イケメンコントロールされていた私の思考
顔も見えないオープンチャットで。
なぜか、手が震えた瞬間があった。
……今日は、その話をする。
2025年5月。あるオンラインフェス。
私はメイクセラピストとして、登壇していた。
私の、1人あとに。
その人は、出てきた。
金髪。
ロングヘア。
決して若くない。……どちらかというと、おじさんだった。
この人が、何を喋るんだろう。
……正直、そう思った。
ライブが、始まった。
やたら、笑顔。
トークが、面白い。
見た目とのギャップに、頭が追いつかない。
……なのに、話す内容は、驚くほど良かった。
この人、なんなんやろ。
そこで、目に入った。
"オープンチャット"
……何、それ。
気づいたら、LINE公式を登録していた。
登録した、というより。
……聴きながら、コントロールされていたんだと思う。
そこで知った。
毎日、朝5時55分から始まるライブ。
しかも、1時間。ウォーキングしながら喋っている。
フェスで見た人とは、別人だった。
適当に、ゲラゲラ笑いながら話す。
数回、聴いた。
そして、聴かなくなった。……1ヶ月ほど。
もう、聴かなくていいわ。
そう思っていた。
……はずだった。
1ヶ月が過ぎたころ。
ふと、また聴きたくなった。
これも、コントロールされていたんだと思う。……今なら、笑って言える。
こんなに適当に喋っていて。
なぜか、100人を超える人が、毎日聴きに来る。
……なんでやー。
そう思っていた、ある日。
「数名、当てちゃいまーす」
笑いながら、そう言った。
「喋る申請が届くので、喋れる人はポチッとしてくださいね」
なぜか、前日から。
根拠のない自信があった。
――当てられる。
なんでかは、わからない。
当ててほしい、と思っていたわけじゃない。
それとは、まったく別の感覚だった。
不思議と、嫌な感じはしなかった。
むしろ。
当たるから。
……スマホを、準備した。
翌朝も。
心のどこかで、ずっとそう思っていた。
直感なのか。
思い込みなのか。
……今でも、わからない。
でも。
それは、事実になった。
顔すら見えないオープンチャットなのに。
……本当に、手が震えた。
冒頭で話した、あの瞬間だ。
きちんと整っているかどうかより。
本気で、毎日そこにいるかどうか。
……人が動かされるのは、たぶんそこなんだと思う。
──この1年後。
私は、もう一度。
手を震わせることになる。
……その話は、また次回。
