金魚鉢の中で|掌編小説
熱帯夜のようだ。ここは。
このままここで、死んでしまうんだろうか。
ーーー
気がつくと、僕は透明な狭いビニール袋に入っていた。
一回300円の文字。
あぁ、僕の価値ってそんなものなのか。
女の子が顔を近づけて、嬉しそうに笑っている。
ーーー
ちゃぽん。
小さなガラス鉢のようなものに僕は入れられた。
今日からここが我が家になるわけだ。
だが、ん….何かがおかしい。さっきよりも息が苦しい。
分かった、この水はただの水道水だ。
道理で体に合わないわけだ。
まずい、このままだと死んでしまう。
きっと僕を買ったのだって、ただの気まぐれで、ちゃんと育てていく気なんてなかったくせに。
人間ってなんて身勝手な生き物なんだ。
僕は力尽き、目を閉じた….
ーーーー
……くん、……くん
金原くん!
「う、うわぁぁ!!」
ガタン!!!と椅子が後ろに倒れ、僕は背中を打った。
「ちょっと、大丈夫??」
心配と呆れが入り混じった顔の加藤さんが、僕の腕を掴んで起こしてくれた。
「あのさ、金原くん今週担当だよね?金魚の飼育」
うちのクラスは、週替わりで生徒がかわりばんこで飼育する決まりになっている。今週は僕と加藤さんが担当だった。
「ごめん、忘れてた…」
「はぁ、そうだと思った。もう餌やりとかやっといたからね。」
じゃあ帰るね、と加藤さんは先に教室を出て行った。
ちらっと教室の後ろに置かれている水槽に目をやると、赤い金魚がギロっとこちらを睨んだような気がして、ギョッとした。
「ごめんな。明日からちゃんとお世話するからさ。そんな睨まないでよ。」
さっきの夢は、もしかしたらこの金魚が見せたものだったのかな....
シロクマ文芸部のお題、「熱帯夜」で書かせて頂きました。今週もお題をありがとうございます!
今更なのですが、私ちゃんと企画のルールを理解してませんでした💦お題で書き始めるって書いてあるのに、自由に書いちゃってた〜💦すみません!!
今回も楽しかったです♪
先週は人魚で今回は金魚。お魚繋がりになっちゃいました🤣
