【2026.3.19追記あり】その歌声で、希望の響きとなるカバー「甘き死よ、来たれ」
カバー曲を歌ってもらえるのって、オリジナル曲を歌ってもらうのとはまた違った良さがある。あの名曲を推しの声で聴けちゃうなんて、とても贅沢!と思うのだ。
カバー曲ライブを開催してくださったり、通常のライブ中にサプライズで歌ってくれるのも嬉しいが、音源として残してくれるのはとても嬉しい。
NORWAY(ノルウェイ)というバンドでカバー曲をリリースしてくださっている推し、浅岡雄也さんなのですが。
今回ご紹介するのは、こちらの曲です。
ARIANNE
「Komme,susser Tod/甘き死よ、来たれ」
作詞 Hideaki ANNO(庵野秀明)(日本語原詩)Mike WYZGOWSKI(英訳)
作曲・編曲 Shiro SAGISU(鷺巣詩郎)
(AppleMusicより)
で、浅岡雄也さんとNORWAYって一体何?と思われた方へのご説明です。
浅岡雄也(あさおかゆうや)さんは、1995年5月15日にバンドFIELD OF VIEW(フィールドオブビュー)のボーカルとしてデビュー、2002年に解散後、2003年7月30日にソロ活動開始。2020年頃からFIELD OF VIEWとしてふわっと再活動開始、2025年5月15日にデビュー30周年ライブ開催とシングル「キミガスキダ」を発売しました。
ソロ活動は22周年です。現在は、ソロとバンド両方で活動しています。
端的に言うと、歌を歌っている人、ウタウタイ(ご本人自称)です。
(U-ya Asaoka Official Websiteより)
更に、NORWAY(ノルウェイ)とは、2011年にネット上で結成された、ゲームクリエイター飯野賢治さん率いるバンド。
(fyto公式サイトより)
メンバーは7名、GLAYのHISASHIさん、FIELD OF VIEWの浅岡雄也さんも名を連ねています。メンバーを聞いて90年代を駆け抜けたバンドのメンバーが2名もいるのか?!と驚く人は多いと思います。結成の経緯は、こちらの記事をご覧ください。
(4gamer.netより)
(ファミ通ドットコムより)
2025年5月5日、飯野賢治さんの55歳のお誕生日にデジタル配信を開始しました。飯野さんが制作した音楽の中から選んだ55曲5枚組のうち、NORWAYとして5枚目にまとめられています。
(fyto公式サイトより)
更に、公式YouTubeチャンネルでカバー曲を公開しています。
(NORWAY公式YouTubeチャンネル)
カバー曲という事で、原曲は「新世紀エヴァンゲリオン」の劇中歌。
そうなのか、知らなかった。
なぜなら筆者はエヴァを通って来なかったのだ(偉そうに聞こえたらすみません。全人類が通らない、ケモノ道を通って来ております)。
庵野秀明監督と言えば、エヴァよりも「ふしぎの海のナディア」(NHK総合)が先に思い浮かびます(「ナディア」も音楽は鷺巣詩郎さんのご担当でした。今だにテレビ番組のBGM等でよく使われています)。
ということで、この曲も原曲を聴いたことはおろか、エヴァ自体を見たことがありません。が、いろいろと話題になっていたので、うっすら、なんとなーくこんな内容のアニメなんだよ…ね?という程度で知っています。
それを踏まえた上での感想ですので、諸々ご了承ください。
(AppleMusicより)
タイトルの日本語訳がカッコイイ。
甘き死よ、来たれ。
てっきりクラシックを原曲にした曲かと思っていたのに、まさかのオリジナル曲とは。同名のバッハの曲を聴いてみてもそれっぽい旋律が出てこなかった。タイトルだけバッハから、のようです。曲名が古風なのが良いですね、カッコイイですね。
ピアノとオルガンの音が好き。このオルガンで教会音楽をイメージして、バッハが原曲かと思ったんだな。聴いた事があるような気がする感じ。後半にビートルズの「ヘイ・ジュード」ぽい旋律が来るのも、なんとなく懐かしい感じがする。
前半はピアノ、オルガンで静かに始まり、NORWAYのテクノっぽさ、がない。HISASHIさんのギターが入ると一気にロックになるんだなあ。より機械的な音はエヴァのイメージなのだろうか。
歌詞は英語詞です。最初、翻訳は見ずに聴きました。曲調が悲しげなのに、浅岡さんの歌声で明るく響く。
原曲も聴いてみました。
ARIANNEさんの歌声が儚い…。少し拙い雰囲気もあります。エヴァの登場人物たちは10代が多いと思うと、彼らの内面世界や10代特有の不安定で揺れる様子を表現するには、ぴったりの歌声なのかもしれません。
更に、英語詞ということで歌詞の内容もご存知で歌っていらっしゃるのだな。そうすると、歌詞の意味を踏まえての歌声になるだろう。
ではカバーは、というと。
浅岡さんの歌声が優しい。いつもの、真っ直ぐズバッと耳に入ってくる歌声とは違う。テンポがゆっくりだから、余計に丁寧に歌っているように聴こえる。やっぱり良い声。
加えて何と言うか、余白のある歌い方に聴こえます。飯野さんがどうやってここからアレンジしていくか、を待っているような感じに聴こえる。
この曲をカバーするに至った経緯については、こちらの公式サイトにあります。
(fyto公式サイトより)
飯野さんと、HISASHIさんもエヴァのファンだったところから曲が選定されたのか。好きな曲を自分のバンドでカバーできるって、楽しそうだ。公式サイトから一部分を引用する。
飯野賢治が先陣をきって、ピアノ部分を演奏し、追ってメンバーが各パートを制作していこうとしていた矢先、飯野賢治が帰らぬ人となったため、飯野賢治がNORWAYで制作した最後の楽曲。
この曲が、飯野さんにとっては最後の曲となったのか…。偶然とは言え、曲名に「死」が入っているのが切ない。
ここまでの、ボーカル浅岡雄也さんのファンである筆者の感想だけでも良いのですが、エヴァ歴の長い友人二人がいるため、有識者としてお迎えして曲について聞いてみました。
原曲を知っている人からはカバーがどのように聴こえるのか、気になったのです。
ちなみに二人とも、筆者から度々浅岡さんの話を聞かされているため、カバー盤も浅岡さんが歌っていることは知っています。
お二人とも、お忙しいところご協力いただきまして、ありがとうございました。
一応、作品のネタバレのないように書こうと思いますが、素人が書いていますので諸々ご了承ください。
友人A
エヴァ歴約30年
好きなキャラクターは惣流・アスカ・ラングレー(式波・アスカ・ラングレー)
友人B
エヴァ歴約28年
好きなキャラクターは「Q」の真希波・マリ・イラストリアス
二人とも、この曲のシングルを買ったそうです。
(dミュージックより)
エヴァの中で流れた時の印象や感想を聞くと、特に友人Aは「トラウマ級のショック!」と語っています。友人Bは「アニメのシーンに合っていて切なくなる」との事です。この曲がエヴァの中でも重要な場面で使われているらしい、という事が分かりました。
NORWAYアレンジに関して友人Aから、「独自のアレンジがされているが、ちゃんと原曲の雰囲気も残っていて良い編曲」「オルガンの音色が讃美歌や鎮魂歌の雰囲気」と感想をもらいました。
原曲は女声ボーカルですが、カバーは男声ボーカルです。声の違いで曲の印象は変わるのか?と思ったので聞きました。
「原曲は女声、カバーは男声ですが、曲の印象は変わりましたか?どのように変わったか、具体的に感想があれば教えてください」
友人A
女声 明るい曲調の中にも諦め・悲しみみたいな感情を感じる。
男声 無に還ったあと生まれ変わって良い方向にやり直せそうな雰囲気を感じる。
友人B
女声 死に向かう途中(理不尽さを受け入れつつ)そんなイメージ。
男声 女声ボーカルにはない力強さを感じた。なんだかんだ最終的には、助かりそう。
おおー、これは面白い感想です。
聞いて良かった。
やはり原曲の女声は、二人ともアニメのシーンと深く結びついているのだろうな。「諦め・悲しみ」「死」という、マイナスなイメージの単語で表現してくれました。
問題は、男声の感想。
二人とも、「良い方向にやり直せそう」「助かりそう」という前向きな言葉で表現しています。
これはもう、浅岡さんが持つ歌声のイメージそのままだ!と思いました。
友人二人は面識がないのにも関わらず、同じような印象を持ったのがすごく嬉しい。この曲が流れるシーンは非常に悲劇的なものであると推察しますが、女声とは正反対のイメージの言葉で表現しているのが、とても興味深い。
いつもの浅岡さんの、真っ直ぐな歌声とは少し違う歌声なのですが(筆者の耳比)、持っている声の明るさ、陽のイメージはそのままです。ただ単に高い声が出ているのではなく、歌声の中に笑顔があるのです(筆者の耳比)。これが、曲の持つ悲劇性を払拭し、希望を抱かせる曲へと変貌させている理由ではないか。歌声それ自体が、希望の響きを帯びているのです。ただし、あくまで歌詞の内容は置いといて、です。作品世界と連動した歌詞は、かなり暗い。
浅岡さんのあの高い歌声で、ダークな世界の歌詞を歌う、という筆者の好きな落差をある意味生み出してはいるのだな(しかし、後日考察の余地アリ)。
最後に、この質問をしました。
「この曲のボーカルがFIELD OF VIEWの浅岡雄也さんと知った時の感想を教えてください」
今回の記事を書くだいぶ前、NORWAYのYouTubeチャンネルで知った時に、浅岡さんがエヴァの曲をカバーしてるよ、と伝えていたのです。言わなければどんな反応だったかな、と気になりますが。今回もらったのは、次の感想。
友人A
こんなオタクしか知らなさそうなマニアックな曲を有名な方に歌っていただきましてありがとうございます。
友人B
NORWAYという存在を、この曲で初めて知りました。
浅岡さん、精力的にあちこちで活動されているなーという印象です。
そんなに浅岡さんの曲を知っているわけじゃないけれど、全編英語というのは新鮮な感じね。
浅岡さんの歌声には強さを感じます。腕力、体力的とかではなく、内面的な芯の強さです。
友人Aからは、選曲はエヴァファンのHISASHIさんがなさったのか?と聞かれましたが、そうなのです。HISASHIさんと飯野さんの選曲です。そして、そんなにマニアックな曲なのか…と原曲を知らない筆者は思っていますが。エヴァファンならではの選曲、という事なんだな。
友人Bの浅岡さんの歌声の「内面的な芯の強さ」これ、すごく良いお言葉をいただきました。そうだよ、芯の強さ、これこそが浅岡さんの歌声の根本にあるもの、かもしれない。
(ちなみに、鉄のフライパンを片手で操るくらいの腕力をお持ちです。マイクより重いものは持たねえ!って事はない)
全編英語詞というのも、おっしゃるとおり新鮮です(友人Bよ、よくぞ気付いてくれた)。NORWAYは英語詞の曲が多く、浅岡さんの新鮮な歌声を聴くにはもってこいです。
そして、エヴァ有識者二人の感想を読んで、改めて次の事を思った。
浅岡さんの明るく無垢な歌声故に、原曲を知っていたり歌詞を読んだ時に、この曲全体が持つ悲劇性がより際立つ。特に歌詞は、意味は分かりませんが一生懸命歌っています、という雰囲気なのだ(実際には訳詞も読まれていると思うが)。
年端のいかない少年たちが、教会でラテン語の讃美歌を歌っているイメージ。多分、意味は分かってないだろうけど頑張って歌ってるんだよね、という妄想です。
しかし、歌声の持つ力強く希望に満ちた響きにより、歌詞世界から救われる曲になっている。
友人Aからも出た、鎮魂歌。これはNORWAYから飯野さんへの、だ。
飯野さんと、もっと音楽で遊びたかった、という想いが込められているようだ。
だから浅岡さんの歌声に、無垢で余白があるように感じるのかもしれない。
楽しかったからまたここで遊ぼうね、と約束した友人が亡くなった、と知らないままのいたいけな少年が、日が暮れるまで待ち続けているような。
NORWAY公式YouTubeチャンネルでは、曲に入る前に飯野さんのメッセージが流れます。メンバーにとっては、飯野さんが語っている内容に尽きるんじゃないか、と思います。
この曲を公開する前の予告動画もあります。
まさかの浅岡さんのサービスショット?!も拝めます。ついでに、ナレーションは浅岡さん(もちろん、イケボ)。
記事を書くために少々エヴァについて調べたら、2025年は30周年?
1995年デビューのFIELD OF VIEWと同い年ってことだよね?!おめでとうございます!
【追記】
2026年3月19日から、「Komme,susser Tod〜甘き死よ、来たれ」のシングル配信が開始されました!
(fyto公式サイトより)
配信開始、誠におめでとうございます!
インターネット情報は2026年3月19日確認。
