掌編|一ヵ月だけ、私はあなたの子どもだった
自分の鼻が嫌いだった。
父方の祖母によく似たこの鼻を
母はずっと嫌がっていた。
母の妹である叔母が
俯くわたしにこう言った。
「目も眉もきりっとしてるんだから、
この鼻が愛嬌があって可愛いんじゃない。」
きっと今わたし、
真っ赤なお鼻のトナカイさんと同じ顔してる。
私はそんなことを思った。
夏になる。
今年も私は叔母の家で
一ヵ月だけ、従姉妹たちと
まるで家族になったみたいに過ごす。
トマトに砂糖をかけて食べる
甘党の祖父とおばちゃんが
今年も砂糖の量で揉める。
まるで興味を持てない相撲中継が流れたままの居間で
私たちは笑いながら、
2人のケンカの声を聞く。
「砂糖、そったら入れたら駄目さ」
「砂糖、多くなきゃ美味くねえべ」
そうして台所から運ばれてくる
あのずんだ餅より美味しいものを
私は食べたことがない。
私は大人になったけど
いつか叔母がいなくなったら
子どものように泣くだろう。
あなたが悲しむだろうから
ずっと言えないままだけど
おばちゃん、あのね、本当は
わたしは家に帰らずに
あなたの子どもでいたかった。
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そんな私と仲直りする未来。
▶︎小さなわたしを抱きしめて、愛おしい私が始まる
この時間が流れていた場所。
▶︎【広瀬川の隣で】またこの夏の朝が始まる
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