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掌編小説|猫とこたつと、僕と君と。(朗読可)



猫とこたつと、僕と君と。



寒い冬の夜、外の風が冷たくて、心まで凍えそうだ。手をこたつに入れると、柔らかな感触が指先に伝わった。目を閉じると、少しだけ落ち着く。その温もりが、心の中でじんわり広がっていく。

猫が丸くなって眠っている。

小さな息を感じながら、君と僕は静かな時間を共有している。君は何も言わず、ただこたつの向こうで微笑んでいる。その表情だけで、心が温かくなる。君が足をこたつに入れると、猫のモフが少し動いて顔を上げた。僕たちは目を合わせ、ふと笑いあった。

「もう、眠いんじゃない?」

君がそう言って、眠そうな目で僕を見つめる。その目の奥に、どこか遠くを見ているような気配を感じる。でも、それを言葉にするのは少し怖い。僕も重い話はしたくない。だから、ただその温かさに包まれたまま黙って頷く。

「寒いね」

君の言葉は、温かい部屋の中でも、少しだけ切なく響いた。

「うん、でも…」

僕は言葉を選びながら、こたつの上で君の手を軽く握る。冷たい手を温めたくて、自然とそうしてしまった。

君は驚いたように目を見開くけれど、すぐに微笑みながら握り返してきた。モフはその手に心地よさそうにすり寄る。

「ねえ、疲れた?」

僕が聞くと、君は少しだけ頷き、目を閉じる。

「……うん、少し。でも、モフと君がいるから、大丈夫かな」

君の声が、静かに響く。何も言わずに君の頭を撫でる。モフが不思議そうに見ている。

この時間が、どれほど大切で儚いか、今、わかった気がする。この瞬間、静かな幸せを共有していることが、何よりも大切だと思った。

もし、君とこれからもずっとこうして一緒に過ごせるのなら、どんな日々でもきっと意味があるはずだ。


曖昧な日々は終わらせよう。


猫とこたつと、僕と君と。
儚さのあるこのぬくもりを、
僕の毎日にしたいと思った。




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