【音楽文】XIIXは斎藤宏介の普段着〜White Whiteで魅せた彼の新たな音楽性〜【再掲】
※この記事は2020年2月に音楽文に投稿した文を加筆・修正したものです。
2019年10月20日、UNSON SQUARE GARDENのフロントマンである斎藤宏介が新しいバンドを結成した。
名前はXIIX(テントゥエンティ)。結成日から取った安直な命名ではあるが、表記は英数字…に見せかけたアルファベット。
バンド名からして、わかりやすいようで一筋縄ではいかない、斎藤宏介の性質を表しているようだった。
コンビを組むのは、様々なアーティストのサポートを務める、ベーシストの須藤優。
10数年来の友人であり、斎藤の自主企画「SK's Session」にも初回から参加している。
斎藤も「UNISON SQUERE GARDENのメンバー以外では最も頼りにしている」と豪語するぐらいの強い信頼を寄せている。
そんな2人が満を持して結成したXIIXは、2020年1月22日に1stアルバム「White White」をリリースした。
この作品は、今までのイメージとは一線を画す斎藤宏介の新たな魅力が溢れているような内容に仕上がっていた。
斎藤の「UNISON SQUERE GARDENでは表現できない音楽を形にする」という思いのもと始まった活動ゆえに、彼がバンドの主軸を担うことは容易に想像できた。
そうして解き放たれた音楽性は、周囲の予測なんて軽々と超える14曲としてカタチを成し、ひとつの作品としての完成を迎えた。
アルバムのタイトルでもあり、1曲目を飾る「White White」は、幕開けにふさわしい壮大なインストゥルメンタルが自然と耳に入ってくる。
リード曲的な存在である「Stay Melow」では、ヒップホップの要素を取り入れ、曲中でおそらく初であろうラップを披露している。
「LIFE IS MUSIC!!!!!」では、咳や時計のチクタク音など、日常の音を使ってメロディを作り上げていた。
そんな自由な曲がありつつも、「LIGHT &SHADOW」や「Saturdays」といった華やかな曲も随所に散りばめられている。
現代の流行やトレンドを貪欲に自分のものとしながら、それを自身の音楽に落とし込み、新たな表現を生み出す。
どのアーティストも行っている作業であるが、それがより洗練したものになって仕上がっている印象を受けた。
求めていたものの範疇ではあるが、それが100点満点中120点で返ってきたような…意外と出会うことができないであろう嬉しい誤算に満ちたアルバムであった。
そんなアルバムを聴いていくうちに、一つの結論に辿り着いた。
「XIIXは斎藤宏介の普段着である」と。
"UNISON SQUERE GARDEN"の斎藤宏介といえば、シャツにネクタイというのがトレードマークである。
ロックバンド然とした、自由な柄の服もあるが、基本的にはカチッとした正装の様な印象を受ける。
それは音楽でも同様である。
田淵智也という作曲家が、斎藤の歌や演奏に最も適した曲を作り上げる。
まるで服装をコーディネートしていくように。
さらに、"UNISON SQUERE GARDEN"の斎藤宏介は、確かな哲学と確固たる信念を垣間見せることが多い。
15年間積みあげてきた揺るぎない自信も理由のひとつだと思うが、バンドの根幹を信頼するメンバーに委ねることで、それを如何に説得力を持たせるのか…そこに対して全神経を注いでいるからではないかと考える。
だからこそ、1人では出せないであろう、一聴で判断できない深い魅力に溢れているのだ。
UNISON SQUERE GARDENというオーダーメイドの服を華麗に着こなす。
それが今までの斎藤宏介の印象である。
けれども、"XIIX"の斎藤宏介はそれとは真逆であった。
ビジュアルからしても、ネクタイをしていないことに違和感を感じる人もいるだろうが、決して見た目の話だけではない。
とにかく"型"にとらわないのだ。
休日に好きな服装を選んで出かけるように…曲ごとにそれぞれ異なる斎藤の姿が見えた。
「Answer5」はアクティブなパーカー、「E△7」は爽やかなジャケット姿、「XXXXX」は無骨なライダース……少し想像するだけで、様々な姿が斎藤の垣間見えるようだった。
もちろん人によってイメージは異なるであろうし、曲作りは須藤によるアレンジの力も大きい。
しかし、斎藤自身が1から作った曲には、"日常感"のようなものが漂っているのだ。
それまで彼から見えることのなかった"隙"…と言えば良いのだろうか。
どこか肩の力を抜いたような、自然体の音楽なのである。
何よりバンドを自由に楽しむ姿勢が前面に感じられた。
着たい服を自由に選び、考えうる最上の着こなしで仕上げる。
新たなバンドでの斎藤宏介は、そんな等身大の姿を覗かせた。
それはUNSON SQUARE GARDENでは決して見ることのできない、彼の飾らない一面だと思う。
今回のアルバムに「ilaksa」という曲がある。刺のある植物がタイトルの由来であるが、歌詞にも刺さっては抜けない"トゲ"を連想させる言葉が並べられていた。
メロディは洗練されたものに仕上がっていたが、どこか切なさが見え隠れする曲になっているのだ。
「Fantome」では、"甘い果実が 滴るまで あなたを 台無しにしてみたかったな"という大胆な歌詞が、一部のファンを騒然とさせた。
XIIXでは、等身大の斎藤を見ることができるのだろう。
だが、きっとそれはキレイな部分だけではない。
冒頭でも触れたが、一筋縄ではいかない"影"のような性質にも触れていくことになるはずだ。
聴き手にとって、未知の世界になることはまず間違いない。
それがどういう方向に転がっていくのかは、おそらく当人たち以外誰もわからない。
ひとつだけ言えるのは、斎藤自身が絶対の自信を持って音楽を発信していくということ。
その部分は今までの活動で見せていた部分と何ら変わりがない。
それがわかっているからこそ、彼を少しでも知る人間には、驚きはあっても不安はない。
"UNISON SQUERE GARDENも、XIIXも、両方100%の力で取り組んでいく"
そう言った彼の言葉に嘘偽りはないから。
どんなかたちの音楽でも、聴く人を納得させるものを作り上げるのだと断言できる。
これから200%の斎藤宏介が見れることが楽しみでならない。
"正装"の斎藤も、"普段着"の斎藤も、変わらない魅力に溢れているのだから。
この時代に彼の音楽を見つけることができた僕らは、きっと幸せ者だ。
そんな幸福を噛みしめながら、明日もプレイリストとにらめっこをする。
そして、悩んだ末に再生ボタンを押すだろう。
明日はどちらの彼と出会うことができるのか。
答えは"午後"の"夕映え"と"午前"の"曙空"が知っているのかもしれない。
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…ものすごく久しぶりの更新になってしまい申し訳ありません!
リアルの忙しさや加齢から来るであろう謎の不調(30代になるとマジで急に一段階くらい体力落ちる)により、なかなか執筆時間が取りにくくなってしまったことで、音楽文再掲に関してはかなり期間が空くことになってしまいました。
まあ過去の文ってタイミングも考えてしまいますし…なかなかここだ!って時期が決めきれなかった面もあるんですが。
XIIXについては、3月にバンド名が「TenTwenty」に改名されたこともあり、タイミング的には申し分になかったんじゃないかと思っています。
改名については色々と思うところもあるし、結成当時と比べると、どうしても音楽性の変化を感じてしまうんだけども。
あの頃の僕が好きになったXIIXの音楽の良さを少しでも伝えられたら嬉しいです。
そして、これまでサボってしまっていた音楽文の再掲をこの機会に全記事投稿してしまいたいと思います!
#デスおじの音楽文再掲 と称しまして、Twitter(現X)上で宣伝はしていましたが、僕にとってほぼライフワークと化している、UNISON SQUARE GARDENファンによる文字書き非公式企画「Populus Populus Prologue」と勝手に連動した内容となっています。
デスおじ=デスゲームおじさんの略称なんですが、何でそう呼ばれるようになった経緯については省略します。ネット見てください(大体企画で好き勝手した所為)。
「Populus Populus Prologue」が3ヶ月間の長期企画となっていますので、その期間に残り10本の音楽文も再掲していく予定です!
過去の文を読み返すのは恥ずかしいのですが、昔の音楽シーンを振り返るときに自分にとっても備忘録的なものになりそうなので、途中でサボってしまわないように頑張っていきたいと思います。
お楽しみに!
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