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【掌編小説】合図【2083文字】

朝、箒の音で目が覚めた。

さっ、さっ、という乾いた音が、夢の底に沈みかけていた意識をゆっくり引き上げる。
まだ目は開けない。
布団の中で、俺はその音だけを追う。
規則正しいはずの音が、妙に耳に残る。

さっ、さっ。

誰かが道を掃いている。
近所の、いつもの誰か。
顔も知らないし、声も知らない。
ただ、こうして朝に箒を動かす音だけは知っている。

いい人なんだろうな、と思う。

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