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イエスマンばかりの組織はなぜ弱いのか

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〜10月15日 17:30

1986年1月27日の夜、電話会議が開かれていた。

翌朝に打ち上げを控えたスペースシャトル・チャレンジャーについて、製造会社の技術者たちが警告していた。ロケットブースターの継ぎ目を密封する部品が、低温で正常に機能しない恐れがある。翌朝の予想気温は氷点下だった。

技術者のロジャー・ボジョリーは、必死に打ち上げの中止を訴えた。だが、覆された。会議の途中で、経営陣は5分間の休憩を求め、その間に自社の技術者の判断を覆して、打ち上げを推奨した。署名を拒んだ技術者もいたが、押し切られた。

翌朝、シャトルは打ち上げから73秒後に分解し、7人が亡くなった。

この事故について、ある研究者はこう書いている。惨事を防ぐために必要な情報は、あの電話会議で声に出して語られていた。だが、聞かれなかった。集団の力学が、すでに答えを決めていたからだ、と。

これは特殊な事例ではない。同じ構造は、会社にも、部活にも、サークルにも、家族にもある。反対意見が言いにくい空気は、どこにでも生まれる。

本稿で扱いたいのはこの空気がどう作られなぜ一定の期間はうまく機能し、そしてどこで破綻するのかである。最後には、生成AIがこの構図をどう変えるのかも考えたい。順を追って解き明かしていきたい。


第1章:なぜ人は周りをイエスマンで固めるのか

まず、その動機から考えたい。悪意ではないことが多い。

人が周囲を同意者で固める理由は、単純である。そのほうが、物事が速く進むからだ。

反対意見が出れば、説明が要る。説得が要る。妥協も必要になる。同じ結論に至るとしても、時間がかかる。一方全員が賛成なら、決めた瞬間に動き出せる。

とくに責任を負っている人ほど、この誘惑は強い。部長も監督も親も、結果を求められている。反対する人がいるとその人を説得することに労力を取られ、本来の仕事が進まないように感じる。

そして、もう一つの要因がある。同意されることは、単純に気分がよい。

自分の判断が正しいと言われる。その通りだと頷かれる。これは誰にとっても心地よい体験である。逆に反対されることはたとえ内容が正当でも、否定されたように感じられる。

この二つが重なると、選抜の基準が静かにずれていく。

意識的に、反対する人を排除するわけではない。ただ、話が早い人を重用する。気の合う人を近くに置く。扱いにくい人からは、少しずつ距離が生まれる。その積み重ねが数年後には、周囲が同意者だけになった状態を作る。

本人は、自分がイエスマンを集めたとは思っていない。優秀な人材を選んだと思っている。ここに、この現象の厄介さがある。

しかも、この選抜には後押しがある。周囲の側からも、同意が有利だと学習されていくからだ。

反対して不利益を被った人を、一度でも見ればいい。あるいは、同意した人が引き立てられるのを見ればいい。それだけで、人は適応する。誰も明示的に教えられなくても、どう振る舞えば得かは伝わる。

つまり、指導者が選抜すると同時に、部下の側が自分を作り変えていく。この二つが同じ方向へ働くから、変化は思ったより速い。

家族でも同じことが起きる。親の意向に沿う子どもは可愛がられ、異を唱える子どもは扱いにくいとされる。部活でも指導者に従う選手が起用され、疑問を口にする選手は干される。組織の規模は関係ない。人が集まって上下関係が生じるところには、必ずこの力が働く。


第2章:イエスマン組織は、一定の期間はうまくいく

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