怪談『あの言葉』| 怖い話| 朗読可[フリー朗読台本]
⚠️怪談、怖い話の朗読台本です!とても怖い夢を見て、せっかくなので台本にしてみました。夢の話なので作者にA君という友人はいません、たぶん……
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📕『あの言葉』
子供のころの話だ
僕とA君は、
二人だけの言語を作るという遊びに
夢中になっていた。
最初は、意味のない音の羅列だった。
だけど、日に日に言葉は増えていって……
やがて、簡単な会話ができるようになった!
その言葉を交わすのが、僕たちの日課だった。
世界でその言葉を話せるのは、僕たち二人だけ。
秘密にして、誰にも話さなかった。
それが、また楽しかった。
けれど、ある日……
突然、A君が姿を消した。
学校に来なくなり、
電話をかけても繋がらない。
最初は心配したが、
大人になるにつれ
A君のことも、
あの言葉のことも
、
次第に思い出さなくなっていった。
彼の顔を思い出そうとしても
、
ぼんやりとしていて……特に「目」は、
まるで黒い靄がかかっているようで
、
全く思い出せなかった。
◆
そんなある夜のことだ
不意に、
あの頃のことを思い出した
。
なんとなく、懐かしさに任せて……
あの言葉を、口にしてみた。
口をついて出たその言葉が部屋に響くと
、
空気が……ぴりっと張り詰めた。
背筋に寒気が走った。
その瞬間……
部屋の隅から──
低くて、不気味な声が聞こえてきた。
【……覚えているか?】
振り向くと、そこに誰かが立っていた。
最初は何故かA君だと思った。
けれど──
目が……異常に、深く、黒くて、
吸い込まれそうに見つめられて、
僕は、直感した。
……これは、違う「何か」だ。
その黒い目の奥に
、
過去の記憶が一気に溢れ出す。
最後にあの言葉を交わしたとき
、
僕たちは何かを呼び寄せてしまった。
そうだ!
A君が消えた理由!
なぜ今まで、僕は忘れていたんだ?
【……覚えているか?】
それは……僕の耳の、
すぐ横で囁いた。
恐怖で体が硬直する。
思わず後退る
。
目を合わせてはいけない。
僕はもうはっきりと思い出してしまった。
……あの言葉を、もう、口にしてはいけない。
【もう一度、言葉を交わそう】
喉の奥が、ヒュッと鳴った。
……そして、
僕の口から、
あの言葉が……
また……
止まらない。
泣きながら。
必死に口を閉じようとする。
でも、止まらない。
部屋が、暗くなる。
耳元に、無数の声
何かが、
一斉に僕を取り囲む。
頭の中で、
繰り返し、繰り返し、
鳴り響く。
音が、形を持ち始める。
それが……僕を、
飲み込んでいく。
「助けて」と叫びたかった
。
でも、言葉にならない。
代わりに──
呪文のように、あの言葉が
次から次に……
僕の喉から、溢れ出す。
それに応えるように──
周囲の声は、どんどん、増えていった……
◆
……そして、
気がつけば朝だった。
部屋に「それ」の姿はなく、
僕は気を失っていたようだ。
あれが夢だったのか、
現実だったのか
、
今となっては、もう……わからない。
ただひとつ、わかることがある。
暗闇にいると──
耳元で、あの言葉が囁かれる気がして
、
毎晩……怖くてたまらない。
そして……
鏡に映る自分の顔、
その目が、
日に日に……
深く、黒くなっているような気がする。
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