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「あったかもしれない未来」が物語を再生する

実写版映画「ルックバック」が9月11日に公開された。

自分の才能に絶対の自信を持つ藤野と、引きこもりの京本。田舎町に住む2人の少女を引き合わせ、結びつけたのは漫画を描くことへのひたむきな思いだった。月日は流れても、背中を支えてくれたのはいつだって──。

集英社サイトより

2021年に藤本タツキさんの原作漫画が「少年ジャンプ+」で公開され、その後2024年にアニメ映画としてリメイクされ、2年後の今年は実写版として再リメイクになる。
人気作とはいえ、ここまで短期間でリメイクが繰り返されるのはかなり異例のことのように思える。

直接的にネタバレしないようざっくりした書き方をすると、漫画を描くことによって友情が結ばれた主人公の藤野と京本は少女時代に出会い、ともに漫画を描きながら大人に成長していくが、この物語の途中で2人の運命を揺るがす大きな出来事に見舞われてしまう。
端的に言ってしまえばそれは悲しい出来事なのだけれど、この作品がこれほどリメイクされる理由はそこにあるように思える。

「物語を再び作り直せば、あの悲しい出来事がなかった未来を描けるかもしれない」

原作がある以上、そんな結末を捻じ曲げてしまうようなことは出来るわけがない。
しかし、映画の作り手に「もう一度作りたい」と思わせる背景には、どこか「今度こそ」という気持ちがあったのではないか、私にはそんな風に思えてしまう。
「ルックバック」の物語自体にもそういう要素はある。

生きていれば誰でも、大小さまざま、重要なことも重要でないこともひっくるめて無数の分かれ道を通過する。良くも悪くも道を選んで進んできた結果が今の自分だ。

人生に後戻りもリメイクもない。でもフィクションはそれを可能にする。

「あったかもしれない未来」に思いを馳せること。
「ルックバック」という作品が生まれ変わるたびに、私は何かを期待してしまう。
それはあり得ないことだとわかっていても。

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