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🎸 おじさんギタリストシリーズ㊾ 3曲でHPがゼロになる 編

― 体力より先に、気力が尽きるようになった話 ―

最近、気づいたことがある。

3曲で、だいたい終わる。


スタジオに入る。

アンプの電源を入れて、軽くチューニングして、
「じゃあ、いきますか」と音を出す。

1曲目。

まだ大丈夫だ。

指もなんとか動くし、リズムもついていける。
少し余裕すらある。

「今日は調子いいかも」と思う。

だいたいここで油断する。


2曲目。

ちょっと呼吸が浅くなる。

コードチェンジが、ほんの少し遅れる。
ピッキングが、気持ちバラつく。

でも、まだいける。

この辺りで、頭の中に一瞬よぎる。

「……あと何曲やるんだっけ?」


そして3曲目。

ここでくる。

急にくる。

さっきまで普通だったのに、
いきなり“残量警告”みたいなものが出る。

指が重い。
集中力が散る。
リズムの中に入りきれない。

あれ、さっきまで弾けてたよな。


曲が終わる。

静かに、誰かが言う。

「もう1回いく?」


一瞬、空気が止まる。

誰も否定しない。

でも、誰もすぐには弾かない。


おじさんギタリスト、ここで水を飲む。

やたら丁寧に飲む。

時間を稼いでいるのは、だいたいバレている。


若い頃は違った。

3曲なんて、ウォーミングアップだった。

5曲、6曲、平気で続けて、
「まだいけるでしょ」とか言っていた。

今それを言われたら、
たぶん軽く目をそらす。


でも不思議と、悪い感じはしない。

3曲でちゃんと終わるから、
1曲ごとの集中が少しだけ深くなった気もする。

無駄に力まない。

出せる分だけ出す。

それでいいか、と思えるようになった。


昔は「どこまでやれるか」だった。

今は「どこまで丁寧にやれるか」。

基準が、少し変わった。


スタジオの帰り道、ふと思う。

「今日、3曲しかやってないな」

でも、その3曲はちゃんと残っている。

指の感覚も、音の余韻も、
なんとなく体に残っている。


おじさんギタリスト、
今日も3曲でしっかり燃え尽きました。

アンコールは、また次回ということで。 🎸



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