダム。
もちろんです!(全てに対して)
「午前中は娘と孫が来て大忙しだったんだけど、帰ったら静かになったわ。
あなたも午前中は楽しめた?いいお天気だったわね」
「午前中は、荷物を片付けて洗濯をして、ブランデンブルク門に行きました、とってもにぎやかでしたよ。
ちょうどいい気候で、どこも美しくてアメージングでした。
あ、昨日のコンサートも素晴らしかったです!これがパンフレットで……(ガサゴソしながらパンフレットを渡す)」
「まあ!!ストラビンスキーだったのね!ファイヤーバード(『火の鳥』)!私も大好きよ。
昨日ちょうどストラビンスキーの話をしたところだったわね!
最初の曲は新しい曲かしら……?知らない曲だわ、
それにしてもこのパンフレット、ドイツ語しか書いてないじゃない。
こういうところがドイツのよくないところなのよ……(ぶつぶつ)」
マダムも言語に対して思うところあるんだな。
「日本に帰ったら翻訳機で読んでみます。
あとこれ、昨日美術館でうまく説明できなかったので、手紙に書いてみました。読んでみてください」
と、今朝まとめた手紙を渡す。
「あら、ありがとう!昨日もらったお手紙もちゃんと読んだわよ。
お手紙ナンバー2ね。(手紙を開けながら)
……あら、私この本知っているわ。『Zen in der Kunst des Bogenschießens』(『弓と禅』のドイツ語タイトル)、父の本棚にあったから、15歳の時に読んだの、とてもおもしろかったから、覚えているわ。」
なんだと!?
私、人生で初めて、『弓と禅』を読んだことがある人に出会ったんだが!?
ここドイツのベルリンなんだが!?
こんなことあるのか。
じわじわといろんな感情がかけめぐって、
衝撃的すぎてちょっと涙ぐんだ。
おー、まいごっど。
八百万に宿りし、まいごっど。
15歳の時に薄暗い部屋で、深夜一人で読んだ本について、
こんなに離れた場所で、歳も離れていて、全然違うプロセスで人生を過ごしている方と、英語で語り合う日が来るなんて、
想像できる?
どう考えてもイレギュラーすぎて想像の選択肢に登場することはない。
お互い15歳の時に読んでたというのも、より時空のひずみ感を演出してくる。
人生で最も瀕死だった、あのころの自分に教えてあげたいと思った。
本ってすごいぞって。
なんというか、ものすごい勢いで、この一瞬のやり取りで、
時空間を越えて、ずっと一人だった深夜の私が、
全部報われたような気がした。
……ということを英語で瞬発的に話すことは不可能で、
傍目に見たらただ動揺する私。
この瞬間、人生で一番、英語力があったらなと思った。
音楽が出来たらな、などと言っている場合ではなかった。
私はただこの、目の前にいるマダムに感謝したかったんだ。
私に出会ってくれてありがとうと言いたかった。
しかし、こうなったら。
今出来る、言語を越えたコミュニケーションに持ち込むしかない。
今の私にできること!
それは!!
渾身の抹茶をご提供すること!!
食はすべてを超越する可能性がある!!(盲信)
ということで、お土産に持参した抹茶を茶筅で点てた。
なんというか……ここに茶道の本質を見た。
茶道素人だけど。
次回、お庭でお茶会を開催、マダムオススメのお城と美術館に向かいます
