朝6時半、待ってくれる人がいる──世奈さんがTikTok Shopで育てた、“また見たくなる”配信の力
TikTok Shop Editor’s File Vol.5
ショートムービープラットフォーム「TikTok(ティックトック)」は、アプリ内で商品の発見から購入が可能となるEC機能「TikTok Shop」を、2025年6月30日より日本で提供開始しました。「TikTok Shop」は、自分に合った魅力的なコンテンツをTikTok上で発見し、購入できるサービスです。ショッピング動画やLIVE配信を通じてユーザーはお気に入りのアイテムに出会い、その場で購入が可能となる新しい購買体験を「ディスカバリーEコマース」と位置づけています。
本連載「TikTok Shop Editor’s File」では、世界で17か国目の展開となる日本市場において活躍するセラーやクリエイターの皆さまに焦点を当て、リアルな声と挑戦の軌跡をインタビュー形式でお届けします。
「TikTok Shop Editor’s File」Vol.5は、毎朝のLIVE配信を軸に視聴者との濃い関係性を築きながら、クリエイターとして存在感を高めてきた世奈さんに話を聞きました。セラーからクリエイターへと軸足を移した背景、毎日配信を続ける理由、そして視聴者に“また会いに来たい”と思ってもらえる配信づくりの裏側に迫ります。

毎日のLIVEが、商品を売る場を“通いたくなる場所”に変えていった
TikTok Shopのクリエイターには、それぞれの売り方がある。その中でも、世奈さんの配信はどこか空気が違う。毎朝6時半から昼頃まで、ほぼ欠かさず続ける長時間のLIVE配信。画面の向こうに集まってくるのは、商品を探しに来た人だけではない。「今日も来たよ」と声をかけ、世奈さんとのやり取りそのものを楽しみにしている人たちだ。
TikTok Shopのローンチ初期から配信を続け、いまではフォロワーは6万人を超える。しかし、その現在地は最初から用意されていたものではなかった。毎日の配信、反応の観察、商品の入れ替え、言葉の調整。そうした細かな試行錯誤の積み重ねが、いまの配信のかたちをつくってきた。
実は世奈さんには、現在の活動につながるもうひとつの物語がある。6年前、K-POPアイドルになる夢を追って、たった一人で韓国へ渡り、研修生として訓練を受けていたという。結果としてその道はいったん諦めることになったが、いまTikTok ShopのLIVE配信を通じて、毎日会いに来てくれる視聴者や、温かい言葉をかけてくれるファンの存在に励まされている。自分の発信や紹介した商品が、誰かを少しでも前向きな気持ちにしている。そんな実感のなかで、形を変えて夢が続いているような感覚があるのだという。

“売る人”から“届ける人”へ。セラー経験が生んだ次の一歩
もともと世奈さんは、自身のブランド「DAsena」を運営するセラーとしてTikTok Shopに関わっていた。ネイルチップやアクセサリーを中心に販売しながら、LIVE配信を通じて視聴者の声を拾い、どんな商品が求められているのかを見てきた。
そのなかで増えていったのが、「こういう商品も扱ってほしい」「前に見たあの商品は紹介しないの?」という声だった。セラーの立場では、自分のショップの商品しか紹介できない。一方で、視聴者が欲しいものはもっと先へ広がっている。そこで世奈さんは、より柔軟に商品を届けられる立場として、クリエイターに注力する道を選んだ。
セラー時代は“商品をどう見せるか”が中心だったが、クリエイターになってからは“自分を通してどう伝えるか”へと視点が変わったという。商品だけではなく、自分自身の話し方や空気感も含めて、受け取り方が変わるからだ。現在もDAsenaの商品が売上の半分以上を占めつつ、他セラーの商品も取り入れながら、ブランドを育てていくためのバランスを探っている。
ここには、これからクリエイターを目指す人にとっての大きなヒントがある。商品理解だけでは足りない。誰が、どんな温度で、どんな言葉で届けるのか。その“伝え方”そのものが価値になるということだ。
売上が跳ねた月の裏側にあったのは、“毎日の改善ノート”だった
世奈さんの売上が大きく動いたのは、2025年11月から12月にかけてだった。11月に大きな節目となる売上を記録すると、翌12月にはさらにその数倍へと跳ね上がった。数字だけを見れば、一気に跳ねたように見える。ただ、本人はそれを“突然のヒット”とは受け止めていない。6月30日のローンチ以降、毎日LIVE配信を続け、そのたびに改善と検証を繰り返してきた。その積み上げが、ちょうどその時期に表れたのだと振り返る。
特に意識していたのが、配信中の反応を細かく見ることだった。1時間の配信を15分単位で区切り、カート追加数や販売数を確認する。一定以上の動きがあれば“この商品は伸びるかもしれない”と判断し、反応が弱ければ切り替える。感覚に頼るだけではなく、目の前の反応を見ながら、その場で最適な流れを組み立てていくのである。
当初はワイヤレスイヤホンのような商品が動いていた一方、11月、12月にはリングなどのファッションジュエリーが伸び、さらに直近では美顔器や脱毛器、インソールへと広がりが出てきた。どの商品が売れるかは、その日の視聴者や空気によっても変わる。だからこそ、「今日は何が刺さるか」をライブのなかで見極めていく感覚が欠かせないのだという。
しかも、そこには価格設計の工夫もある。まずは手に取りやすい価格帯で入口をつくり、そのうえで売上をつくる商材を組み合わせる。世奈さんの配信は、勢いや感覚だけで成り立っているわけではない。視聴者の動きに耳を澄ませながら、仮説を立て、すぐに試す。その小さな改善の回数が、そのまま売上の差になっている。

朝の5時間が“ファンづくりの時間”に変わるまで
世奈さんの配信スタイルを語るうえで欠かせないのが、朝の固定配信だ。現在の配信は朝6時半頃から昼前まで、5〜6時間に及ぶ。なぜこの時間なのか。理由ははっきりしている。家事やお弁当づくりなどを終えた主婦層が、ようやく一息つける時間帯だからだ。もともと「主婦の皆さんに、できるだけお得な価格でいい商品を届けたい」という思いでDAsenaを立ち上げたこともあり、この時間に集中してきた。
その結果、視聴者のなかには「今日も来たよ」「日課になっています」と声をかけてくれる人も増えていった。商品目当ての人だけではなく、世奈さん自身に会いに来る人がいる。毎日同じ時間に開かれる配信が、いつしか誰かの生活の一部になっていったのである。
「みんなの時間って、その人の命みたいなものだと思うんです」
その言葉どおり、世奈さんにとって配信は、ただ商品を売るための時間ではない。同じ時間を一緒に過ごす相手に、少しでも元気を持って帰ってもらいたい。その思いがあるからこそ、持ち前の明るさやテンポのいい話し方、時折混じる関西弁の親しみやすさが、配信全体の魅力になっている。フォロワーの中心は35歳以上で、男女比はほぼ半々。女性向けに見える美容機器でも男性から一定の反応があるのは、時代の空気をよく捉えている証でもある。
配信の世界では、派手な演出や強い売り文句に目が行きがちだ。けれど世奈さんの配信が教えてくれるのは、見てもらい続けるために必要なのは、むしろ“また来たくなる空気”なのだということだ。
伝わる言葉は、難しい説明より“自分の実感”から生まれる
動画のつくり方にも、世奈さんらしさがある。毎日、配信前や夕方に動画をアップし続けているが、編集で過剰に作り込むよりも、できるだけ“リアルに伝わること”を大切にしているという。LIVE配信は生の場であり、限られた時間の中で商品の良さを届けなければならない。だからこそ動画でも、切り抜きや演出に頼りすぎず、自分が実際に体験した感覚をラフに伝える方が、結果的にLIVEにもつながると考えている。
説明の仕方にも工夫がある。成分やスペックをそのまま並べるのではなく、「この商品がどう役立つのか」をできるだけ簡潔に、自分の言葉で言い換える。情報量が多すぎると、かえって視聴者は離れてしまう。だからこそ、セラーから共有された情報をかみ砕き、わかりやすい言葉に置き換える。売り込むためというより、「ちゃんと伝わるか」を重視しているのが伝わってくる。
また、11月ごろからは配信背景も自宅から事務所へと切り替え、ロゴも整えた。親しみやすさはありつつも、「本当に商品が届くのか」「ちゃんとしたショップなのか」と不安に感じる視聴者もいる。そうした見えないハードルに向き合い、より安心してもらえる場づくりへと踏み出したのだ。現在は新しいライバーの参加も進んでおり、午後帯への展開も視野に入れている。
ここにも、学べる視点がある。ライブ配信は“話す力”だけでなく、“見え方”も含めた総合設計だということだ。背景、ロゴ、時間帯、商品の見せ方、説明の粒度。細部を整えることで、配信全体の説得力は大きく変わる。

夢の形は変わっても、誰かに届く喜びは続いていく
今後の目標について聞くと、世奈さんは「まずはフォロワー10万人、その先に100万人」と答えた。さらに売上面においても、現状を遥かに超えるような高みを目指すという強い意志を持っている。非常にハードルの高い話にも思えるが、毎日配信を続け、その日の良かった点、改善すべき点を振り返りながら、一歩ずつ積み上げてきた人の言葉として聞くと、不思議と遠い話には聞こえない。
本人が繰り返し語っていたのは、「継続力」と「振り返り」の大切さだった。終わった配信をそのままにせず、次はどうするかを考える。その繰り返しが、少しずつ未来を変えていく。
世奈さんの歩みは、TikTok Shopが単なる販売の場ではなく、人と人とのつながりを育て、ブランドもキャリアも少しずつ大きくしていける場所であることを教えてくれる。かつて韓国で追いかけた夢とは形が違っていても、いまは画面の向こうで待ってくれる人がいる。自分の発信や紹介した商品で、誰かを少しでも笑顔にできる。TikTok Shopという場所で、世奈さんはそんな“夢の続き”を、毎朝6時半から始めているのだ。
※記事内の取材内容は、2026年2月上旬時点の情報に基づいています。記事公開時点では変更の可能性もありますので、予めご了承ください。
