【小説】不思議な白い扉
あらすじ
ある日、学校の帰り道に草むらの中で大きな不思議な白い扉に入ろうとしている水色の生き物とピンクの生き物を見つけた仲良し三人組のボクとハルカとシュウ。興味本意で生き物たちを追って扉の向こうの世界に足を踏み入れた。扉の向こうには様々な世界や不思議な生き物たちが生息していた。三人は様々な世界に住む生き物たちに出会い、ドキドキハラハラな旅をすることになる。水色の生き物やピンクの生き物の不思議な能力、次々と現れる生き物たちの能力は地球に住む三人には想像を絶することだらけ。様々な困難に立ち向かい地球に戻るために奮闘する三人組。人間ではない生き物のモグラ、ロボット、鬼、龍、猫、様々な生き物が登場する冒険ファンタジー。
学校の帰り道、ボクたちの前を歩くシュウが突然立ち止まった。
いつも陽気なシュウの後ろ姿が微動だにしない。
「シュウ君どうしたん?」
ボクの隣にいたハルカが聞く。
「いや、あれなんやろ?」
シュウが指差す方を見てみるとそこには、低木を隔てた所にある草むらに大きな白い扉があり、扉の前には今までボクが見た事のない生き物が二匹いた。
一匹は背が高くて水色の体に黄緑の帽子のような物をかぶり、足は3本あった。
もう一匹は背が低くてピンクの体に黄色の帽子のような物をかぶり、やはり足は3本あった。
ボクたちはその生き物の姿に驚き恐怖を感じて、生き物たちに見つからないようにすぐに低木の影に隠れるようにしゃがんだ。
ボクたち三人は顔見合わせ、それぞれ自分の唇に人差し指を縦に添えて、音を立てないでおこうとジェスチャーした。皆んな目を大きく開いて恐怖の表情だ。
不思議な扉の前の生き物たちは、扉をしばらく見た後、お互い顔を見合わせた。
生き物たちの目は何を考えているのか分からないような表情が変わらない雰囲気だ。
ボクは大きな白い扉の方を観察した。
扉はよく見ると開く為の取手が無くて、扉の内側がまるで映像のように何重にも円を描かれて、グルグルと円が回り動いてるように見えた。
すると、生き物たちは扉の方を向き、水色の生き物の方が扉の中に入って消えた。
そして、ピンクの生き物の方も同じように扉の中に入って消えた。
「どうする?」
ボクが二人に聞いた。
「行こ!」
シュウが答えて、ハルカも不安そうに
「うん」
と答えた。
ボクら三人は低木を乗り越えて大きな白い扉に入った。
扉の中の向こう側の景色は森だった。
すぐ隣で声が聞こえた。
「ついてきたのか」
水色の生き物が無表情で言う。
「ギャーーーー!」
ボクら三人はあまりの恐怖で一目散に森の奥に向かって大騒ぎしながらダッシュで逃げた。
怖い、捕まったらどうしよう。
ボクの頭の中はこれから身に起こる恐怖のイメージでいっぱいになりながら走った。
「はぁはぁはぁはぁ」
呼吸が苦しくなりボクら三人は森の奥の木々の後ろに行きへたり込んだ。
「ここまで来れば大丈夫かな」
シュウが息を切らしながら言う。
「たぶん。でもあの生き物たち何なんやろ?」
ボクが言う。
「家に帰れるのかな私たち」
ハルカが言う。
その時、茂みの方でガサッと物音がした。
「ひっ!」
ボクらは驚き音が聞こえた方をそれぞれ自分の心臓の音の大きさに驚きながら見た。
「やっほー」
シリアスな状況に場違いな挨拶をして茂みから現れたのはボクらと同じくらいの年齢の男子だった。
「誰?」
シュウが男子に聞く。
「俺、ソウタ。水色の生き物を追って来たら迷子になったんだ。君たち何してるの?」
ソウタが答えた。
「え、ほとんどボクらと同じやん」
ボクが言う。
「え、そうなの?じゃ一緒にあの水色の生き物が何者なのか正体を見ようぜ!」
ソウタの提案にシュウがちょっと間を空けて口を開いた。
「いいねそれ」
夕暮れが近づき風が涼しくなってきた。四人は森の中を歩きながら水色の生き物について語り合った。
「そう言えば水色の奴、言葉喋れるみたいやな。ついてきたのかって言ってた」
ボクが言う。
「うん。表情が無くて怖いよな」
シュウが言う。
「足が3本も不思議やね」
ハルカが言う。
「あ!なんかある!!家だ!奴の家じゃないかな?」
ソウタが静かにボクらに知らせた。
「あ、ホンマや!絶対そうちゃうか!」
シュウが興奮気味に口にした。
水色の生き物の家と思しき家は、まさに家全体の色彩が鮮やかな水色だった。
その時、水色の家の扉がガチャという音を立てた。
「出てくるぞ!隠れろ!」
シュウが咄嗟に叫び、全員が素早く森の茂みに隠れた。
水色の扉がゆっくり開き現れたのはピンクの生き物だった。
ボクらは驚き皆んな目を見合わせた。
ドキドキしながら観察しているとピンクの生き物が大きな声で叫んだ。
「隠れても無駄!そこにいるんでしょう?」
ボクは心臓の鼓動が大きくなるのがわかった。きっと皆んな同じだ。皆んなの目を見回すとこの世の終わりのような青ざめた表情だった。やはり、奴らは特殊能力がありボクらの居場所など簡単にわかるんだと、ボクらが観念して茂みの外に出るしかないのかと相談しようしたその時、
「オッケーオッケー。よくわかったね」
現れたのは土の中から出てきたモグラのような茶色の生き物だった。
「さあ行くよ。案内して」
ピンクの生き物が言うと
「オッケーオッケー。ついてきな」
茶色の生き物が得意気に言うと、ピンクの生き物と茶色の生き物は穴の空いた土の中に入って行った。
ボクらはまた驚き皆んなで顔を見合わせた。シュウがセーフと野球の審判のように大げさにジェスチャーした。
ピンクの生き物と茶色の生き物がいなくなり、ボクらは静かに語り合った。
「土の中に何しに行ったんだろね?」
ハルカが不思議そうに言った。
「遊び行ったのかもね」
ソウタが楽し気に言う。
「宝探しかも」
シュウがニヤッと笑いボクを見た。
「土の中は行けないよ流石に」
ボクが言うと
「あの水色の家のピンポン押してみようか」
シュウがとんでもない提案をした。
「いやそれはあかんやろ」
他三人から一斉にツッコミが入った。
シュウはおどけた表情で一人笑っていた。
その時、再び水色の家の扉がガチャと音を立てた。
「奴が出て来る!」
ボクが言うと
四人は再び恐怖の表情に戻り茂みに隠れた。
水色の扉から出てきたのはやはり奴、水色の生き物だった。
ボクらは音を立てないよう細心の注意を払った。
水色の生き物は辺りを見回し息を吸い込んだ。
「隠れても無駄だ!そこにいるんだろう?」
大きな声で叫んだ。
また同じ事を言っている!ボクら全員は目を見合わせた。
すると、水色の生き物はこちらに向かってダッシュで走りだした。
嘘だろ?ボクらは驚き、一番先に動いたのはソウタだった。
「みんな逃げるぞ!」
ソウタの言葉で皆んな一斉に後方に走りだした。
「待てー!」
水色の生き物が追いかけてくる。もの凄いスピードで。
「ギャーーー!」
叫びながらボクらは死に物狂いで走った。
そして、ボクらが体力が尽き倒れ込むと追いついた水色の生き物が低い声で
言った。
「おわりだな。我らの姿を見た者はどうなるか教えてやろう」
気がつくとボクは知らない場所にいた。
「オッケーオッケー。気が付いたかい」
その声に驚き振り向くとあの時の茶色のモグラのような生き物がいた。
「ひい!!」
ボクは恐怖で後退り、驚きのあまり尻餅をついてしまった。
「大丈夫さ。俺は何もしないよ。君らもうちょっとで水色の奴に捕まる所だったな。ほら、君の仲間もいるよ」
「え!」
周りを見ると他の三人もベッドで寝ていた。
そして、モグラのような茶色の生き物は語りだした。
「オッケーオッケー。少し話をしよう。あの水色の生き物は、実は世界征服を企んでいて君たちが住む地球にも時々調査しに行っていて、わざと人間をあの『森の世界』に来るように仕向けて人間の行動を研究しているんだ。そして、俺が住むこの世界『土の世界』の調査もして、この世の全ての『世界』を調査して研究して世界征服を狙っているんだ。俺は奴らの世界征服を止めるための活動をしているんだ。具体的には自分たちの住む世界とは別の世界の住人にこの事実を告げ協力を依頼しているんだ。だが、水色の奴は身体能力が恐ろしく高くて他の世界の住人では歯が立たないんだ。そこで俺は考えたんだ。戦っても奴には簡単には勝てない。だから、奴らが他の世界を調査研究しているように俺たちも奴らを調査研究してなんとか奴を世界征服を食い止めなければならないと。長年俺は奴らを研究してわかった事もある。その一つが奴の「三本足の秘密」だ。三本足の一つは特殊能力があって、奴の周囲の半径100メートル以内の足のある生き物全ての足音があの三本目の足に完璧な情報を送り込まれるんだ。だから、君たちが奴の家の周りに潜んでいたことも奴は簡単にわかったんだ。そして、研究によると特殊能力を発揮する時に三本目の足は光る。怖がらせて悪いが奴は三本目の足の情報で俺たちの居場所を把握しているはずだ。おそらくもう少ししたら奴はここに来るだろう。その時、三本目の足をなんとかして破壊したいんだ。あの足は研究によると機械で作られている。そして、君たちも目撃したと思うが、奴にピンクの三本足の仲間がいる。そのピンクの奴は水色の奴が作り出した機械なんだ。あのピンクの奴は小柄に見えるが、水色の奴と同じくらいの能力を持っていて恐ろしい存在なんだ。奴ら二人がいれば本当に世界が危ない。まだ研究中なんだが、水色の奴の三本目の足はピンク色の奴と同期していて破壊すればピンクの奴の機能がなくなり動作しなくなるはずなんだ。今のところ、研究では三本目の足の特殊能力についてわかっているのはそれくらいのことだ。だから奴がここに来た時、俺が奴と話している時にこれで足を破壊してほしいんだ君に。この杖を奴の足に向けてここにあるこのボタンを押してほしい」
不思議な杖を渡されたボクは話の内容に恐怖を感じた。
「水色の生き物がもうすぐここに来る。早く皆んなを起こして伝えなければ。」
ボクがそう思ったその時、大きな爆発音がして爆煙の中から水色の生き物が現れた。
爆音で飛び起きた仲間たちは、目の前の光景に驚き、みるみる恐怖の表情に変わっていった。
「うわーー!」
仲間たちはパニックだ。
「みんな大丈夫!ボクに任せて」
ボクは本当は怖くて仕方ないのにそんなことを口走っていた。
「よく来てくれました。待っていました」
モグラのような茶色の生き物は水色の生き物にフレンドリーに話しかけた。
「ははは。待っていたのか。じゃあこの世界の宝を出してもらおうか」
水色の生き物が恐ろしい表情で言う。
「わかりました。ではこちらに」
モグラが言いながらボクに合図をした。合図と共にボクは杖を水色の生き物の足に向けて力強くボタンを押した。すると、杖は光り光線のようなものが足に当たった。
「うわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
叫び声と共に水色の生き物の三本目の足が爆発した。
そして、水色の生き物はその場で倒れた。
「やったー!」
ハルカが叫び、シュウとソウタも驚いていた。
「ありがとう作戦成功だ」
モグラが笑顔で言った。
モグラの住む『土の世界』のモグラの住処で、皆んなが眠っている間にモグラに教えてもらった事を話した。そして、ボクはモグラに地球に帰る方法を尋ねた。
「地球に帰るにはあの不思議な扉を探さないといけないんだけど扉の場所は知ってる?」
モグラは苦しそうな表情で答えた。
「あの大きな白い扉は数分間しか同じ場所にないんだ。君たちのように扉でこちらの世界に来てしまった人が今までいて、俺はあの扉についても調査研究してきたんだ」
話の途中でシュウが不安そうに聞いた。
「こっちの世界に来た人はどうなったん?」
モグラは静かに答えた。
「こちらの世界に来てしまった人はもうこの世にはいない」
「え!」
ボクら全員が小さく叫び息を飲んだ。
「どうして?」
ソウタが聞いた。
「君たちは今回、水色の生き物に捕まる直前に俺が救出したから大丈夫だったんだが、救出できず間に合わなかったんだ。捕まってしまった人は、水色の生き物の家に連れて行かれるんだ。あの家の中に連れて行かれた人を俺は再び姿を見た事はない」
モグラの言葉でボクら四人は絶句した。
シュウは深刻な表情で地面の一点を見ていた。ハルカは泣きそうな表情になり目をギュッと閉じていた。ソウタは手を顎に添えて何かを考えている様子だ。
「あの白い扉の調査研究で何がわかったの?」
ソウタが呟いた。
「実は俺は白い扉を作ったのが誰なのかという調査研究もしていて特定できそうなんだ」
モグラが言う。
「え!そうなの?」
シュウが嬉しそうに尋ねた。
「今の研究段階では三匹の生き物まで絞り込めているんだ。一匹目はレドという赤い鬼、二匹目はパルーという紫の龍、三匹目はキロンという黄色の猫だ。全て人間ではない生き物だ。俺は一匹目のレドという赤い鬼が怪しいと考えている。以前、レドの家から何かの研究をしていて爆発騒ぎがあったんだ。レドは家の機械が壊れて爆発してしまったと言っていたが、おそらく嘘だと俺は思っている。二匹目のパルーという紫の龍は、三匹の中で最年長で本人によると2500歳らしい。大昔から生きているからこの世の大体のことも知っていて科学技術にも詳しい。だが奴は遥か天空で生活していてその姿を見ることはほとんどなく、奴の調査研究は謎だらけで正体が全く掴めない。三匹目のキロンという黄色い猫はこの世界を常に放浪していてこの世界について詳しく博識だ。知り合いも多く科学者との関わりが多い。キロン自身も頭脳明晰で俺が知ってる中では1番賢いと思う。そして、その三匹は住む場所を移動することが多く居場所を特定することが難しい。レドが爆発騒ぎを起こした家はその事故後引っ越しして、消息を経っている。だが、その三匹が姿を現した時は空の様子が変わる。調査研究によると、レドが現れる時は空が夕焼けのように赤くなり、パルーが現れる時は空が不気味な紫色になり、キロンが現れる時は美しい金色のような空になる。この『土の世界』から出て『森の世界』に着いたら空の様子に注意しながら行動するんだよ。これから君たちを『森の世界』にもう一度連れて行く。君たちが地球に戻れる事を祈っているよ。さあ行こう。こっちだ。」
森に戻ると既に夜になっていた。森のあちこちで不気味な生き物の鳴き声がする。明かりが無くて辺りは真っ暗だった。唯一、モグラがくれた不思議な杖の先端部が光っていてなんとかボクらのいる場所だけ明るかった。モグラはあまり詳しく杖の事を教えてくれなかった。ボクらはこの『森の世界』について全然詳しくないから、モグラにボクらと同行して一緒に白い扉を探してほしいとお願いしたが、調査研究で多忙だからという理由であっさり断られてしまった。こんな真っ暗の中どうすればいいんだと途方に暮れそうになっていたその時、
「あ!向こうに明かりが見えるぞ!」
とシュウが叫んだ。
「ホンマや!明かりだ!」
ソウタも嬉しそうに明かりの方を指差した。
「行ってみよう!」
ハルカが皆んなに提案し
「うん」
とボクらが声を揃えて答えた。
明かりの方に近づくと驚いた。建物はボクら皆んなが見覚えのある水色だった。
「うわ、水色の奴の家やん。どうするよ。モグラが言うにはあの中に今までこの世界に来た人たちが連れ込まれたんだよな」
シュウが怖そうに言う。
「でもさ、中に入って様子を見に行った方がいいんちゃう?ほらもう家の主の水色の奴もいない事だしさ」
ソウタが言う。
「ええー!でもなんか怖いよね」
ハルカが震えながら言う。
「確かに怖いけど、白い扉について何か分かる事があるかもしれないし、今はとりあえず白い扉に関わりがあった水色の奴の家が目の前にあるんだから調査も兼ねて入ってみようよ」
ボクが言う。
「そうかもな。怖いけど入ってみよう」
とシュウが皆んなの顔を見ながら言った。先頭のシュウが水色の建物のドアノブに手をかけてゆっくりと右に回した。
水色の家の中に入るとすぐにリビングがあった。大きな長方形のテーブルがあって腰掛け椅子が四つり、左の方に二階に上がる階段があった。
「一階には特に何も無さそうだ。ニ階に行ってみよう」
ソウタが言うと、皆んな頷き2階に上がって行った。階段を上がりきるとドアが三つあり、一つのドアをソウタが開けて、目の前の光景を見て叫んだ。
「うわ!機械だらけだ!ここ研究室やん!」
「え?見せて見せて!」
ハルカがソウタの後ろから部屋を覗いて言う。
「ホンマや機械がいっぱいだね。ちょっと中に入って見てみようよ」
ハルカが最初に部屋に入り様々な機械を見た。皆んなも続いて部屋に入り各々が機械をチェックした。
「地球では見た事ない形やな。これなんて丸い機械が宙に浮いてるよ」
ボクが不思議な丸い機械を見ながら言った。
「こっちは人間一人入れそうなデッカイ機械があるぞ」
シュウが驚いて言う。
「これは何かな?試験管が沢山あってビーカーに黒い液体が入ってる」
ソウタが言う。
「こっちはロボットがある!」
ハルカが言うと皆んな
「え!」と驚きハルカの方にあるロボットに集まった。ロボットは緑色で2メートルくらいの高さがあった。
「これ電源ちゃうかな?」
シュウがロボットの左足のボタンのような物を指差した。
「押したら動くのかな?」
シュウの疑問に対して
「シュウ君あかんよ!危ないかもしれないよ!」
ハルカが恐怖のあまり制止した。
「いや、でも何か分かることがあるかもしれない。押してみよう」
ソウタがシュウに加勢した。ボクはハルカと同じくちょっと怖かった。この世界についてよくわからないのに、大丈夫なのかと思った。シュウとソウタは好奇心旺盛で性格がよく似ているなと思いながら、仕方なくロボットの電源らしい物を押す様子を見守った。
「押すよ」
シュウがボタンをゆっくりと押した。
すると、ロボットの目が突然ピカッと光り機械音が部屋中に響き渡った。
「ウィーンガシャガシャウィーンギギギギウィーンガシャガシャ」
「うわわわ、なんかやばい事になったかも」
シュウが情けない声で慌てる。
「ん?音止まったね」
ハルカが不思議そうに言う。
その時、ロボットの口が「ガシャ」と音をたてて開いた。
「はじめまして、A6000です。よろしくお願いします」
機械的な言い方でロボットは挨拶した。
「うわ!喋った!動かしちゃった!」
シュウが予想外の出来事に慌てて言った。
「私を動かして頂きありがとうございます。ご主人と呼ばせて下さい。お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
シュウを見て丁寧な言葉使いでA6000は言った。
「え、俺の名前はシュウ。よろしくA6000!でもA6000って長いからあだ名でいいかな?A6000、えーろくせん、エッちゃん!どう?」
勝手に呼び名を考えたシュウに対してA6000がしばらく間を置いて答えた。
「ありがとうございますご主人様。それでは私もシュウ様と呼ばせて頂きます。エッちゃん、いい響きですね。嬉しいです」
そして、シュウはロボットのエッちゃんに言った。
「エッちゃん、仲間を紹介するよ。彼は同じ学校のコウ」
どんどん話を進めていくシュウに呆気に取られながらボクは言った。
「コウって言います、よろしくね」
エッちゃんの首がウィーンという音と共に動きこちらを見て
「コウさんよろしくお願いします」
シュウの紹介が続いて、
「それから彼女も同じ学校のハルカ」
「エッちゃんよろしくね!」
明るく挨拶したハルカを見てエッちゃんの首がウィーンと動いて答えた。
「ハルカさんよろしくお願いします」
「そして、最後の彼がソウタ。この『森の世界』で会ったんだ」
「ソウタだよ。エッちゃんよろしく!」
エッちゃんの首がソウタの方を向き、しばらく間を置き予想外の言葉を口にした。
「ソウタさん、私、あなたとどこかでお会いしたことがある気がします。データが消えてしまいましたが、あなたの顔の残像が見えました」
「え?そうなん?」
シュウが声を出し、ソウタ以外は驚きエッちゃんとソウタを交互に見た。
「ん?俺はエッちゃんみたいなロボット初めて見たけどなあ」
ソウタは首を傾げて、
「それよりエッちゃん、俺たち地球に戻りたくて大きな白い不思議な扉を探しているんだよ。知らないかな?」
エッちゃんはギギギギと音を立てて目を閉じた。しばらく間を置いてから、再びギギギギと目を開いた。そして、ガシャと口を開き喋った。
「大きな白い不思議な扉知っています。今から私がある方の所へあなた方をお連れしましょう。まずこの家を出て外へ行きましょう」
水色の家を出て、僕らは緑色のロボットのエッちゃんの周りに集まった。
夜の森は暗く空から煌めく星々がこれから起こる出来事を見物するようにボクらを見下ろしていた。
「皆さん、私が少し離れて下さい。これから移動の準備をします」
エッちゃんが穏やかに喋り皆んなは少し離れた。
すると、エッちゃんの目がピカッと光を放ち、ウィーンギギギギガシャカジャと何度も音を立てて、2メートルほどあった体がさらに大きくなり5メートルくらいになり、さらに、背中に大きな籠が現れた。
そして、エッちゃんの目の光が収まった。
「それでは、私の掌に乗って下さい」
大きくなった手にボクらはを誘導した。
「エッちゃん凄いね!」
ハルカが楽しそうに言い、
「もしかして背中に乗って連れて行ってくれるん?」
シュウが興奮気味に言った。
「もちろん。お任せください。さあ掌にお乗り下さい」
エッちゃんが頼もしいセリフを言ったあと、皆んなが掌に乗り、エッちゃんは籠の中にボクらを優しく移動させた。
「それでは参りましょう」
直立不動のエッちゃんは背中に乗ったボクらに言った。
そして、エッちゃんはフワフワと宙に浮き始め、ゆっくりと夜空に上がって行った。「おー!飛んだー!やっほー!」
ソウタが大はしゃぎで言った。
「エッちゃん凄ーい!」
ハルカが叫び、
「夜風が涼しいね」
ボクがシュウに言う。
「そうやな。最高やな」
シュウはワクワクした表情で遠くを見ながら答えた。
すると、エッちゃんはスピードを上げ、星々輝く夜空の中をボクらを乗せて飛んで行った。
「綺麗ーー」
うっとりしたハルカの声が夜空に響いた。
エッちゃんの体は万能で、ボクらの夕食を用意してくれたり、一人用の小さな部屋にお風呂を用意してくれたり、フワフワのベッドを4人分出してくれたりして、ボクらエッちゃんが飛行している間ゆっくり眠ることができた
「皆さん、おはようございます。起床の時間です。それそろ目的地に到着します」
エッちゃんは元気な声で皆んなを起こした。
「うーん、よく寝たー!おはようエッちゃん。皆んな!起きてー!朝やで!」
1番最初に起きて挨拶したのはハルカだった。
「おはよう」
「おはよう」
「おはようさん、もう着くんだね。お疲れ様エッちゃん」
最後に起きたボクは朝の光が眩しくて目をギュッとした。
「皆さんこそ、長旅お疲れ様でした。よく眠れましたでしょうか。それではそろそろ着陸の準備をします。心の準備をよろしくお願いします」
飛行機のパイロットみたいなセリフを言ったエッちゃんは下降していった。徐々にスピードを落としていき、ボクらの視界な地上の光景が見えてきた。その場所は一面砂に覆われた砂漠地帯のようだった。でも空気はそんなに熱く無かった。
そして、ボクらを乗せたエッちゃんは静かに着陸した。
「皆さん、お疲れ様でした。到着しました。それでは私の掌にお乗りになって下さい」
エッちゃんの言葉にボクらは皆んなで
「了解!!!!」
と答え、優しく砂の上に下ろしてもらった。
そしてエッちゃんは元の2メートルほどの体に戻った。
「見渡す限り何もなーい!」
シュウが360度クルッと回って陽気に叫んだ。
「ほんと。何もないねー」
ソウタがちょっと楽しそうに言った。
「でもここに何かがある」
ボクが言うと、隣のハルカが
「ね?エッちゃん?」
とエッちゃんを見上げる。
「そうです。ここが私の情報では」
その時、急に青空だった空が黄色く染まり始めた。青い部分がドンドンなくなり黄色の煙のような物が空全体を覆った。
「これってまさか、モグラが言ってた黄色の生き物が現れる状況ちゃうかな?」
ボクがドキドキしながら皆んなに言った。
「そうです。私の情報によるとこの日この時間に黄色の生き物、猫のキロンが現れるはずです」
すると、砂漠地帯の奥の方から風が強く吹いて来た。そして、おどろおどろしい鳴き声が聞こえてきた。
「ニギャアアアア!!!」
鳴き声の方を見ると、なんとエッちゃんより遥かに大きな10メートルほどある黄色い生き物が姿を現した。
「うわわわわ」
ボクらは仰け反り
「きゃあああ」
ハルカは半泣きだ。
そして、黄色の生き物、猫のキロンは口を開いた。
「久しぶりだニャA6000。この人間どもニャんだ?」
ギロッとボクらを見たキロン。
「ご無沙汰していますキロンさん。彼らは大きな白い扉で地球から『森の世界』に来てしまって、帰るために扉を探しています。最近、大きな白い扉をどこかで見ませんでしたか?」
エッちゃんが尋ねた。
「大きな白い扉?最近見てないニャ。でもあの紫の奴が最近どこかで見たって言ってたニャ」
キロンは答えた。
「紫の奴とは、伝説の紫の生き物、龍のパルーの事ですね。パルーが最近現れた場所はご存知ですか?」
「紫の奴とは昨日、『湖の世界』で会ったニャ」
「『湖の世界』?!そんな世界もあるんや!!」
シュウが素っ頓狂な声で言った。
「私も『湖の世界』を知りません。キロンさん教えて頂けませんか?」
エッちゃんが丁寧にお願いした。
「めんどくさいニャ。でも、せっかくワシに会いに来てくれたニャ。『湖の世界』まで案内してやるニャ」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
エッちゃんのお礼の言葉に続き、ボクらは声を揃えてキロンに言った。
「ありがとうございます!キロンさん!」
照れくさそうにニヤと笑ったキロンは体を地面にペチャッと付けて背中を見せた。
「ワシの背中に乗りニャ」
エッちゃんとボクら4人はキロンの背中に乗った。
「うわー柔らかーい!」
ハルカがはしゃいで
「背中広いな」
ソウタが感嘆した。
「じゃ行くニャ。すぐ着くから安心しニャ」
キロンはそう言うとゆっくり歩き始めた。そして、徐々にスピードを上げて行った。グングンスピードを上げる。
「おおー速い!!!」
シュウは興奮気味に言った。
ハルカの肩まで伸びた髪が風で水平に靡いた。
キロンは砂漠地帯を猛スピードで駆け抜けて、やがて遠くに水色の景色が見えてきた。
「あれだ湖だ!」
ソウタが指差した。
「美しい風景ですね」
エッちゃんは感慨深い様子で喋った。
キロンは颯爽と駆け抜けて湖の畔に到着した。
「着いたニャ。ここが『湖の世界』の入り口ニャ。ちょっと待つニャ。もうすぐあれが来るニャ」
「あれ?」
ボクが呟いたその時、湖の水面が円状に波打ちだして、その円の中心が水飛沫を上げ、
「バジャーーーーーーーン」
と大きな音を立てた。
「うわーーーー!」
ボクらは皆んな叫びながら手で顔を覆ったり、後ろを向いたりした。音が止み、ボクらは正面を向き直った。そこに現れたのは全長20メートルくらいで、高さもかなりある大きな金色の潜水艦だった。
「金ピカだ!」
ハルカが目をキラキラさせて言った。
すると、潜水艦の屋根の部分がガシャガシャと音を立てて開いた。
「じゃあ、今から潜水艦に乗るニャ」
ボクらを背中に乗せたキロンは高くジャンプして簡単に潜水艦の屋根まで到達した。そして、潜水艦の中にピョンと入って行った。中はとても広く、薄暗いけど明かりが所々にあり、広い窓が沢山あり、まるで水族館のように湖の魚が沢山見えた。
「おー色んな魚いるで。いいよなーこういうの」
シュウが皆んなに言った。
「ちっちゃい魚も可愛い!」
ハルカは楽しげに言った。
すると、屋根が閉まり潜水艦は湖を沈んで行った。そして、スピードを上げ前進した。
「ん?なんだあれ?」
ソウタが指差した方向には大きな穴のような物があった。
「この穴の向こうで紫の奴と会ったニャ」
キロンが言った。
穴の中に潜水艦は入りドンドン前進した。
すると、光が見えてきた。光が強くなってきた。
「バシャーーーン」
大きな音と眩しい光でボクらは驚き目を閉じた。
そこには、紫の空が広がった気味の悪い空間が広がっていた。
「モグラが言ってた紫の空だ!」
ボクが目を見開いて言った。
「さあ降りるニャ」
キロンは背中に乗せたボクらに言うと、潜水艦の屋根が再び開いた。そして、キロンはジャンプして潜水艦から飛び降りた。
そして、キロンは大きく息を吸い込み、
「ニギャアアアア!!!」
と紫の空に向かって叫んだ。
すると、紫の空がモクモクと濃い紫色の雲のような物が次々と現れ始めた。空全体が紫の雲に覆われると、空の遥か遠くから
「グオオオオオオ!!!」
という低音でかつ大音量の鳴き声が聞こてきた。次第に、紫の雲が集まる一部がグルグルと回転し始めた。徐々に回転速度を上げ雲の中心に大きな穴が形成された。すると、その穴から紫の龍が頭から現われて空に飛び出した。紫の龍の体は長く穴からひたすら出てくる。すると、体がようやく先細りになっていき最後の尻尾の部分まで全て穴から出た。全長50メートルくらいはあるだろうか。伝説の紫の龍パルーが姿を見せた。
「グオオオオオオ!!!キロンまた吾輩の前に現れたな。今日は何の用だ?」
パルーは低い声で聞いた。
「ニギャアアアア!!!パルー、悪いニャ。この前話していた大きな白い扉について聞きに来たニャ。どこで見たニャ?」
キロンが尋ねた。
「グオオオオオオ!!!大きな白い扉か。探してどうするつもりだ?」
「ニギャアアアア!!!ワシの背中に乗る人間たちが地球に帰るため探しているニャ」
「グオオオオオオ!!!なるほど、大きな白い扉なら『宝石の世界』で吾輩は見た」
「ニギャアアアア!!!『宝石の世界』?知らんニャ。詳しく教えてくれニャ」
「グオオオオオオ!!!『宝石の世界』にはあの赤い生き物、赤鬼のレドが住んでいる。レドが大きな白い扉を出現させる機械を持っている。何度も研究の為に実験している様子を見たことがある」
「えーーーー!やっぱりモグラが言ってたように赤鬼のレドが作ったんだ!」
ボクは叫んだ。
「パルーさん、私たちを『宝石の世界』に案内して下さい!」
ハルカがお願いした。
「グオオオオオオ!!!いいだろう。吾輩の手の中に入りなさいキロン」
パルーは隠していた大きな二つの手を出しキロンを誘導した。
「ニギャアアアア!!!ありがとうニャ」
キロンは背中に乗せたボクらと共にパルーの手の中にジャンプして入った。
そして、パルーは再び濃い紫が渦巻く穴に向かって上昇し始めた。
「グオオオオオオ!!!それでは『宝石の世界』へ参る」
ボクらは次々と現れる不思議な生き物たちの助けを借りて、新しい体験をしている。『宝石の世界』で不思議な白い扉をもう一度見られるんだろうか。不安もあるが、仲間たちとの不思議な冒険は楽しかった。ボクは紫の生き物の龍パルーに叫んだ。
「パルーさんありがとう!よろしくお願いします!」
紫の生き物の龍パルーの手に乗ったボクらは今、パルーの生活圏の天空を飛んでいた。しばらくするとパルーは徐々に下降していった。降りていくと辺りの空が紫色に変わって行った。地上が少しずつ見えてきた。徐々に見えてきた景色は幾つもの大きな機械が置いてある様子だった。そして、機械と機械の間に赤い屋根の豪邸が見えた。パルーはグングンと下降して行った。そして、パルーが赤い屋根の豪邸の前で叫んだ。
「グオオオオオオ!!!」
すると、紫だった空が突然、赤く変色し始めた。どんどん赤い色が濃くなり、まるで夕焼けのように美しかった。その時、豪邸の玄関のドアが重々しくゆっくりと開いた。中から出てきたのはなんと、ボクより背が低い小さな体で腰の曲った赤いおじいさんの鬼が現れた。
「ホッホッホ。これは大勢で皆さんどうされました?」
赤い鬼のレドが笑顔で言った。
「グオオオオオオ!!!久しぶりだなレド。吾輩たちはお主に大きな白い扉について聞きに来た。キロンの背中の人間たちが扉で地球に帰りたいそうだ。お主、白い扉を出現させる機械を持っているだろう?」
パルーが尋ねた。
「ホッホッホ。大きいな白い扉のリモコンのことですか。残念だがあれはここにはないですよ。あの『プラチナ山』の奥深くの秘蔵の場所に置いてありますよ。私以外の者が無闇に使用しない為ですよ。でも、不思議ですね。少し前にも皆さんと同じように大きな白い扉をもう一度出現させたいと言って来た方々がいますよ」
「ニギャアアアア!!!それはどんな奴らだったニャ?」
キロンが尋ねた。
「ホッホッホ。名前は知りませんが水色の方とピンクの方とモグラの一行でしたよ」
レドが言うと、シュウが驚いて言った。
「え?どう言う事?水色の奴とピンクの奴はもう動かなくなったんじゃなかったやんな?」
そして、ボクが言った、
「しかもモグラも一緒ってどういう事やろ?」
ハルカがレドに尋ねた。
「レドさん、その一行はどんな雰囲気でしたか?モグラさん怖がってませんでした?」
「ホッホッホ。すごく仲が良さそうでしたよ。何か企みがありそうな笑みを浮かべていましたが。皆さんと同じように『プラチナ山』に行くように言いましたよ。私ももう年ですから、もうあの白い扉のリモコンを管理するのが大変で、管理に興味がある若い方にお任せしようと思っていたのですよ。ただ、あの『プラチナ山』は険しく、簡単にはリモコンのある秘蔵の場所を見つける事ができません。因みに、秘蔵の場所を探し当てて見事にリモコンを見つけた方には、リモコンの管理の報酬にと思い、私が長い旅で収集した全ての財宝もリモコンと一緒に置いてあります」
「財宝!もしかして水色の奴らそれらが目当てじゃないかな?」
シュウが叫んだ。
「しかも、モグラの奴、水色の奴らと仲間だったんじゃないかな?騙されたかな」
ボクは項垂れた。
「という事はモグラの奴も水色の奴らと一緒に世界征服狙っているんだろうね」
ソウタは冷静に言った。
「世界征服?!」
緑のロボットエッちゃん、黄色の猫キロン、紫の龍パルー、赤鬼のレドが声を揃えて驚いた。
「それは大変ですね、食い止めましょう」
とエッちゃん。
「ワシは世界征服させニャい」
とキロン。
「世界征服するなら吾輩と勝負してからだ」
とパルー。
「ホッホッホ。笑ってる場合では無いですが、皆さん、彼らの世界征服を阻止をお願いします。彼らより先に秘蔵の場所に到着できるように、私が昔描いた地図をお渡ししましょう。これです」
そういうとレドはポーチから地図を取り出した。エッちゃんがキロンの背中から降りて地図を受け取った。そして、エッちゃんは目をピカッと光らして地図を見た。
「リモコンの在処わかりました」
エッちゃんが言った。
「えーーー!エッちゃん凄い!流石!!!」
ハルカがキロンの背中から叫んだ。
「これで水色の奴らより早く到着できるんちゃうん?」
シュウが嬉しそうに叫んだ。
「ホッホッホ。流石ロボットですね。あなたはどなたが製作されたのでしょう?機械製作者として気になります」
レドがエッちゃんに尋ねた。
「誰が作ったのかわかりません。あの水色の家に監禁され電源を落とされるまで世界を旅していましたが、ある日、水色の生き物に捕らわれてしまいました。世界を旅している時にキロンさんとも出会いました。大昔のことはきっと誰かが操作して私の記憶データを消去してしまったんでしょう」
エッちゃんが静かに喋った。
「ホッホッホ。そうでしたか。いつかあなたの製作者に会えるといいですね」
レドが優しく言った。
「グオオオオオオ!!!長話している場合はない。エッちゃんと言ったな。吾輩が『プラチナ山』に皆の者を連れて行ってしんぜるから、エッちゃんよ、地図でわかった秘蔵の場所を案内してくれ」
パルーが言った。
「わかりました。それでは行きましょう」
再び空が赤色から紫色に変わっていき、エッちゃんはジャンプしてキロンの
背中に飛び乗った。パルーの手の中のキロンが鳴き声と共に言った。
「ニギャアアアア!!!それじゃあ行くニャ」
すると、空の一部が黄色に染まり始め、空が赤と紫と黄色がグラデーションに混じり合い、美しいオーロラのような雰囲気の空になった。
「ん?さっきから遠くの方の空の様子がおかしい。赤、紫、黄色とどうなっているんだ」
水色の生き物が山を登る途中に言った。
「なんかあったのかな?」
ピンクの生き物が言った。
「これは奴らが出現したんだよ」
茶色の生き物モグラが言った。
「奴ら?」
水色の生き物のピンクの生き物は声を揃えた。
「さっき会った赤い鬼のレドが出現する時は空が赤くなり、紫の龍パルーが現れると紫になり、黄色の猫キロンが現れると黄色に空が染まる。おそらく、今、近くで同時に奴らが現れている。おそらく、パルーたちがレドから話を聞きこちらにやって来るだろう。なので、俺たちは早く白い扉のリモコンと財宝の在処を見つけなければならないん!?紫の雲がでてきた!パルーがもうすぐ現れる!土の中に隠れよう!」
モグラがすぐに地面L字型に掘り三匹の生き物は素早く穴に隠れた。
すると、遠くから紫の龍パルーが現れた。パルーはモグラの掘った穴を通り過ぎて少ししてからその場所に留まった。モグラたち三匹は穴から少し顔を出してパルーの後ろ姿を見た。
「なんてデカイ生き物なんだ。あれが紫の龍パルーか」
水色の生き物が呟いた。
「しかもなんて長さなんだ」
ピンクの生き物も驚き呟いた。
「ん?パルーの手に何かいる!」
モグラが気づいた。
「ん?あの猫の上に乗っている奴ら、、、人間だ。地球から我々を追って来た奴らだな!どうしてここに?」
水色の生き物が唸った。
「ちょっと待って、あそこに緑のロボットもいる!あれ、家に監禁したA6000よね?」
ピンクの生き物が驚いて言った。
「A6000?まさかあの家に監禁されていたとは。実はA6000は俺が昔製作したロボットだ」
モグラが言うと、
「なんだと?そうだったのか?」
水色の生き物はモグラを見た。
「人間たちがA6000を起動させて、色々行動してここまで来たということか」
モグラは苦々しく表情で言った。
「ん?A6000が猫から降りてきたぞ!何をする気だ?」
水色の生き物はエッちゃんを凝視した。
すると、エッちゃんは
「ウィーンガシャガシャギギギギウィーンウィーン」
と音を立て大きく変貌を遂げた。エッちゃんは宙に浮き目から出る不思議な光線で山の広い範囲を長方形に放った。
すると、光線が放たれた部分が崩れてシャッターが現れた。エッちゃんが再び光線をシャッターに放つとシャッターが上昇して中が見えてきた。
「!!なんて能力なんだ!」
水色の生き物は驚いた。
「あ!中に本当に財宝がある!」
ピンクの生き物が目を見開いて言った。
シャッターの中から現れた眩しいくらいにキラキラ光る財宝にモグラも驚いた。
「よし穴を掘ってあそこに行こう」
モグラはさらに掘り進めた。
「エッちゃんの能力ってホンマに凄いね!」
ハルカがキラキラした財宝をみて言った。
「キロンさん、パルーさ、ボクらを降ろして下さい!」
ボクが言うとキロンとパルーは優しく降ろす準備をしてくれた。
「いいだろう」
パルーが言った。
パルーの手からキロンが降りてさらにボクらはキロンの背中から降りた。
そして、シャッターの中にボクらが足を踏み入れたその時、突然、目の前の地面が盛り上がり、土がボクらに飛んで来た。
「うわわ!なんだ?」
シュウが手で顔を覆いながら叫んだ。
すると、土の中から何かが飛び出して、ボクらの前に姿を現した。
「この財宝とリモコンはお前たちには渡さない」
水色の生き物が言い、ピンクの生き物とモグラが不敵に笑った。
「キャ!出た!」
ハルカは怖そうにボクらの後ろに隠れた。
「こっちだって財宝もリモコンも渡さない!」
ソウタが勝気に言った。
「モグラさん、ボクらを騙したんやね?」
ボクは言った。
「ははは。そうだ。とりあえず君たちの話を聞き地球や白い扉の情報を知りたくて芝居をした。『森の世界』に戻せば生きていけないと考えたよ。ひひひ」
モグラは笑った。
「悪党め!」
シュウは怒りの表情で言った。
「グオオオオオオ!!!残念だがモグラさん方、お主たちは吾輩たちに勝てない」
パルーか静かに言った。
「ニギャアアアア!!!そりゃそうだニャ」」
キロンが言った。
「私を捕らえあの水色の家に監禁した事許しません」
エッちゃんが言った。
「A6000久しぶりだな。やっと再会できたな。俺がお前の製作者だ」
モグラが言った。
「な、なんとそうだったのですね。製作頂きありがとうございました。しかし、たとえ製作者だとしても、人を騙して財宝に目が眩み心を無くし、さらには世界征服を企む者に加担するような方は私は絶対に許しません」
エッちゃんは静かに言った。
「グオオオオオオ!!!モグラさん方もう言い残すことは無いかな?」
パルーが言った。
「何をする気だ?」
モグラは身構え、
「我々はそう簡単にやられないぞ」
水色の生き物が言い、
「財宝はあげない」
ピンクの生き物が言った。
その時、パルーが猛烈な勢いで三匹を口の中に入れた。
奴らはパルーの胃の中に消えていった。
ボクらは財宝の中にあった宝箱を見つけ、その中から大きな白い扉のリモコンを取り出して、シャッターの外に出た。
「エッちゃん、キロンさん、パルーさん色々ありがとう。この財宝の管理はエッちゃんしてくれないかな?」
ボクが言うと
「わかりました。お任せください」
とエッちゃんは言った。
「エッちゃんよろしく!」
ハルカが言い、
「よし、リモコンスイッチ押すか?」
シュウが言うと
「ごめん、今まで隠しいたんだけど俺人間じゃないんだ」
突然ソウタが言うと、空が急にオレンジ色に染まってきてソウタが光始めた。光は強くなり、皆が眩しくて直視出来なかった。光が収まり、そこに現れたのは濃いオレンジ色のキツネだった。顔はソウタにそっくりだった。
「見覚えがあると思ったらキツネのキッチャンじゃないですか!」
エッちゃんが驚いた。
「知り合い?」
ハルカが尋ねた。
「昔、旅の途中、『キツネの世界』で合いました」
エッちゃんが懐かしそうに言った。
「ごめん、長い間黙ってて。夢だったんだ。いつか、人間に会えたら一緒に旅することが。皆んなありがとう!楽しかった!」
「そうだったんだ」
ボクが言った。
「よし、じゃリモコンスイッチ押すよ!」
シュウが言ってスイッチを押した。
すると、あの大きな不思議な白い扉が現れた。中はやはりグルグルと回転していた。
「じゃ、皆んなありがとう。地球に帰ります!バイバイ!」
ボクらがキッチャン、エッちゃん、パルー、キロンに手を振ると皆んな手を振って応えてくれた。ボクらは順番に大きな不思議な白い扉に入っていった。
ボクらは無事地球に戻ることができた。しばらくすると大きな不思議な白い扉は消えた。リモコンは不思議なことに地球に戻ると消えてなくなってしまった。
ボクらは旅で会った生き物や出来事を忘れることはないだろう。
#創作大賞2025
#エンタメ原作部門
⭐︎この小説「不思議な白い扉」を
原案に漫画化した
【猫漫画】黒猫クロピーンの大冒険 不思議な白い扉編 をnote連載中!
(よかったら読んでみてください^_^)
